第19話 世界の真実?
「メニューにあるものは何を頼んでも構わないぞ」
事前に予約していた個室に入り明らかに高級品とわかる椅子に腰を下ろすと同時に師匠がそう言った。
「酒もですか?」
「まーこっちの世界じゃ15歳で成人だし呑むのは構わないが、明日以降の話をするから程々にな」
「うぃっす」
師匠の許可も下りたので嬉々として
個人的に気になったのはこのメニューだ。
紐止めで冊子状にしてあるのだが、文字が手書きじゃないうえに写真のようなものまである。
「師匠。これって…………印刷物なんですか?」
「活版印刷だな。但し料理の絵の部分は
その後も続く師匠の話では
戦士としては微妙そうな僕としては
「
あれ?
「先生。こっちの世界って
「
「そうなんですか。あれ? という事は卵もあまり食べられないんですか?」
「そーなんだよー。高谷家に世話になっていた時に毎朝喰ってた卵かけご飯が恋しくてな…………」
「ちょっと待ってください! という事はですよ…………古典ラノベ定番の
師匠の話にマヨラーでもある
「いや…………あるにはあるんだが、あまり保存が効かないんで卵が手に入った日に作って翌々日くらいまでに消費するって感じだし、こっちのはあまり美味くないぞ。
という事は
「あと
確かに
あれ?
「師匠。なんで
「そうそう。俺も気になってた」
僕の疑問に
「それは500年前までこの世界には
後は定番であろう塩や香辛料の話に及んだ。
塩は岩塩や塩田などがあるものの過剰な需要に対して供給がやや追い付いていないのでそれなりに高価ではあるそうだ。香辛料はさらに高価である。
師匠の話では食糧生産量に対して人口が多すぎるとの事だ。そのあたりが人命を軽視している理由でもあるらしい。
「こんな話してても仕方ないし、とにかく注文してしまおう」
師匠がそう言って呼び鈴を鳴らし
▲△▲△▲△▲△▲△▲
「喰った。喰った」
「もう当分豚肉は見たくない…………」
肉自体は昨日までの野外生活でちょこちょこと食べてはいたんだ。
食後のお茶とデザートとして出されたゼリーのようなものを食べつつ師匠の話を待っていると————。
「それじゃ満腹でいい気分だろうけど、明日以降の話をする」
そう言って師匠が語りはじめた内容は、
僕はと言えば、
そのあとは僕らだけでいくつか仕事をこなしてみて問題がないようなら迷宮都市ザルツにある
この
そう説明されてふと思った事があるので聞いてみることにした。
「師匠たちでもこの迷宮は攻略できなかったのですか?」
「何が楽しくて延々と迷宮潜って遊ばなければならないんだよ。10階層まで潜ったころには飽きてしまったよ。あそこに滞在する
確かにレベル上げとかレアアイテム揃えるとか目的がないと辛いかもしれんね。
「ヴァルザスさん。よーするに迷宮都市ザルツで
「…………そーだな。ただ強盗に
「迷宮で
僕らに構っていると本来の目的に支障が出る訳だから仕方ないか…………師匠からはまだまだ習いたいことが山ほどあるんだけどな。
「あ、ヴァルザスさん。前に約束した
「そういえば忘れてたな。見るだけなら迷宮都市ザルツへの道中でもいいが、操縦を覚えたいとなると…………よし、あと2か月後に元の世界へと【
「今日のところはこれで解散しよう」
そう師匠が言って立ち上がる。
「あ、くれぐれも今日はこの宿屋からは出ないように。まだ民兵が略奪暴行に勤しんでいるから襲われる確率がかなり上がる。この宿に居れば9割くらいは安全だ」
「9割? そこは絶対安全とかじゃないんですかい」
「戦勝気分と略奪暴行で気が大きくなっている阿呆な民兵が稀に襲撃に来る。最も兵士に発見されれば
「実際に報復ってどんな感じなんです?」
僕も怖いもの見たさというか興味が出たので聞いてみた。
「全
国という枠組みはあれで世界は
その質問に師匠は少し迷ってから————。
「この世界は
そう言って師匠が笑ったが、目だけは笑っていなかった。
もしかしてこの世界の闇の部分に触れてしまったんだろうか?
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