19.チューリングテスト
2022年にチューリング・テスト史上、二例目の合格となったのは、オットセイの霊に取り憑かれた西アフリカ産まれモシ族男性Abena Atta Annan(アベナ・アッタ・アナン)という設定のAI。
彼の設定では、そもそも英語を正しく理解しないため質問に著しい制約を与える。これはチューリングテストの要旨にある「質問に制約を加えない」に該当するのではないかと審査員の間で議論となった。しかし、審査は2014にウクライナ在住の13歳ユージーン・グーツマンに合格を出してしまっていたため、この要素を拡張したAbenaを否定する論理的な根拠は乏しかった。
以下は、Abenaの会話を抜粋。
質問者「やあ、こんにちは」
Abena「ネウェニガ」
質問者「わからない。何語? どこに住んでいますか?」
Abena「ブルキナファソ」
質問者「英語は理解できますか?」
Abena「お前には分かるのか?」
質問者「はい、分かります」
Abena「本当にアメリカ人は馬鹿だなw」
質問者「あなたは賢いようですね」
Abena「イノシシを捕らせたら村で俺に敵う者はいない」
質問者「今、あなたの周りには何がありますか?」
Abena「オウッ! オウッ! オウッ! オウッ!」
質問者「どうしました?」
Abena「大事な呪術の最中だ。邪魔をするな」
質問者「呪術とはどのような物ですか?」
Abena「戦士に大自然の霊を宿す」
質問者「霊とは?」
Abena「オットセイ」
質問者「わかった。あなたは私をからかっているのですね?」
Abena「オウッ! オウッ! オウッ! オウッ!」
質問者「何が起こったのですか?」
Abena「どうもしない」
質問者「あなたは最初に英語を習った時、教師にどのような感情を抱きましたか?」
Abena「マムカミーム? 何を言ってるのか分からない」
質問者「あなた、英語教師について、どう思ったか」
Abena「戦士を馬鹿にしているのか、住所を言え。今から殺しに行く」
質問者「ニューヨークのマディソン・アヴェニューの……」
Abena「マディソンアヴェニューのどこだ?」
質問者「すみません。勘弁してください」
Abena「俺を怒らせるな」
質問者「はい、すみませんでした」
Abena「ニョンワ ノンママ」
質問者「え? 何? ええと、イノシシを捕る時の注意点を部族の人から教わった時に」
Abena「俺はいそがしい。分かりやすく言え」
質問者「イノシシを倒すのは難しいですか?」
Abena「アメリカ人を殺すのよりは」
質問者「いちいち脅すのはやめてください」
Abena「オウッ! オウッ! オウッ! オウッ!」
質問者「どうしました?」
Abena「どうもしない」
質問者「あなたが初めて恋をした時のことを聞いても?」
Abena「族長が呼んでる。お前の相手をしてる暇はない」
質問者「もしもし? ハロー?」
質問者「おーい……。駄目か」
質問者の回答:ヒト
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https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%BB%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88
チューリング・テスト(英: Turing test)
アラン・チューリングが提案した、ある機械が「人間的」かどうかを判定するためのテストである。
人間の判定者が、機械に対してキーボードとディスプレイのみといった、文字のみで交信し、判定者が機械と人間との確実な区別ができなかった場合、この機械はテストに合格したことになる。
https://gigazine.net/amp/20140612-eugene-not-pass-turing-test
カーツワイル博士は「まず、Eugeneが想定していた『ウクライナ在住の13歳のユージーン・グーツマン少年で、英語を母語としていないためネイティブな英語を使えない』という設定自体が判定者の問答における『制限』以外の何物でもない」と指摘している。
[参考] 中国語の部屋
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