遠くのボーリング場のピンが倒れる【From:ヒラメキン】
ヒラメキンです。どうもです、はじめまして。
いやー、まいったね!なにを書こうかしら。むむむ。
そうだな。じゃあま、本日のありきたりな一幕をひとつ。
今日はね、我らが竜宮の頭上は台風一過のぽかぽかの快晴でしたよ。数日空を覆っていた重たい灰色が裂けて、久しぶりの青空。鳥の鳴き声に誘われて、あたしもぴっかぴかの白いスニーカーを履いて家を出たわけです。
しかし暑い!もう秋なのになあ。
近所には川が流れていて、どうも休日なんかは走ったり自転車をこいだりする人で賑わうみたいなんだ。ところどころにベンチが置いてあって、屋台みたいなのが出ていたりもする。そこではたい焼きがひとつ?一尾?百円で売っていて、子どもたちが黄色や水色のシロップをかけてかき氷を食べてた。
いつもはこのあたりまでしか行かないんだけど、今日はちょっと足を伸ばしてみようかなんて思ったわけさ。
というわけで川沿いに沿ってひたすら東を向いて歩くとね、これまたでっかい川が出てくるの。河原には緑色のよくわからん草がわさーっと生えていてね。風がやたらと強い。あたしは野球帽をかぶっていたわけだけど、飛ばされないように押さえて、ちょっとうつむきがちにね。すると影が濃いわけ。真っ黒の影がまぶしい草のうえに落ちているのを見るとね、なんだかたまらなくうれしくなっちゃうんだな。そういうことってない?
川にかかる橋を渡ると、越してきたばかりの新しい街からまた新しい街へ出てきた。新しいもの尽くめの景色は楽しい。道路は広く、背の高い建物がちらほらあった。複合商業施設があって、駅があって、図書館があった。
とにかくもう暑くて倒れちゃいそうだったから、図書館に入った。
すっごいおおきな図書館で、ずらーっと本棚が並んでた。
ちなみにあたしは本が人並みには好きで、暇があれば読んだりするんだけど、ここにはきっとまた来ることになるだろうなって思った。
あたしはぺらぺらと適当に雑誌を読んだ。雑誌ってなんだかいつも華やかで、ちょっと憧れる。だから科学やら地質学みたいな名前のものやら、手あたり次第に読んでみたりする。大抵おもしろいんだ。あたしが好んで読む小説って大抵いわゆる古典みたいに言われているイカツイものばかりだから、こういった新しい情報に目を通さないと時世に遅れた女だとかって言われたりするわけよ。ま、ほっとけって感じなんだけどさ、たしかにあたしはテレビも見ないしインターネットのなかをうろうろしたりすることもないから、せめて新聞や雑誌くらいは読まないとかなとは思うわけ。
でも困ったことには雑誌を読んでると、あーあ。旅行がしたいな!服が欲しいな!なんてことをぐちぐち考えちゃうんだな。
しかし、なにをするにもお金が必要だ。やれやれ。
図書館を出てすこし先へ行くと、ひなびたボーリング場があるのを見つけた。
あたしは財布を覗いて、相談して、そこへ入った。瓶のコーラを買って、2ゲーム投げた。スコアは128と、141。我ながらなかなかの腕前。
すっかり疲れてしまったので、帰りはバスに乗って帰宅。
子どものころってこんなに暑くなかったと思うんだな。地球温暖化ってやつだよね。ずーっと暑かった。ほんとに。でもこうしてバスに乗ったり図書館に入ったりすれば涼むことはできちゃうわけだ。でもね、舗道を歩く犬や猫はすごく大変そうだったよ。ほかの生物もきっとそうじゃないかな。地球がこんなに暑くなっちゃうのは単に自業自得なだけならまだしもそうではなくて、文明の外側にいる生物に対してひどいことをしてるんだって考えたら、あたしはもう反省しまくっちゃって、帰ったらエアコンはつけないようにするぞ!とかって考えるんだよね。ま、やらないんだけど。
でも塵も積もれば山となるっていうかさ、どんなことであれこつこつやってくのってけっこう重要なことだと思うんだ。マジメな話。
行きつけの中華料理屋ののれんをくぐって、餃子とザーサイをつまみにビールを1杯飲んだ。今年の夏は酷暑になる、なんてことをテレビがしゃべってた。とっくに知ってる話。煙草また値上がりするんだってよ、とオジサンたちが話してた。
私は背表紙のすり切れたこち亀をいい加減に読んで、それから会計を済ました。残金382円なり。
店を出ると、おっきな夕陽が山のてっぺんに刺さってた。反対側には夜が紺色に星を散らしたマントをたなびかせてのぼっている。方角的におそらく、そのしたには今日訪れた街もあったと思うな。
そんな感じで帰宅。
あたしはいよいよ職を見つけなきゃと思って、探して、連絡して、すぐに決まった。
探しはじめてから30分も経ってないんじゃないかな?あたしって基本的にせっかちなんだ。
脱・無職!ということで、明日から新聞配達の仕事を始めることになったので、まだ夜ともいいきれる時間ではないけれど、深夜の出勤にそなえて早めに眠る。
おやすみさん!
HiRame
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