第34話 まずは迷宮見学
駅舎街から目的地の迷宮都市ザルツまで特筆すべき事が何もなかった。
何せ距離にして
僕らは師匠の所有する
「また
そう問いかけてきた
「いや、本当にぼんやりとしてただけだよ」
そういつもいつも考え事してるわけじゃないよと言いたい。
「そうなんだ? てっきり
そんな事を言いつつ僕の横に腰掛ける。 師匠の話から推測するに
「師匠に任せてるし
右隣で寝息を立ている
「じゃーそーしますー」
そのまま僕の左肩にコテンと頭を預けてきた。程なくして寝息が聞こえてきた。そしてそれに合わせるかのように僕の意識も睡魔に捕らわれていった。
▲△▲△▲△▲△▲△▲
僕らを降ろした
「さて、何をするにも
ありがたい事に師匠の最初の説明は
つくづく三年前に師匠と巡り合えた幸運に感謝である。
「堅実な生活って事になると全員
「いや、他の町ならともかく此処だと
「さて、ここからは————」
師匠がそう言って話題を転換する。話をここでの基本的な生活などの注意点に移った。
まず
その後も
以前見たルートの町などはテンプレっぽい欧風っていうか15世紀くらいの建造物だったから地域差なのか、それとも文明レベルの違いなのか?
今現在歩いている迷宮街は厚い市壁で囲われており、言い方は悪いがゴロツキや低所得者、市民証を持たない住所不定者などを囲う檻でもある。
「なんか夢や希望もありゃしないって感じだな」
「
師匠からも多分見かけるだろうとは指摘はされていた。だが現実に見てしまうと…………。
「あれって同じクラスの佐藤じゃね?」
そう僕に問いかけてきたのは
僕らがたまたま
彼は値札のついた首輪をしており着ているものもゴツイ鎖付きの
「私たちも運が悪ければ、あーなっていたんだろうね。先生には感謝してもしきれないなぁ」
足を止めた事に気が付いて様子を見に戻ってきた
出来れば皆を元の世界に返してやりたいが、僕らには奴隷を買い取る
「ないない尽くしだねー」
そうボヤかずにはいられなかった。
「いつまでも見ていても仕方ない。いこー」
「何か面白いもんでもあったのか?」
追いついた僕らに対しての
見てきたものを話すと「ふーん」と興味なさげである。疑問に思っていると…………。
「なんだ気が付かなかったのか? そこら中に
そう言われて周囲を見回すと確かに黒髪の若い男女が多い。今回強制転移の対象となった僕らの居た学校は規模が大きく
そしてこの道路沿いに売りに出されている奴隷のほとんどが
出来れば皆を元の世界に返してやりたいが、僕らには奴隷を買い取る
「ないない尽くしだねー」
そうボヤかずにはいられなかった。
「いつまでも見ていても仕方ない。いこー」
「何か面白いもんでもあったのか?」
追いついた僕らに対しての
見てきたものを話すと「ふーん」と興味なさげである。疑問に思っていると…………。
「なんだ気が付かなかったのか? そこら中に
そう言われて周囲を見回すと確かに黒髪の若い男女が多い。今回強制転移の対象となった僕らの居た学校は規模が大きく
そしてこの道路沿いに売りに出されている奴隷のほとんどが
奴隷は本来道具であり財産でもあるので僕らがイメージするような過酷な環境にいるものは少数との事だが、会話が成立しない彼らは売れ残り扱いのようだ。値札をちらりと見ると金貨3~5枚とかだったりする。ここは売れなかった奴隷の最終処理場なのだという。
ここで買い手が見つからなければ
多くの者がやせ細り死んだ魚のような目をしている。あーなってしまうともう買い手もつかないだろう。
後ろ髪引かれる思いだが諦めよう。
▲△▲△▲△▲△▲△▲
「相変わらず、ザ・お役所って感じだよなー」
そう呟く
「そうだよなー。
でも普通に考えると依頼受注、依頼の裏取り、税金前払い、各種事務手続きのなどの面倒事を代行してくれるんだからこんなお役所な感じでいいのではないだろうか? 僕らが思い描く
それにこの
「んで、どうするよ?」
「任せるよ」
よく考えもせずに一任してしまった。後に後悔するのだが…………この時は知る由もなかった。
その後各種手続きには
とりあえず棲家の方は後で確認するとして先に
「ここが
師匠はそう言って一度立ち止まり開かれた巨大な鉄門を見る。門の左右には他の市壁でも配備されていた
この出張所の役割は入退場する
「この高さ
そう説明した師匠が
「これで入場登録完了になる。こっちの左側の石板が入場登録で、門の右側にあるのが退場登録の石板だと覚えておくといい」
師匠に言われて門の右側を見ると同じような石板がある。
迷宮入場門まで歩いていき、左側にある石板のようなものに
僕らも師匠の真似をして
入るとそこは幅
その螺旋状になっている階段を85段、高低差
「あれって露店?」
その開けた空間は無秩序に露店が並んでいたのだ。
「まるでネトゲの露店エリアだな」
「ここは地下一階の入口
そう説明する師匠だが途中で言葉を切る。
「臭いが酷いですね。不衛生すぎる」
そう答えたのは
「町の下水設備と繋がっている。臭い消し用に香水を振りまきまくっているせいか合わさって初めて来る者には不快な臭いになる。兎に角慣れるか
その後の説明で各階の
師匠の説明を聞きつつ地下一階の
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