第39話 その力の名は
「なっ…………ありえねぇ…………」
そして同時に
「
ほとんど悲鳴のような叫び声で
「まだ…………生きてる…………。先生!」
ヴァルザスは一通り眺めた後片膝をつき
「
ヴァルザスのかざした掌から自身の
程なくして一息ついてヴァルザスが立ち上がる。だがその顔色はあまりよくない。
「先生…………
「話は後だ。それより外へ出るぞ」
そう皆に指示を出しヴァルザスは
「
「
ヴァルザスは二体の
「
▲△▲△▲△▲△▲△▲
「ヴァルザスさん。
賃貸契約が済んだばかりで寝具ひとつない部屋に
少し思案の後にヴァルザスは口を開いた。
「過去に同じような症例があったが、恐らくは[
「「「
この世界の事に関してはある程度ヴァルザスから聞き及んでいるが、初めて聞く単語に見事にハモってしまう。
「この世界では人が死の淵から蘇ると気まぐれなどこかの神が極稀に何らかの
「勝手に…………はた迷惑な…………」
そう
「そう。まさにそれだ。何せ贈られた側は無自覚なもんで今回みたいな状態で初めて発覚するケースも多い」
「でもなんで
「使いこなせればとてつもない能力だからさ」
「「「????」」」
ヴァルザスの回答を三人は理解できないでいた。
「
「
「明日は迷宮入り中止して
ヴァルザスがそう返答すると一同皆ホッとするのだった。
今日は解散という事で
残ったのは
「そういえばバルドさんも
思い出したように
「あれはいま鍛冶工房に籠って一振りの
「そうですか…………。あれ? 先生は魔術は万能って仰ってましたけど、魔術じゃ何とかならないんですか?」
「痛いところを…………。一応なんとかできる。霊的器官の損傷は
ヴァルザスは言った言葉を区切る。
「————触媒がない。
「先生ありがとうございます。この御恩は必ず返します」
何かを決意したような
「そんなに重く考えるな。弟子なんだから師匠を利用するくらいに考えておけ」
そう返答すると踵を返し去っていく。
「
程なくして気を取り直した
▲△▲△▲△▲△▲△▲
「おはようございます。ご気分はいかがですか?」
目が覚めたら、そこにはちょっと幼い感じの女神さまが居た。
あーやっとテンプレ展開きた!
もう遅いよ!
ぼやける思考でそんなどうでもいい事を考えているうちに意識がはっきりしてきたのか寝ている僕を見下ろす人物が誰かはっきりしてきた。
「あれ? マリアベルデさん?」
何度か瞬きし確認しようと手を伸ばすとバシッっと横から伸びてきた手によって叩き落とされた。
「こらっ。マリアちゃんにお触り禁止!」
声の主は
一連のやり取りをクスクスと笑って眺めていたマリアベルデさんは立ち上がり、
「もう大丈夫そうなので私は帰りますね。
帰ろうとするのを引き留める。
「
僕は上体を起こしてそう礼を述べる。
「これも何かの縁でしょうし、あまり気負わないで下さいね」
そう微笑みながら帰っていった。
「そういえばマリアベルデさんが何処に住んでるか聞くの忘れてた!」
お礼は言ったが、
「あ、マリアちゃんはなんか変質者に追われているみたいで決まった場所に泊ってないみたい。だからお金の件とかは会えた時で良いんだってさ」
どうやら
マリアベルデさんが帰ったので、僕はあの戦闘から何があったのかを
▲△▲△▲△▲△▲△▲
「
昨日の下水での溺死も含めて僕はこの世界で四度死んでいる。心肺停止もこの世界基準なら死亡扱いにはならないけど放置すれば死んでいるので死亡という事にした。
二回目以降に師匠からあれこれと習ったけど、
しかし取扱説明書もないし困るんだよねー。
「そういえば
ここが僕の
「ん?
「あれ? ならこの部屋は?」
「私と
そう答えたの
「は? なんで? いつ?」
そんな話は聞いてないよと抗議をするのだが、
「
くそ!
「元の世界ならいざ知れず、こっちの世界では今更じゃないの?」
僕が気にしすぎなのか?
「
「問題ない」
質問する前に食い気味に返答されてしまった。相変わらず抑揚がない声で感情が分かりにくい。
現実を大人しく受け入れるかと諦め気分だった時だ…………。
ドアがノックされる。
「俺だ」
俺って誰だよと突っ込みたかったが絶対に怒られるので止めた。
扉に一番近かった
来訪してきたのは分かっていたが師匠と————。
「えーと…………後ろの方はどちら様で?」
師匠の後ろには初めて見る初老の女性が立っていた。
「この方は迷宮都市ザルツの
師匠はそうため息交じりでぼやいた。
高貴な
危ない危ない。失礼なこと言うところだった。
「何があった?」
その師匠の質問は意識が戻るはずのない僕が何で起きているんだって事だろう。
すぐさま
「最近耳にする小さな聖女様の事ね。炊き出しの手伝いをしたり神殿の奇跡の行使を手伝ったりしてる
人手が足りなくて助かっているとマーサ卿の言葉は続く。
なんでも
そんななかで高位の
何処で寝泊まりしているかは分からないけど会おうと思ったら
「おい。マーサ卿を送りがてら買い出しに行くぞ」
師匠がそんなことを言い出したのだが…………買い出し?
一瞬なんの? と思ったが…………生活用品か。
そういえば、この部屋なんもないんだよね。
どのみち
そういう意味でも買い物は非常に助かる。暇つぶし的な意味でも…………。
部屋を出て判ったのだが、僕らが借りた賃貸は
五階建ての五階だったのだ。これは毎日面倒だなと思っていたのだが外廊下を歩いていくと————。
「
驚いたことに有料である。
一回利用するごとに1ガルド=小銀貨1枚払わないといけないのである。
入居当初はみな利用をケチって徒歩で階段を上り下りするのだが、そのうち金払って乗るのが日常になると言われた。
わかる。
一階に降りてみるとさらに驚いたことに
防犯的な意味もあって
僕はというと男避けって名目だそうだ。
因みに
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