第2話 襲撃の果てに
「
そんな会話が零れるくらいには余裕があるようだ。積極的な者から近くにあった薪やら農具やらを手に取る。
「序盤の覚醒イベントとかだろ?」
「
「この
そんなやりとりを遠めに眺めつつ僕らも準備を始める。彼らの脳内では序盤の負けイベントは考慮されていないらしい。
僕と
僕はそこから練習用の木刀を取り出す。
三人で頷きあい救援に向かおうと思った時だ。
僕らの後方からも悲鳴が上がった。ここには学園の生徒しかいない。周囲は暗く焚火の炎に照らされたソレは赤銅色の肌をした醜悪な容姿のボロを
いや、あれが
あっと思う間もなく一人の男子生徒が脚を切られてバランスを崩したところを別の
雑魚だと言ったのは誰だったろうか?
不意をうたれた、予想以上に小さくてすばしっこい、そして無秩序だ。
僕らは完全に呑まれてしまっている。
凄惨な光景にこちらの戦意は委縮し、逆にこちらの弱気を悟った
恐怖による混乱で軍事教練の内容なんてすっかり頭から飛んで喚くばかりの先輩たちや下級生たちを尻目に
僕や
冷静に対処し一対一で戦う限り確かに
▲△▲△▲△▲△▲△▲
気が付けば周りにほとんど生徒がいなかった。周囲の状況を把握できないほど必死だったという事だ。
森側から襲撃してきた
そして魔法を使う
慣れない武器で数匹の
そしていつの間にか僕は
その時、前方の
そこから
装備も上等であり周りの反応を見るにこれが
直接耳に入る言葉は理解できないが内容だけはわかる。
この村の住人を百人以上殺した。
お前が最後だ。
お前は強いから降伏するなら俺の
そんな内容だ。
「断る!」
そう
▲△▲△▲△▲△▲△▲
「…………ここは…………」
藁の上に布を敷いただけの粗末な布団に寝かされていた。
左右を見回せば生徒たちが寝かされている。
白衣を着た見慣れない人たちが
「あ、目が覚めましたようですね。んーお話通じるかな?」
その鈴の鳴らしたような可憐な声音で僕に話しかけてきた少女は現地語でそう話しかけてきた。
「直接は判りませんが言っている事は理解はできます」
「
そう言って大輪の花のように微笑んだ。
そして微笑はどこの女神でしょうかと問いたくなるほど神々しいものだった。
この少女だが年齢は一二歳前後で見る角度によっては薄紫色に見える長い真っすぐな銀髪に神秘的な
「そうだ。自己紹介が遅れました。メ————」
突然言葉をきり目を泳がせたあとに、
「マリアベルデと言います。他には近くのタンゼントという町から
今あからさまに本名を言いそうになって慌てて偽名を名乗った感じではある。だがここは知らないふりをするのが礼儀かな? 周囲で忙しなく動いている人たちは
「僕は————」
「異なる世界から呼び出された
「そうです。そうだ自己紹介が遅れました。高谷
「イツキさんですか…………西方の
「知人の話だと多分ですがよく似た
大雑把に食客だったヴァルザスさんとその相棒のフェリウスさんの事を語り、これまでの状況をザックリと話してから、いくつか質問しこちらの世界の情報を仕入れた。
そして僕は最も知りたかったことを聞くことにした。
「聞きにくいのですが、僕らはどうなっていたのですか?」
死んだ時の事は覚えている。
「村人はほとんどの人が亡くなりました。だけど貴方達は祈りが通じたのか全員蘇生したけど、
りこん? 離婚? なんだろう?
「あ、ごめんね。
マリアベルデさんはそう説明してくれた。
「この世界は蘇生は割と頻繁に行われたりするのですか?」
「大神殿に多額の寄付金を納めるか、大神殿の高位の
「わかりました。なら僕らは運がよかったという事ですね」
そう。今の話からすると誰が実行したのかは明言していないがかなりの人数に蘇生の奇跡を願ったことになる。そんな聖者のような人が居るというわけか…………。しかも
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます