第8話 書き出し練習2
日常生活のワンシーンから始まるスロースタートの書き出し。
とぽぽぽぽ
コーヒーメーカーの音だけが部屋の中で響いている。
部屋は20畳ぐらいだろうか?
粗末な机とソファがあるだけの部屋で、中小企業の応接室のような所である。
奥にドアが二つあり、その内の一つが半開きになっており、そこが給湯室になっており、コーヒーメーカーが稼働している。
ガチャリ
奥にあるもう一つの扉が開き明らかに起きたばかりとわかる一人の男が入ってきた。
くたびれた茶色のスーツを着た中年男で無精ひげを生やしたままなのでぶっちゃけ汚い。
そんな男がめんどくさそうにポリポリと頭をかいて給湯室に入りコーヒーを取り出す。
とぽぽぽぽ……
コーヒーがカップへと注がれていき、ほど良いラインで止め……ようとしたのだが、目算を誤ってなみなみになってしまう。
「おっととと」
慌ててコーヒーを置いて、口をカップに近づけて少しコーヒーを飲むのだが……
「あちぃ!」
舌が火傷してしまい、慌てて下がってしまう
ガン!
そして後頭部を給湯室の壁にしたたかにぶつけてしまう。
「くぅぅ……」
頭を押さえる男。
やがて痛みが治まってきたので痛む後頭部をなでつつコーヒーカップを取って、元居た部屋に戻る。
部屋は彼の私室のようで、生活に必要なものが全部そろっていた。
すでに点いているテレビからニュースが流れる。
「先日起きた殺人事件の続報です。三田町で起きたセラピスト殺害事件で事件前日にうろついていた男の映像を警察が公開しました。警察はこの男を行方を追っているようです」
テレビから流れるニュースを見てニヤリと笑う男。
「あーダメだダメだ。その男じゃねぇよ。その男は単に別の部屋の女の子に告白したくて迷ってるだけだよ」
男はそう言って頭を横に振る。
「そろそろ名探偵である俺様の出番かな?」
男がそう言うと玄関から呼び鈴の音がした。
ピンポーン
男がにやりと笑い、手櫛で髪型を整えて、姿見でスーツを乱れを直す。
そして玄関へと向かいドアを開けてダンディに言った。
「やあ、如月探偵事務所へようこそ。私が所長の如月斗真です。本日はどんなご用件ですかな?」
男がにこやかに微笑む。
扉の前に立っていたのはにこやかな笑みを浮かべた美女だった。
少々化粧が派手な美女でアクセサリもきらびやかな物が多い。
その美女はにこやかな笑顔でこう言った。
「借金取りでーす♪今日が支払期日なので催促に来ました♪ちゃんと耳揃えたのと内臓売る覚悟決めたのかどっちですか♪」
「今日は所長が留守です」
名探偵こと如月斗真はすぐに扉を閉めてダッシュで裏口へと向かった。
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