第59話 家族愛をコンビニ経営で確かめる7

「なんじゃこりゃ!?」

 安倍家のコンビニは、一躍有名店になった。原因は、夜勤用に雇った外国人アルバイトのトランプだった。

「レジの売り上げがない!? SNSのこのふざけた動画はなんだ!?」

 全員が悪いとは言っていない。これはフィクションである。一例として、深夜のアルバイトを雇うと、このようなことになるかもしれない。

「警察です! 捜査を開始します! 防犯ビデオの回収をします! 鑑識、突撃!」

「おお!」

 バイトテロ事件が起こり、安倍家のコンビニは休業。警察が出動する事態になった。

「私たちのコンビニはどうなるの!?」

 安倍家は不安でいっぱいだった。

「おはようございます。安倍さん。」

「ザキヤマ社長!」

 そこに連絡を聞いて、コンビニの運営会社、デイリーザキヤマのザキヤマ社長が現れた。

「残念ですが、事件になってしまっては、これ以上、ここでコンビニを経営する訳にはいきません。違約金は要らないので、コンビニは閉鎖します。」

「ええー!? 待って下さい!? じゃあ、私たちはどうやって生きていけばいいんですか?」

「契約書に書いてあるでしょ? ちゃんと契約書を読んでからサインしてください! この店舗は閉鎖! あなたたちとの縁はこれまでだ!」

「そ、そんな・・・。」

 安倍家はコンビニを失った。開業資金の300万円を奪われただけで、コンビニオーナー生活は終わりを告げた。

「私たちはどうやって暮らせばいいの?」

「俺、就職活動するよ。」

「俺、バイト活動するよ。」

「俺、病院に戻るよ。」

 安倍家は、またも無職生活に逆戻りした。


「戻りました。」

 父の晋男は入院中の病院に戻ってきた。

「コソコソ。」

 なにか看護婦たちの様子が変だった。

「安倍、あなたコンビニオーナーじゃなくなったのね。」

「はい。」

「お金の無い患者には用はないのよ! 早く退院してもらえる!」

「ええー!?」

「ちゃんと入院費は払えるんでしょうね? 払わないと警察に通報するわよ!」

「そんな!?」

「それとこれまでの看護婦の体に触ったセクハラを弁護士に訴えるか相談するから、示談金を準備して待っていなさい!」

「合意の上だったじゃないか!?」

「黙りなさい! 貧乏人! あなたなんか、コンビニオーナー詐欺よ!」

「騙されたのは、こっちの方なのに・・・。」

 晋男の病院での扱われ方は犯罪者扱いだった。ハーレム生活が終わり、地獄に落とされた。

「出て行け!」

「ギャア!?」

 ナースに蹴られて病院を追い出される。

「これから私の人生はどうなってしまうんだろう?」

 安倍家の人生は困難を極める。

 つづく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る