第3話 悲願
悠真が帰ってから暫くたち、寧々は椅子に腰を掛け、指を鳴らした。すると先ほど悠真の出迎えをしていた執事が何もないところから現れ、手にはカップを持っていた。
「お嬢様、紅茶を入れてまいりました」
ありがとう、と寧々はカップに口をつけた。
「…お嬢様、魔法を使うのは控えてください。あなたは…」
執事はまるで娘を心配しているかのような眼差しで話す。
「分かっているわ、でもあの方を信じさせるには他に手がなかったもの」
そういうと一瞬、寧々の身体はまるでノイズが走ったかのようにぶれていた。
「それに私はずっと待っていたのですよ、何十年、何百年と、あの方を」
まるで恋に焦がれているかのように話す寧々。
寧々は願っていた。何百年と待ち続けていた。それは悲願であり祈願。
「今度こそ…今度こそ----して」
バイト先が異世界!? 更科悠紀 @yuu0526
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