第18話 弱気になる。
まずは戦後復興の名目で
だが、しかし————。
「どーしてこうなった…………」
問題は部屋の割り当てである。
二人部屋と三人部屋しか取れなかったんだけど、てっきり
「入ろっか」
何事もないかの様に
▲△▲△▲△▲△▲△▲
「ヴァルザスさん。見事な部屋割りですね」
そう言って
「あの駆け落ちカップルはさっさとくっつきゃいいんだが、これまではその余裕すらなかったからな…………いい機会だ」
「まー確かに」
「駆け落ち? 何? どういう事?」
ヴァルザスと
「高谷家と小鳥遊家って犬猿の仲でな…………仮に武家の義務を果たしてもあっちの世界じゃあの二人は間違いなく結ばれないんだわ。それが判っているから今回の強制召喚で拉致られたのをいい事に帰りたくないって駄々をこねてるのさ」
やれやれと言った感じでヴァルザスがぼやけば、
「あいつら判りやすいんすよ。自覚がないのか結構お互いを目で追ってるんですよね」
「無自覚なだけに始末が悪い」
「ホント。ホント」
そう言ってヴァルザスと
彼らは隣の部屋で魔術で壁を透視し覗いているのである。
▲△▲△▲△▲△▲△▲
自分たちが覗かれているとは露知らず
「なんか隣は楽しそうね」
会話の内容は分からないが何やら師匠と
「そうだね」
返事はしてみたものの落ち着かずに部屋の中をうろうろとしてしまう。
「
そう言いつつ
一応僕も年頃の男子なんだが…………と思ったが、既に野外生活で隣で着替えるなんて毎日の事で感覚がマヒしてるのだろうか? やはりこういうきちんとした宿の一室ってシチュエーションが落ち着かなくさせるんだろうか?
だが、例えヘタレと罵られようとも生活が安定するまでは一線は越えたくないという意地もある。
「
そう言うとポフンとベッドに座り込んだ。
「お、流石に高い宿だけあって藁にシーツを敷いただけじゃないよ!」
僕の気も知らないで
突っ立っていても仕方ないので
師匠に言わせると一分以内に脱げるように訓練するようにとの事だ。
平服に着替えると確かに落ち着いた。
「夕飯までまだ時間あるだろうし…………どうしようか?」
こっちの世界はとにかく娯楽が乏しい。
正確には平民レベルではとの事だ。
既にどこかの世界の
基本的に職人の手作りであるがためにどうしても高価になってしまう。見習いに品質のバラツつきのあるモノを作らせて売り出すことに
それに平民が手にできるレベルまでコストダウンするには工場で大量生産でもしないととてもではないが広まらない。最大のネックは時間に余裕のある生活が送れていないのが浸透しない原因らしい。
「また何か考え込んでる? いい加減座ったら?」
そう言って
考え事に没頭していた僕はバランスを欠いてしまい————。
「…………
そのまま
「ごめん…………」
慌てて腕を退かすも——————。
「ねぇ? 溜め込んでいる事を吐き出してよ。一人で抱えないでよ。私にならいくらでも愚痴って良いんだよ」
そう言って背中に手をまわし抱きしめてきた
今までは
だが僕にも意地がある!
慎ましいもののそれなりに存在を主張する胸に顔を埋め、これまでの不満を漏らした。
それは不満というより
気が付いたら僕は
「
▲△▲△▲△▲△▲△▲
「どうしてこうなった…………」
隣の部屋をヴァルザスの魔術で覗き見していた
「ヴァルザスさん。俺と
「
ヴァルザスの回答はこうだった。
「それはそれで悔しいな…………」
ヴァルザスの回答に
「しかし折角のラッキースケベからの一線越えかと期待してたら…………残念だ。非常に残念だ」
気分を変えるために
「俺…………
「あれは何を言ってるんだ?」
「性癖…………ですかね?」
延々と続く
▲△▲△▲△▲△▲△▲
「落ち着いた?」
「ありがとう。いま退くね」
そう言って起き上がりつつ、
「おかしいな…………」
「何が?」
「こんな格好悪いところを見せる予定はなかったんだけどなーって」
「何言ってるのよ。三歳からの付き合いだよ。今までいくらでも格好悪いところ見てるのに今更?」
そう言って
「でも僕は
「私はいつ戻ってくるか分からない
僕の言いたいことを見透かし食い気味に意見を言ってきた。
「ごめん。確かにそうだね」
「判ればよろしい」
「そうだ。気になっていたことがあったんだ」
「ん? 何かな?」
「今回の野外生活で
「平気なわけないじゃん。人前で着替えたり身体拭いたりトイレ行ったり恥ずかしいよ。私がどれだけ平静を装っていたと思うの」
そう言って頬を染めプイっと顔を背けてしまった。
しまったなーと思っていたタイミングで扉がノックされる。
いいタイミングだと思いつつ扉を開けると師匠や
「飯行くぞ。支度は…………出来ているようだな」
そうして5人で一階に併設されている
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