第46話 思わぬ出会い
起きたというか
いそいそと着替えて、
この世界は役人でもなければ朝は早い。この時間ともなると飲食店は開き、
出遅れた僕らは混雑を避けるために屋台で
「この町に滞在すると他の町へは行けなくなるって言ってたけど、わかるわー。食べ物がおいしすぎる。衛生面でも綺麗だし、住人もゴミのポイ捨てがないのよねぇ」
ただ衛生面では確かに優秀だ。上下水道もほぼ完備だし馬車の移動を禁じているので街路沿いに馬糞が散乱している事もない。ここでの荷物の移動は
「さてっと。食べ終わったみたいだし行こうか?」
そう切り出してみて初めて気が付いた。
「君ら、それ何?」
「あ、これ?
陶器の器に入った
「いや、時間も勿体なし今度でいいよ」
名残惜しいがさっさと嫌な作業は済ませてしまいたい。
「仕方ないなー。はい、あーんして」
こちらの反応を楽しむようにニヤニヤとした
「あーん」
しゃぶり尽くしてやった。味は
「…………」
匙を見つめて顔を真っ赤にする
「あーん」
「あーん」
そういって口に含むと…………
この町は危ない。
食い物で人の心を繋ぎ止める魔力があるに違いない。ここである程度資金と実力を付けたら旅に出たかったけど、これは計画を練り直すべきだ。
「さて、行こう」
そう言って僕は立ち上がり、つられて
陶器を返却し4ガルド返金してもらい素早く周囲を窺う。
先ほどまで畏怖交じりでじろじろ見ていた不躾な視線が若干和らいだような気がした。
これは二人に感謝しないとね。
「二人ともありがとね」
「————美味しかった?」
「…………」
▲△▲△▲△▲△▲△▲
てっきり顔を合わせたら昨夜の件で怒られると思ったのだが、何も言われなかった。知らないのだろうか? 却って気味が悪い。
「それじゃ、
そういうと
「仕方ないなー」
そうぼやいてみる。
本音を言えば
…………やっぱり結構いるね。
首から値札をぶら下げた
「
「
それ人は剣道部の主将であり
「先輩こそよくご無事で…………」
「ははは…………殆ど言葉も分からないし今も自由の身じゃないさ。
水鏡先輩に自分の置かれた状況を説明した。
「————運が良かったんだな。でも俺はもう今の生活に馴染んじまった。学校で戦闘教練を受けてたのが役に立ってな。もう何人も仕事で殺したよ。罪悪感も感じねー。戻っても元の学生生活とか送れそうもねーし戻ったらたぶん国外に出て
僕らの世界では第4次世界大戦が終わり50年が過ぎたが未だに小競り合いが終わらない。国連も機能しておらず秩序などないようなモノである。
その後いくつか情報を収集して別れた。
まず先輩は
とてもではないが
失意のまま
「おや、貴方は?」
そこに居たのは駅舎街で
「本日はどういったご用向きで」
彼にとっては
「ここは
「少々お待ちを————」
その
従業員が奥へと消えていき、僕は大きな商談室へと通される。
そろそろ話のネタも尽きた頃タイミングよく従業員が入ってきて用意が出来たと告げてきた。
ゾロゾロと大きな商談室に実に50人もの奴隷が並ぶ。
ぶっちゃけ教室くらい大きな商談室だったから結構人数居るのかと思ったけど、まさかこんなにいるとはねぇ…………。
ただよく見れば今回は見送り確定の
こっちの世界の
彼らはトボトボと去っていく。その
残った
「全員注目!」
僕は
その言葉にすぐに反応したのは22名で残りは周りの動きを見て慌てて同じような行動をとった。
13名は除外かな。
「僕は
「彼らを全員買い取ります。見積もりを下さい」
「ありがとうございます。この者たちは未成年の様で体格も幼く、
「破棄予定の
6万というと金貨60枚か……。思ったより安いかな?
この時は気が付かなかったが金銭感覚が麻痺していたのである。いや、これで同胞を助けるんだと自分の行い行為に
書類手続きなどに
運転手である
まー割増料金出してるんですけどね。
見受けした22名は下は
開放感からはしゃいでいるが、ここ数か月の劣悪な生活環境でかなり痩せこけている子も多い。
▲△▲△▲△▲△▲△▲
「それではお預かりします」
守衛さんはそう言って門を閉める。見受けした子供たちには別れを惜しまれたのだがまだお昼前なので次の
箱型の
そういえば昨夜の怪しげな青年から貰った
「
歓楽街のそばで後ろから
「もう身請け始めてるのか?」
「うん。低学年の男子22名を身請けして師匠のところに預けてきた帰りだよ」
「俺らが体張って稼いだ金でする意味あるのか? お前なんて死にかけたじゃんよ。そんなに称賛されたいのか?」
「…………称賛されて嫌な気分にはならないし、自己満足と考えてもいいけど、恩って巡り巡って自分に帰ってくるって僕は信じているんだよ。だからいいんだ」
僕はそう締めくくった。だがその台詞が
「お前は何もわかっていない! なんの為にこの世界に残ったんだよ! 元の世界…………生まれ故郷を捨てた理由を思い出せよ!
「い、あ、僕は…………」
グサリと
「この資金があれば武装を整える事だって出来るし
「う、うん。わかっている」
「いや、わかってない! お前は思わぬ収入と周囲の
胸を抉るような一言の後に続いたのは頭部を殴りつけるような一言だった。
「僕が
目の前が真っ暗だった。今はお昼前だ。どうしたんだ僕は…………。
「言うことは言ったから俺は行くわ」
そう告げると
▲△▲△▲△▲△▲△▲
気が付くと
食事もとらずどこで何をしていたのかすらわからないが
「お待たせー。待った?」
すこし離れたところで僕を見つけた
「あれ? 何かあったの?」
小首を傾げてそんな質問をぶつけてくる。そんなに判りやすい
「ん~なんか言いにくそうだね? そうだ! ちょっと待ってて」
何かを思いついたのかそう言うと
そして程なくして戻ってきた。
「お待たせ。
そう言って僕の左手を握る。
「
僕は
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