第17話:大雨


 そんなこんなで帰省は終わり、成人式の翌日に東京に戻った。どうもこうは雪も好きになったみたいだ。自然が好きなのかな?興味をいろんなものに示すのは良いことだしと思ってみてる。長野に行ったことは凄くこうにとって貴重な経験だったらしく、勉強会の時も長野の話をするらしい。そして児相の面談の時も。


「横山さん!」


「大和田さん、びしょぬれでどうしたんですか?」びしょびしょで服の上からタオルで吹いているが、きりっとした風貌と空気を持っているお兄さん。警官の大和田おおわださんだ。こうの件でお世話になっているダンディーなおじさん警官。


「横山さんに教えてもらった話を聞いてもうちょっと調べてみるよ!」


「ありがとうございます。」他にも仕事があるだろうにこうの親を探し続けてくれてるらしい。今回の情報で"都心、無戸籍、親は夜の仕事"という情報が追加される。その前にあった"あざ、父親不在"からとてつもない進展らしい。進展…ね。手がかりがない中、例え不確実なことでも情報があるのは有難いらしい。でも、本当に親が見つかっちゃったら…って複雑なんだけどね。


「こう君帰省楽しかったみたいだね。」


「大和田さんにも話してました?」


「あぁ。振り袖きれいだったって言ってたよ。」思わず笑みがこぼれる詩に大和田さんは


「嬉しそうだね。」とまるで近所の子供を見るような視線を向けてくる。


「えっ、あ、いや、その…。」下を向き恥ずかしいというのがばれないようにすると


「君も頑張ってることだし、おじさんも頑張るわ。」と言葉を残して去ってった。恥ずかしがったのばれたな。いやそれよりこうの親が見つかっちゃったら…本当は見つからないといけないんだけどね。外は土砂降りの雨だった。

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