怖い夢の話
ある朝、夢を見ました。
その夢の中で私は、可愛らしい女の子が出てくるテレビCMを見ています。そのCMの決まり文句に対して「聞きようによっては、これ怖い台詞だな」と感じた私は、「この恐怖を小説にしてみよう!」と思いつきました。
「いわゆるショート・ショートにしよう。でも、あまりに短いとCMそのままで、ネタ元が露骨だな……」
夢の中でそこまで考えたところで、目が覚めました。そして、その瞬間、気づきました。
「あのCM自体が夢だった!」
ネタ元自体が架空の存在なら、心配ありません。早速、なるべく200文字ギリギリで仕上げてみたのですが……。
少し怖くなりました。「詳しく説明されるとホラー系は興ざめ」という場合もあるので、読者のご想像にお任せします的なショート・ショートにしたのですが、もしかしたら「怖い話」ではなく「心あたたまる話」と感じる方々もおられるかもしれません。どんな形でも何かしら感じていただければ書く側としては嬉しいのですが、その場合「なんでこれがホラーなんだ!」と怒られるかもしれません。あるいは、短過ぎて「意味わからん」と言われるかもしれません。
まあ、あまり気にし過ぎていたらネット小説なんて書いていられないので、構わず投稿しましたが……。
しかし、投稿した後になって、ふと気づきました。
「私は何故あのような夢を見たのだろうか?」
夢は完全な妄想や想像の場合もあるかもしれませんが、大抵は目が覚めた後で、「ああ、あれを強く望んでいたから夢に出てきたのだろうな」とか「ああ、あの経験が元になった夢だったのだろうな」とか、思い当たる部分が出てきます。ならば、先ほどの『夢』も――夢の中で見たCMもそこからショート・ショートを作ろうという発想も――、自分では気づいていないだけで、実は昔どこかで見たドラマや小説だったのかもしれません。
元の小説の作家さんには大変失礼な話になるのですが、もしも、読んだけれど忘れているネット小説があって、それが元だった場合……。後で「あの作品のパクリだ!」と罵られてしまうでしょう。
それこそ、怖い話です。素人作家にとって、これ以上の恐怖はありません。
プロの作家であるならば、自分が気づかなくても担当編集が「これって、あの作品まんまじゃないですか?」と止めてくれるでしょうが、そうした存在のいない素人作家の場合、公開して読者の方々からの感想を見て、初めて気が付く形になるわけです……。
さて。
皆さんも、私のように、夢を元にした作品を書いて、投稿したことがありますか?
その場合、やはり私のように「これって無意識のうちに誰かの作品をパクっているのではないか」と想像して、怖くなりましたか?
(2018年11月22日「小説家になろう」に掲載したエッセイの転載です)
(もともと書こうとしたネタが四つあり『とりあえず四日連続更新で、その後は不定期更新』という形で始めたエッセイだったので、この第五話から「これはエッセイのテーマから少し外れるのでは?」という感じも出て来ます。今回転載するにあたり、削除するかどうか悩みましたが、一応、入れておくことにしました。なお『夢』に関して言えば、現在の私は、むしろ積極的に「何か短編小説のネタになりそうな夢を見れたらいいなあ」と思いながら眠る方向性です)
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