第29話 昇格報告
「師匠。無事に第二
もっともマリアベルデさんの救援がなかったら僕と
そういう意味では運がよかったというべきか、バレたら再試験なのかもしれない。正直に話すべきか判断に迷うところではある。
だがここは運も実力のうちとしておこう。
「その娘はどうした。新しい仲間かと思ったが…………結構衰弱してるな」
師匠の視線は
強制転移初日に行方が分からなくなった親類で奴隷として売られていたので買い取った事を説明した。
借金持ちが奴隷を買うとか怒られるだろうか?
内心非常にビクビクしていると、
「奴隷との出会いは縁というし、ましてや親類なら仕方ないな。いくらかかった?」
怒るどころか財布を取り出し、費用を出してやるとまで言い出した。
親切な人に費用を借りた事と解呪も済んでいる事、ただし返済先を告げずに別れてしまった事をを告げると、
「軽く見積もっても大金貨2枚じゃ済まないだろうに豪気な奴だなー」
と笑い出した。
そして笑いを収めると、
「送り返すのか?」
そう聞いてきた。しかも
師匠は屈みこんで
「君にはふたつの選択肢がある」
人差し指を立て、
「ここでのすべてを忘れて元の世界に帰る事。戻ればマスコミや好奇心旺盛な奴らの玩具になるかもしれない」
続いて中指も立てる。
「彼らと共にこの世界で生きていく事。だがここの世界は優しくない」
だが
「まー見ず知らずの奴にいきなりそんなこと言われても困るわな。少し考える時間をあげよう」
そういうと師匠が腰を上げて
「少し時間が必要だろうし先に迷宮都市ザルツへ向かおう」
と告げ歩きだした。
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すぐに市壁を越えるのかと思ったが何故か
「何か仕事を受けるんですか?」
「帰るにせよ残るにせよ、その娘を
師匠がそう説明してくれた。
師匠が受付さんに新規登録をお願いし、
「未成年の
この場合、僕が保証人になると
どーせ帰るだろうし数日程度ならいいかな?
「それで構いません」
師匠にそう返事をした。
そして無事に手続きが終わり
それを首にかけてあげると何故か頬を朱に染める。
いやいや、なに照れてるんだよ。このおませさんめ。
その後は特に何をするでもなく五日ほど大通り沿いの
宿を引き払い大通り沿いの商店で
対
「あれ? なんで…………」
見渡す限り平地だった。
「市壁から
師匠が笑いながらそう説明してくれる。目的地まで
その間に町がひとつあるそうだ。それ以外は交代で見張りもたてないといけないし、寝るのも地面だし、結構きついぞこれ。
さてこの半島だが、元々は
僕らは師匠のガイドに耳を傾けつつ、ただひたすら石畳の街道を南へと歩いていく。
やっぱり兄である
僕らはある程度慣れてきているので大丈夫だが、昼を過ぎたあたりで予想通り
ホンネを言えばこんな危険な世界ではなく平和な…………でも窮屈な世界に帰って幸せを掴んで欲しいと願ってはいる。
自分の思い通りにならないからと元の世界を捨てた僕らが口に出すことではないので黙っている。他の三人も同じだろう。
様々なものに守られてきた今年13歳になる
遅れがちな
僕は横を走り抜けていく
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