第3話 白の光とカッコ悪い名前
白の光が手術室全体を覆う。
さっきドクターが話していた赤、緑、青、黄のどれでもない色がドクターから貰った石からは放たれていた。
ドクターは興奮気味に叫ぶ。
「白の光・・・!グレンデル!!これはすごいぞっ!!」
「白・・・・ドクター、私この色教えてもらってない」
グレンデルは叫ぶサリスをジトーっと見ながら言った。
「あぁ、教えてないさ!白は極めて稀な特殊体質!スキャナーかドライバーの性質を現しているからな!!」
またも知らない言葉にグレンデルは石に込めた力を緩めサリスに問う。白く照らされた手術室はゆっくりと元の明るさに戻る。
「スキャナー?ドライバー?ドクター、それってなに??」
やれやれといったしぐさをしながら答える。
「まったく、大したやつだよお前は・・・お前はおそらくドライバーだ。スキャナーは男性がほとんどだからな。詳しいことは追々説明するが、どちらも魔法に長けた能力を有することだけは確かだよ」
「私、魔法得意なんだ・・・・うれしい」
「得意というか、魔法に関しては一番の能力を秘めているよ」
「すごい・・魔法使える?」
「ああ、使える」
「・・・やった」
この時
サリスは初めてグレンデルの笑顔を見た。
一通りの検査を終えた二人は丸いテーブルを挟んで椅子に座り話す。
「ひとまず整理するとお前は結晶を奪われたドライバーの少女ってところか」
「うん、あとひとつ、わかることあるよ」
「お、何か思い出したか?」
グレンデルは左目とは明らかに視界の違う右目を抑えながら答える。
「うん。私、右目の視力がおかしいみたい。多分、良く見えすぎてるの」
「ほう・・・なるほど、それは興味深い。今度お前の視覚魔素を調べてみよう。何かわかるかもしれん。とりあえず一旦は眼帯で隠して不自由なく歩けるようにしよう」
「うん」
グレンデルはドクターから医療用の眼帯を受け取り、それをつけることにした。
「さてと急患の検査も済んだし、俺はこれから街に行く。お前も気分転換に来るかい?」
「町、あるんだ。行きたい。何か思い出すかもしれない」
「よし、じゃあ支度をして街に行こう」
サリスの自宅兼診療所は王都からは少し距離のある丘の上の村にあった。
「今から王都に行く。あそこに見える大きな街だ。歩くと少し距離はあるが魔法車を起動すればすぐに着く」
そう言いながら四輪の【魔法車】と呼ばれた乗り物のほうを向いたサリスは、護身用といって腰に携えている片手剣を魔法車に向け魔法を発動する。
「フレイ・フィール!」
すると一筋の炎が魔法車の機関部に入り、魔法車が唸りを上げる。
「どうよ!グレンデル!俺が開発した移動式四輪魔道具!!!その名も魔法車!これさえあれば王都なんて一瞬で行ける!」
サリスは自分で作ったであろう魔道具を自慢そうにグレンデルに紹介する。
「魔法車って名前が、カッコ悪いと思う」
「お前は思ったことすぐ口にするタイプな・・・・ドクターショックだぜ」
「今度かっこいい名前、考えてあげる」
「いらない優しさだそれは・・・」
「名前はともかく、魔法車確かに早かった」
ドクターの言うり王都まではすぐだった。
大きな街は活気にあふれ、メインストリートを行く人は数多くの露店に興味を示していた。
「そういえばバザールやってたんだっけ、人多いなぁ」
魔法車を道端に止め、サリスは溜息をつく。
「人多いねドクター。はぐれちゃいそう」
「おいおいグレンデル、迷子だけは勘弁してくれよ?俺たちの目的はバザールじゃないからな?」
「お買い物じゃないんだ・・・何するの?」
買い物じゃないことにガッカリしながら聞く。
「それ、聞いちゃう?教えてあげよう。グレンデルならバザールよりも喜ぶぞ~?」
「うん。教えて」
「この国の守護神。炎の
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