第25話 最終試験①
「万里の長城かよ!」
師匠の説明によると、ここから先の半島を完全に遮断する形で高さ
半島自体が
そして驚いたことに徒歩または馬車などで半島に入るための入り口はたった一か所しかなく、かなり警備が厳しいとの事だ。
僕らは徒歩で門前町まで移動する事となった。距離としては
しばらく歩いて門前町が目前まで近づいてきたのだが…………。
「なんか汚くね?」
「それに臭いが…………」
そう言って
「門前町は下水設備がない普通の町だからな。だが多くの町があんな感じだぞ」
師匠の話によれば上下水道が完備されている町は古代王国時の都市を再利用しているからで衛生面でもある程度の水準を維持できるが、多くの町は上水道もなく下水というか汚水は道に捨てられるレベルらしい。それでもメイン通りは衛生面に気を使っているらしい。
「迷宮都市ってこの壁の向こうなんだろ? さっさと通過しよーぜ」
そう
「お前さんたちはこの町の
え? それって暫くこの町に留まれって事?
僕らの声なき不満を感じたかは分からないが、昇格のコツを一つ教えてくれた。
▲△▲△▲△▲△▲△▲
師匠と別れて
「赤枠…………赤枠…………あった」
目当ての
徒歩二日のところにあるサームという農村で
「なんでこれが赤枠なんだ?」
依頼票を覗き込んだ
「受付で聞くしかないだろうね」
そう述べる
ここであれこれ言っていても仕方ないので、受付カウンターへと向かい
「この依頼を受けたいのですが」
まだ
型通りの挨拶もそこそこに事務的に
よくよく考えると
「この依頼は緊急案件で報酬額はかなり減っておりますがご理解の上での依頼受諾でしょうか?」
受付の女性はそう質問してきた。
「具体的な事は分かりませんが、どういう経緯で緊急案件なのでしょうか?」
師匠の話では赤枠の
安い分
「この依頼なんですが、実はすでに二組の
「よーするにマヌケの尻拭いを格安で請け負えって事だな」
「その分昇格の評価に色付けてやんよって事か」
察して
「私たちはまだ軍資金に余裕があるし受けちゃおうよ。こんな臭くて不潔なところに長居したくないよ」
「構いません。これでお願いします」
情報が不足しているが現地に行って村人に聞くしかあるまい。
「ではお気を付けて」
何やら
▲△▲△▲△▲△▲△▲
運がいい事にサーム村に行商に行く商人さんが見つかったので
徒歩だと二日近くかかる行程も
「やっぱ馬車は欲しいよなー」
重装備の
村の方を見ると既に畑仕事を終えて夕飯の支度中なのだろうか、いくつか煙が上がっている。
「おい。あの黒煙は
「
「
「行こう! アリバーさん馬車を止めてください」
御者を務めてた商人のアリバーさんが馬車を止めるのも待たずに身軽な
停車を待って僕と
ぱっと見た限りで
ざっと見た感じで50人規模の村だと思うのだが、それを20匹程度で襲い掛かるって事は、村の中での戦闘要員が少ないことを認識してるって事かな? それもあるけど、新人
本来は臆病なで無秩序な
「どこかに
そう呟きつつ周囲を見回す。
既に
何人かの村人も防戦しているが勢いに飲まれているのか手こずっている。
まずは
「見つけた…………」
師匠に言われた通りで、そいつは他の
そいつは燃え盛る住居の傍で何やら指示を飛ばしているが、
僕は
そいつはまだ僕に気が付いていないようだったが、僕の視界に映ってなかった一匹の
普通の
普通の
実際に
明らかに剣術の初歩は心得ているようだ。
僕はと言えば、まだ師匠のように器用に動きながら魔術は使えないので、威力重視ということで
しかし互いの
攻撃が届く前にこちらの一振りによって絶命した。
肉を割き骨を断つ感触は気分がいいものではないな————。
「あっちぃっ!」
戦闘中に思案とか間抜けもいいところである。
視界の端に赤い火線が見えたと思った時には胸に命中していた。
幸い命中した箇所は
傍の家屋の炎が不自然に揺らめく。
まずい。また【
ダッシュで
「くそっ」
走りつつ半ば自棄糞で胸の
逃げようと慌ててこちらに背を向ける所を左手に持つ
服と共に肉を割く嫌な感触が左手に残る。
「殺生は好きになれないが、お前らとは永遠に分かり合えないからな…………」
理解していないだろうと思いつつもそう呟き
「……………………はっ」
唐突な雑念で意識がそっちにいってた。そして
「くそっ! 【
あっさり魔法にかかってしまった事にイラっとして八つ当
生物の感情を司る精神の精霊の一種であるを用いたたりのするかのように
▲△▲△▲△▲△▲△▲
挨拶も兼ねて村長に挨拶に行った。
流暢な
被害が出たことを詫びたところ、
「
と村長に気を使われてしまった。
その後は夕飯に招待され、前任者が4日前に森に入ったきり戻ってこないとの情報を得た。
村在住の
四日前?
馬車などでも往復二日かかるんだけど、その割には随分と依頼の再掲載が早いな。
そのあたりの事を質問すると、森に入った翌朝に血塗れの
聞いた限りでは、もう巣穴に残っている
既に夜だが、ここは一気に攻めるか?
「みんなはどう思う?」
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