第11話 浪漫は未実装
魔法!
それは浪漫!
だが高揚した気分もヴァルザスさんの説明を聞くにつれ失意に変わりつつある。
まず大きく分けて四つに分類される。
精霊との
この世界に来たばかりでいきなり神を敬えと言われて「はい。わかりました」で
精霊との
「今から十年前後も勉強とか流石にありえませんって」
思わずヴァルザスさんに文句を言ってしまった。
それに対してヴァルザスさんは笑いながらこう言った。
「基礎教育から始めるから十年なのさ。お前さんら元の世界で基礎教育は済ませてるから魔術を使うだけなら数か月もかからないさ」
時間のかかる理由は他にも
「それは分かりましたが、
「いや、私塾もあるし、なんなら俺が教えても構わない」
これはラッキーと思っていたのだが続いた言葉が————。
「授業料代わりに
しかしこれは
「ところで最後の一つはなんなんです?」
これまで素養なしだった
「最後のは全員適性ありだった。
▲△▲△▲△▲△▲△▲
皮肉というべきか強制召喚で多くの異なる世界の人間を
文字の方はヴァルザスさんが単語帳を用意してくれた事もあり、なんとか…………辛うじて? 依頼掲示板の依頼も理解できるようにはなった。この小都市程度だと
問題は単位だ。長さは四センチが基準となっているし重量は1.2キログラムが基準となっている。他にも速度も温度も面積なども使い慣れない数値で割と混乱する。
文字に関しては幸運なことに法律によって漢字に相当する文字にはルビを振ることが義務づけられており
そのおかげもあって————。
「いよいよ初仕事かー」
一番装備の重いはずの
「でも採取の仕事ってもっと近場でぱぱっと済ませられるものだと思ったなぁ」
この仕事を選んだのは
現在僕らはヴァルザスさん…………以後は師匠と呼ぶ。の命令で依頼掲示板にて手頃な依頼を受けて移動している真っ最中なのである。
「正直言えば僕も採取の仕事はルートの町を出てすぐ近くに薬草の採取場所があるものだと勘違いしていたよ。師匠に指摘されていたのにね。でも普通に考えたらそんな近場なら
「今のペースで歩ければ後
「疲れてはいるけど…………まだ大丈夫」
そう返事をかえした
▲△▲△▲△▲△▲△▲
日が西に沈んだ頃にようやく本日宿泊する予定のダロト村に到着した。残念なことに途中で
それよりもゲームみたいに道中で盗賊やら
「昼間から野生動物や
疑問を口にした僕に対しての師匠が笑って答えたのであった。
月明かりと家から照らす僅かな明りだけを頼りに一番大きそうな建物へと歩いていく。僕らの世界では当り前のようにあった街灯すらここにはない。
「なんか明かりの灯っている家の数少なくないですか?」
とりあえず疑問は口に出しておけば監督役として同伴してきている師匠が何らかの回答をくれる。
「それは下層民まで娯楽が浸透してないし照明用の油の節約で多くの村人は床に入ってるんだろう…………だがそれにしては変だな————」
師匠の呟きは地に響くような重い金属音によってかき消された。
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