第10話 装備を整える。
その後は「装備を買い揃えるぞ」と言うヴァルザスさんに連れられて最初に連れていかれたお店は古着屋だ。確かに僕と
この世界では新品の衣服を身に着けられるのは富裕層だけだ。一般人は中古や自分で
デザイン的な違いはあまりなく悩むことなく僕と
「それだと
下着の話をしていたら
「
「とはいえ事実じゃんよ…………」
「冗談だよ。そう怒るなって」
どう見ても本心だろうけど、ここで僕と揉めるメリットもないし、ここだけの冗談って事で流せって事のようだ。
「今の笑えない冗談は聞かなかったことにするよ」
事実には違いないんだけどこれから一緒に活動するんだから無用なトラブルは避けてもらいたいものだ。これだから巨乳好きは…………。
しかし幸いにして
通訳としてヴァルザスさんが付き合っている事もあったのかトラブルもなく10分後くらいに
「結構買ったね? 持とうか?」
僕はそう言って両手で抱えている袋に手を伸ばす。
「
お断りされてしまった。やっぱり下着とか入ってるから気にしてるんだろうか?
その後は冒険者相手に商売している雑貨商へ移動して
防寒用にもなる旅装用
それと財布用の小袋も購入する。小銀貨千枚くらいまでなら納められるそうだ。ちなみにガルド小銀貨の大きさは
後は鍋とか調理道具とか調味料なんだがこれは保留にした。
最後にメモ取るために紙とインクとペンを買う。てっきり羊皮紙かと思ったんだけど、徐々に紙に置き換わってるらしい。ただ紙質がよくないのだろうか? わら半紙っぽい。
「あとこれを買っておくといい」
ヴァルザスさんはそう言って手持ちサイズの青銅鏡を差し出した。青銅を磨いただけのもので写りはそれほど良くはない。勧めた理由は物陰に隠れた際に周囲を
意外だったのが
ゆっくり休みたいときは町で寝ればいいとの事である。
ただし移動が長い時で人数がいる場合は
着替えやタオルも詰めていくとけっこう重量が……。
その状態で毎日平均
普段歩かない僕らには慣れるまでが相当きつそうだ。そう考えていたら次は靴屋へ行くとヴァルザスさんが言い出した。
中古で買った
こっちの世界だと服同様に靴も中古が主流だ。ただ旅に適した革靴などは自分の足にあったものを作ったほうが良いとされている。最も住民の多くが殆ど住み慣れた地から出る事がないのだけど。
ヴァルザスさんが気難しいそうな職人に要望を伝えると三人とも石膏で足型をとり作ることになる。速乾石膏が乾くまで待たされるのが地味に辛かったのは内緒だ。制作期間は
それまで町で時間を潰してるほど暇でもないので履き潰しても問題ない中古の靴を購入した。
「中古って事は水虫とかは?」
店を出た後で
「アレは嫌だよな。水虫などは
こっちの世界では革靴履きの宿命のようだ。それ故か
気が付けばとっくにお昼を過ぎていた。
目の前の大衆食堂っぽい店から漂う匂いに僕のお腹が鳴る。
「そういえば昼がまだだったな」
僕のお腹の音を聞きつけたヴァルザスさんはそう言って扉をくぐる。
店内は混雑時間を過ぎたのか待たされずに4人掛けのテーブルに案内される。
「丁度いいから、下っ端
ヴァルザスさんはそう言って
ほどなくして
今回の食事は一人頭で小銀貨4枚、4ガルドだ。この世界では町中に居る場合は朝と昼にがっつり食べて夜は寝るだけなので少な目らしい。
周りを見回すとベーコンをスープに放り込んで食べるようだ。保存のために塩味の強いベーコンと薄味のスープが丁度いい塩梅になる。やたらと硬いパンはスープに漬して柔らかくして食べるようだ。
味はともかく空腹を満たすくらいには分量があった。食べた後は鍛冶屋に移動し先に防具を見繕う。調整が必要になる事があるので先に買っておこうって事になった。
防具は僕は当面は前衛を担当する事になるので多少防御力は欲しいとの事で
一方で
ヴァルザスさんの返答を聞いた
「いったい何を聞かれたんですか?」
予想は出来たけど好奇心に負けて思わず聞いてしまった…………。
「年齢を聞かれたんだよ」
しかし予想外の回答が返ってきた。
「どういう事です?」
「成長期の女性は成長に合わせて何度か胸部装甲を作り直さないといけないんだが、胸部周りの装甲を切り取った後に
成長期って胸のだよね?
「15歳と答えたら、「なら胸部の成長はあまり気にしなくていいですね」と言われたのさ」
「…………やっぱそこに行きつくのか…………」
どうやら
結局は
でも
代金を支払い終え僕用の
見本用に様々な種類の武器が陳列している一角に移動するとヴァルザスさんが必ずこれは持っておく様にと言われたのが、やや大振りの
僕と
そして
「
ただし、その場合は殺人も
それならゲームやアニメや漫画でも定番の
「片手で使うには重いし長いしで手首を使った素早い返しがやりにくい。両手で使うには長さも重量も
更にもう1つ問題があった。かなり重いのである。
更にヴァルザスさんはこうも言った。
「[高屋流剣術]は道場剣術として完成されてるが、お上品な道場剣術ゆえに怪物相手じゃ持ち味を生かせないことも多い。怪物などを倒すには向かないし、1度学んだ技術を崩してみるのもアリだぞ」
そう言われてなぜか納得がいったので、迷ったんだけど……それでも剣は男の浪漫だと思うんだよねって言うことで片手剣の
そうなると左手が空く事になるのだけど、楯は格好悪いし、これまで使う習慣がなかった事もありどうしようかと思い悩んでいるとヴァルザスさんが
形状的に
あと
僕と
「そいつは有効射程が
ヴァルザスさんにそう注意されたので、僕は
これで僕の装備の全備重量
「俺の武器はこれにするわ」
一方で
「なんでそれにしたの?」
そう
「ん……。杖術習ってるから馴染みがあるからかな。それにこの
「しかし全員前衛って事になるのか…………」
思わずそう呟いてしまった。
「いや、
僕の呟きを耳にしたヴァルザスさんがそう言った。
魔法!これは浪漫の魔法戦士を目指せという啓示!
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