第38話 宇宙歴史0002-4

 ここは宇宙中国の宙域。偵察に来た日本のジャパロボが、中国の赤いジャパロボと遭遇し攻撃を受ける。

「開発に成功していたのか!? 中国は!?」

 隊長の浅井は中国の宇宙専用のジャパロボの性能に驚愕する。

「敵機、きます!」

 中国の赤いジャパロボが日本のジャパロボに襲い掛かる。


 ここで設定を追加。0001の3話を読み終えた。0002同様、私的コメントが初期部にはあるのだが、世界観ができあがったのだろう。私的コメントのようなものが無くなり、3話の途中からは普通の小説であった。

 本作もそうなっていくであろう。もし0001から続けて書いていれば、まったく私的コメントのない書き出しで、小説としては、もっと良かったのかもしれない。

 異世界ファンタジーでは、基本、私的コメントは入らない。設定が決まっているからだ。しかしSFは科学技術の問題から「設定の壁」がある。よく登場人物に会話の中で説明させるという手法が用いられるが、本作は「構想を練る」という初期段階から書き始めているので、会話で説明の手法が使えない。もし本作を会話で説明手法を使うのであるならば、宇宙歴史0000のジャパロボの開発時の研究室から始める必要があるからだ。


 ここは宇宙中国の宙域。

「ギャア!?」

 中国の赤いジャパロボのビームが隊長機も一撃で消し去った。

「隊長!?」

 大川は目の前で4人も隊の同僚が殺されるのを見てしまった。

「いや・・・来るな!? 来るな!?」

 ショックで錯乱した大川のジャパロボは攻撃行動に出る。ミサイルランチャーをドカン、ドカンと、次々と連発して中国の赤いジャパロボに向けて放つ。

「キャア!?」

 目の前に中国の赤いジャパロボが一瞬で現れた。大川のジャパロボが放ったミサイルはことごとく回避されたのだった。

「離せ!? 離せ!?」

 大川のジャパロボは両手を中国の赤いジャパロボに捕まれて、身動きが取れなくなる。

「女か?」

 その時、大川のジャパロボの通信無線が中国のジャパロボのパイロットの声を拾った。中国のジャパロボのパイロットが通信チャンネルを合わせたのか、若しくは国際通信チャンネルがあるのかもしれない。

「離せ!? 中国のジャパロボのくせに!?」

「これは中国のチャイロボだ! ジャパロボではない!」

 中国のジャパロボのパイロットは、自国への愛国心から、国際規格である宇宙ロボットの名称「ジャパロボ」と名乗るのを嫌った。

「チャイロボ!? 勝手なロボットの名称変更は国際法違反よ! この会話と映像はドライブレコーダーに撮影されているんだから!」

「それがどうした? これから世界は変わるんだ! 宇宙は中国のものになるんだ! 俺の名前は周金! 俺が日本を滅ぼしてやる!」

 中国のチャイロボのパイロットの名前は周金。少年兵として中国の宇宙覇権を願っていた。

「俺は無くした家族を取り戻すんだ!」

 国は関係ない。日本人でも中国人でも戦場に出る者には守りたいものがあるから、負けて失わないように戦い続ける。

「女を殺す趣味はない。日本に帰って、中国の生み出した新型チャイロボの脅威の性能を伝えてさせてやろう。日本が中国に降伏する日が目に浮かぶ。」

 そういうと周金のチャイロボは背中のブースターを吹かせて戦場を離脱して行った。

「なに? なにが起こったの?」

 大川はコクピットで放心状態でしばらくの間、動くことが出来なかった。なぜなら隊で生き残ったのは自分一人だけ。目の前で人が死ぬ所も初めて見たのだから。


つづく。

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