第3話 三人の男
お題
三人の男に取り囲まれた女の子を助ける話
昼下がりのレギウール広場でそれは起こった。
「げへへへ……姉ちゃん遊ぼうや……」
「や、やめて! 」
三人の屈強な男たちが彼らの腰位の高さしかない女の子を取り囲んでいた。
周りに居る人たちが何事かと思ってそちらを見る。
レギウール広場は王都に住む人たちの憩いの場で昼になると近くの食堂がすぐに満席になるほどだ。
荷を運ぶ商人たちもここで寛いでいることが多く、何事か思って様子を見ている。
「ねえちゃぁぁぁぁぁん!一緒に遊ぼうぜぇ! 」
「早く行こうよぉ! 」
「へっへっへっ……」
「や、やめて! 」
必死で逃げようとする女の子に対して囲いを作って逃がそうとしない男たち。
男たちはトゲ鋲付きの革鎧を着けており、明らかに凶悪そうな顔をしている。
すると一人の男が進み出た。
腰にブロードソードを下げ、純白の鎧を着た青年で秀麗な顔つきをしている。
「やめたまえ! 私が相手になってやる! 」
「あんだぁ? てめぇ? 」
不穏なことを聞きつけた男たちは、すぐに腰の山刀を抜刀して純白の青年を囲い込む!
「や、やめて! 遊びに行くから!」
囲まれていた女性が叫ぶと純白の青年がきらりと白い歯をきらめかせて笑う。
「大丈夫ですよご婦人」
そう言って青年がブロードソードを抜刀したその時だった!
「すかしてんじゃねぇよぉ! 」
真ん中にいたモヒカンの男が叫んで山刀を振り上げた!
めきっ!
純白の青年のブロードソードの柄がモヒカンの鼻に直撃する。
「ふげぇ! 」
鼻を押さえて倒れこむモヒカン。
「よくも兄ちゃんを! 」
そう言って今度は左のスキンヘッドの男が山刀を振り上げた!
キィン!
今度はその一撃をブロードソードで受け止める青年!
「今だ! 」
最後に残った髪を逆立てていた男が山刀を横薙ぎ振るう!
ツンツン頭の山刀が脇腹へ刺さった!
青年ではなく、スキンヘッドの男の脇腹に!
「うぐぅ! 」
「ああ! 」
うめき声を上げるスキンヘッドの男に驚愕するツンツン頭。
幸いにも峰打ちをしていたらしく、苦悶の声を上げるだけで終わるスキンヘッド。
青年は不思議そうに言った。
「おや? 峰打ちしてくれていたのか? 優しいことだな」
ボゴォっ!
青年の拳がツンツン頭の顎へと入る!
ツンツン頭も崩れ落ちた。
「これに懲りたらさっさと立ち去れ! 」
青年がそう言って怒鳴ると男たちは涙を出して叫んだ!
「「「うわーん! このお兄ちゃんが虐めるぅ~!!! 」」」
「…………へっ? 」
体に似合わない男たちの泣き声にきょとんとする青年。
「「「ねぇちゃ~ん!!! 助けてぇ~!!! 」」」
「はいはい」
そう言って先ほど取り囲んでいった少女の所へ駆け寄る男たち。
そして少女がきっと青年を睨む。
「だからやめてくださいって言ったでしょ! 弟たちに乱暴するなんて! 」
「…………ごめんなさい」
青年はそう謝るしかなかった。
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