第28話 報告、そして巡り合う
「はい。これで手続き完了です。お疲れさまでした」
早朝に村を立ち夕刻に門前町に到着し
僕らの
緊急案件を手早く処理した事と
そして、その恩恵で貰った袋には結構な金額のお金が入っている。
「
今度は買取窓口に移動して巻物を5本鑑定してもらう。
「全部
そう聞かれたが、師匠から貰った呪文書に全部乗ってた魔術なので効果は知っているので断る。
「すべて売却でお願いします」
「畏まりました。少々お待ちください」
そう言いて
「お待たせいたしました。合計で10800ガルドになりますが内訳は聞きますか?」
程なくしてそう告げられたが、内訳は特に必要ないのでお断りする。
お金を受け取りホクホク顔で皆の元へと戻る。
これに元の軍資金がまだ金貨5枚分ほどあるので、金貨36枚と小銀貨400枚ほどだ。一部を貯蓄に回して装備の更新だろうか?
▲△▲△▲△▲△▲△▲
「今日は豪華な食事にしようぜ」
「「賛成」」
「マリアベルデさんも一緒にどうですか?」
高額報酬に貢献してくれた彼女にも声をかける。彼女は今夜はこの門前町で宿泊して翌朝には迷宮都市ザルツへと向かうそうで
「そうですね。一人の食事も味気ないですしご相伴にあずかりますね」
そうにっこりと微笑まれたが、ある意味では貴女が主役ですよとは言うのは野暮か…………。
門前町に地理に明るくないので街中をウロウロしていると蚤の市のような場所に出くわした。この時間はまだ人も多く結構明かりも灯っているので全体的に明るい。
そこで見つけてしまった…………。
「おじさん。その
その革製に
そう、盗まれた僕と
おじさんに金貨2枚を渡し
自分のを装着しチャックを開き中身を確認する。
「うん。問題なし」
そう頷いて待たせてあった皆の元に戻る。
「なんか欲しいものあったのか?」
「あれ? それってこっちに来た時に身に着けてた
「持ち主登録しておいたんで単なるガラクタとして扱われていたよ。師匠も運が良ければ取り返せると言ってたから探してはいたんだ」
「やったな! これで
そんな本気半分、冗談半分な事を言ってきた。いや、そのつもりだけどさぁ。
「はい。
「ありがとー」
礼を述べ
「それでみんなには相談なしで買っちゃったけど————」
そう謝ろうとすると、
「いいって事よ。もちろん俺らの荷物も持ってくれるんだろ?」
「勿論だけど、防犯と緊急時の為に保存食や毛布なんかは各自で持つんだぞ」
師匠にも言われたのだけど、
「それはしゃーねーな」
そう
▲△▲△▲△▲△▲△▲
「ふー食った食った」
「あんなに肉食ったのはいつ以来だろうなー」
言われてみれば肉と言えば
「
「ほら、あの子」
僕が
「!」
気が付いてしまった。なんでこんなところに…………いや、分かっている。奴隷として売られたんだから居てもおかしくない。
「瑞穂…………」
以前よりかなり痩せ細っているし薄汚れているが間違いない。この世界に拉致られたその夜に滞在中の村人に奴隷として売り払われた筈の
財布に手が伸びそうになった。
「みんな…………」
仕方ないなーという顔でみんなが僕を見ている。
口にしないが皆からの了承を得て格子状の窓へ近寄る。
「金貨35枚…………」
相場は分からないが他の
だけどこの金額は僕の独断で扱えるものではない。
トボトボと皆の元に戻り現在の手持ちの金額と値札の金額を告げる。
「金貨一枚以上残るんだろう。頑張って仕事すれば生活自体はなんとかなるんじゃね?」
そう皆に告げる。
「だから、今回は諦————」
「
僕の宣言を遮ったのはマリアベルデさんだ。
「いや、でも————」
そう
「これって大金貨じゃないですか!」
僕の右手には大金貨、いわゆる5万ガルド硬貨が一枚あった。
「返済はある時払いで構いません。私は探しモノの旅をしていますので返済は
とにかく行きましょう。とマリアベルデさんが僕の手を引いて
マリアベルデさんが女神に見えた。
交渉などはすべてマリアベルデさんが行ってくれた。僕はただそれを横で見ていただけだった。
問題があったとすれば金額だった。
金貨35枚の
運がよかったのは
あっさり解呪されて
全部の手続きが終わるのに
「
泣き出す
程なくして落ち着いてきたのか突然勢いよく離れてしまった。
「ごめんなさい。匂うよね?」
しまった。不衛生な環境だったのだろうから汚れや匂いは仕方ないと割り切っていたけど…………年頃の女の子に対して配慮がなかったな。
そこまで気が回ってなかった。どこかで
「
そんな僕の思いが通じたのかマリアベルデさんが右手の人差し指に填めた
すると淡い光が
「あ、ありがとうございます」
僕からも改めて礼を述べる。
しかし今のが
「ん? これ?
僕の視線に気が付いたのかそう言って指輪を見せてくれる。
旅の必需品だと言い切った。
確かに必需品だとは思う。
特に女性にとってはね。
店内で話し込んでも邪魔にしかならないので店舗を出て皆と合流する。
「今夜は夕飯のお誘いありがとうございました。私はこれで失礼しますね」
そう述べるとマリアベルデさんは足早に去っていく。まるで何かから逃げるように…………。
「そういえばあの子は何かに追われてるようなこと言ってた気がするなー」
気分の落ち着いた
「ところで
「あっ」
「でも、迷宮都市ザルツに用事があるって言ってたし、すぐに会えるんじゃないか? あの子目立つし」
再会できると良いんだけどねー。
▲△▲△▲△▲△▲△▲
一晩宿で過ごして5人で街をうろつく。
目的は
基本的には
「師匠。無事に第二
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