第35話 ある意味地獄だ
「いやぁぁぁぁぁぁっ!!!」
それに遭遇した途端
僕らは
それは艶のある黒褐色をしていた。三対六脚、長い一対の触手を生やしていた。
だが流石は異世界というべきかカサカサと大きさのわりに素早いそいつは
しかも単独ではなくかなり大量にいるのである。
体長が
しかしそれを冷静に対処したのは
飛翔して襲い来る
頭部をザックリ割られた
「ここは下水路からも襲撃されることもある。油断はするな」
やることが見つからず焦燥感に駆られていた僕に対して師匠が注意してきた。どうやら見透かされているようだ。
やはり
「
師匠は
指摘されて気が付いた。
下水路を挟んだ右側通路にも
「もうやだっ! 帰る!」
それの存在に気が付いた
一方
右側から姿を現したのは明らかに今までのより巨大な
「ほう。
師匠に言われて慌てて
「
先に魔法が完成したのは
「
そう思ったが疑問は声に出さずに遅れを取り戻すために僕も
赤と白の矢が
【
体長
実際僕らは嫌悪感と恐怖心から一瞬思考が固まった。
炎に包まれた
だが襲われる事はなかった。
燃え盛る
手出しはしないと言っていた師匠が放った無詠唱の【
「何のために剣を持っている。
そう師匠に怒られてしまった。
いやいや、炎に包まれた巨大な
その後は
まるでゲームのレベリングかレア狙いの為の雑魚狩りでもしてる気分だ…………。
こういう終着点の分かりにくい反復作業みたいなのは苦手なんだよね。
結局
「
嫌な顔一つせずに
「多くの
師匠がザックリとした計算額を伝えてくれる。
「5人で分けても結構おいしい額じゃね? 普段からこの程度で稼げるなら楽勝じゃねーか」
そう言ったのは重武装である意味安全な
「運悪く下水に落水しなければな。あと
そういって師匠は
「
「そんなもんですかねぇ?」
師匠の忠告もいまいち実感が持てないらしい。確かに先ほどの戦闘では無双状態ではあった。
「そんな事より体液が口や目に入ったりしてないよな? 病気になると
とりあえず4人とも確認するが誰も粘膜接触はないようだ。
だが僕を含む直接切り結んだ男三人は返り血ならぬ返り体液でかなり汚れている。
「これだけは何とかしてーなー」
「そんな時こそ
「あ、やっぱ僕ですか?」
そうだろうなーと思いつつ一応師匠に確認を取ると「あたりまえだろ」と返ってきた。
「
一瞬全身が光に包まれ、それが消えるころには全身の汚れなどがきれいに落ちまるで洗い立ての様になっていた。僕の力量だとまだ結構負担が大きいんだよね。
「やっぱすげーわ。いざとなったら
素養の関係で魔術が使えない
だけど褒められることは悪くはない。
古典ラノベの主人公賛美を見ていると彼らは文化レベルも低く、教養もなく、みな純粋なので素直に褒めてるんだなって気がする。どっかの偉い人が言っていた『知らない事は幸せだ』『庶民は無知である事が望ましい』とこの世界の住人はそれなりに教養もあり精神も成熟しているから褒められまくっても裏が透けて見えて気持ち悪いけどね。
「この後はどうする? まだ先に進んでみるか?」
今日は妙に積極的な
「
どうするかと思案し始めたところに師匠が忠告が耳に入ってきた。
また見事なまでにゲームっぽい存在がいるもんだ。
この迷宮を作った奴は僕らと似たような存在だったのではなかろうか?
師匠に確認してみよう。
「
質問に対して師匠の回答がそれだった。
しかし体長
「注意って?」
「対策を講じてないと狩られる
「見た方が早そうだ」
師匠が指差した先には追われている
「た、助けてくれ!」
僕らの存在に気が付いた
判断を誤り、対応が遅れれば一瞬で僕らも巻き込まれる。地形的にも人数を展開させて戦闘は出来ない。
チラリと師匠を見るが、答える気はないようだ。
見知らぬ他人とは言え同業者を見捨てる?
いや、いける!
「
もう
「へいへい」
「了解。貸しひとつだぞ」
左にいる
「
既に呪文の詠唱に入っていた。完成した【
攻撃面はそれでいい。
なら僕が唱えるのは————
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