第144話
楽しい楽しい合宿もとうとう今日で終わってしまった。
とてもきつかったけど、ほとんど一日中大好きなバスケができたこの期間は、私にとって夢のような時間だった。
けど、永瀬くんと誤解し合ったままじゃなければもっともっと楽しかったんだろうな……。
私の言葉足らずのせいで、永瀬くんは私が怒ってるんだって勘違いしてたみたい。
本当にごめんね……。
でも、ちゃんと話せて、許してもらえてすごく嬉しかった。
それに、これからももっと頼っていいって言ってもらえた!
もちろん頼り過ぎは良くないってことはわかってる。
だからきちんと自分で考えて、頼るべきところとそうじゃないところを判断しなくちゃ。
前よりはそういう知識や判断力も身に付いてきたしね。
自分で言うのもなんだけど、私、かなり上手くなってきたと思う。
これまではなんとなくでしか上達を感じられなかったけど、今は一つひとつのプレーで何が良かったのか、何がダメだったのか、そういうのがわかるようになってきた。
それでも結局、一対一で凪先輩や灯湖先輩にはぜんぜん勝てなかった。
きっと永瀬くんのアドバイスがなければ一勝もできなかっただろう。
やっぱり永瀬くんはすごいなぁ……。
私の一対一だけじゃなくて、三対三のときにウリちゃんやミマちゃんも、永瀬くんのアドバイスで勝ててた。
永瀬くんがいれば絶対に全国にいけるって、ますますそんな風に思えた。
……ううん、ダメだダメだ。
こんなことじゃまた永瀬くんにプレッシャーを感じさせてしまうよ。
もうあんなに苦しい思いはしたくないし、永瀬くんに嫌な思いもさせたくない。
明日はいよいよ試合だ。
私がどれくらい出場できるかはわからないけど、出られたら絶対に良いプレーができるよう頑張らなきゃ。
……そういえば、結局永瀬くんに
言うべきだって思ったのに、怖くなって言えなかった。
もうこのまま、言わないままの方が良いんだろうか。
言わない方が、永瀬くんが傷つかずに済むんじゃないだろうか。
でもそれは、自分の醜い部分を隠していくってことだ……。
どうするべきなんだろう……。
あれ?
スマホが鳴ってる。
電話だ、一体誰だろう。
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