第6話 カロヤカにお任せあれ!
「ということで、今日も一日無事に終わりました。」
カロヤカさんは父親、薔薇の仏壇に手を合わせてお参りをする。
「どういうことよ?」
カロヤカさんの妹、楓。
「我が家で仏壇のお世話をするのなんて、カロヤカしかいないんだから。」
カロヤカさんの母、桜。
「あんたたちうるさいわね! 私がお父さんに手を合わせようが自由でしょ!?」
「て、ゆうか、スーパースターの姉を持った妹の気持ちを考えたことがある? 毎日、学校でお姉ちゃんを紹介してって、男女に言われるんだけど。」
「私の知ったことじゃない。」
「あんた、妹を粗末に扱っていると、お父さんが化けて出るわよ。」
「私は、そうならないように毎日、お父さんの仏壇に手を合わせて、成仏してくれるように祈っているから大丈夫!」
「あ、耐えた。」
「昔は、お化けの話になるとお漏らししていた子が、大きくなったもんね。」
「私だって、いつまでも子供じゃありません!」
「お姉ちゃんは、霊感が強いからね。」
スポーツ万能、成績優秀、才色兼備のカロヤカさんだったが、怖いものが1つだけあった。
「とりあえずお父さんの幽霊なら、なんとか出てきても大丈夫。耐えれるわ。それに本当のお父さんは娘の私が嫌がることをしないはず!」
カロヤカさんが怖いもの。それは、お化けが怖いということだった。
「こらー!? カロヤカさんの弱点は、私が発表する予定だっただろうが!?」
ライト文芸部の部室で、部長の春夏冬天が悔しがっている。
「え? そうなんですか。」
戸惑うカロヤカさんと、越後屋笑、小田急大蛇の3人。
「カロヤカさんの弱点を握った私は、カロヤカさんがお化けが怖いという弱点で、カロヤカさんを脅して、ラノベ愛好会に入部させて、ラノベ愛好会をライト文芸部に格上げする予定だったのに!? ああー!? クソッ!? 悔しい!?」
「ごめんなさいね。天は思い通りに行かないと口から火を吐く癖があるの。」
「ガオー!」
口から火を吐く天。
「中国雑技団ですか?」
「フォローになってませんよ。宇賀神先輩。」
「そうかしら? ウラララー!?」
「笑って誤魔化した!?」
「部長も部長なら、先輩も先輩だ。キャッハッハ!」
「私は、愛らしい先輩たちだと思うけどな。ニコッ。」
先輩の宇賀神麗も、部長同様、カロヤカさんたち後輩に白い目で見られるのだった。
「部長! そもそも、ライト文芸部とは、何をする部活ですか?」
「いい質問ですね。」
「アキラ池上かよ!?」
何にでも軽いボケが入る。
「フッフッフ! ライト文芸部とは!」
「ライト文芸部とは!?」
「アニメを見たり、マンガを読んだり、私が好きかってにゴロゴロするための部活だ! ワッハッハー!」
「しょうもない、ねえ、カロヤカさん。ニコッ。」
「す、素晴らしい!」
「え?」
カロヤカさんは、初めて見るゴキブリの様な人間に興奮していた。
「さすが部長です! カロヤカは感銘を受けました!」
「おお! カロヤカさんには、私の偉大さが分かってくれるか!」
「はい! 部長! どこまでもついて行きます!」
「ワッハッハー! 時期部長は、カロヤカさんに任せよう!」
「ありがとうございます。」
「変な所で共感してるわね。」
「カロヤカさんも所詮は人間だったか。キャッハッハ!」
こうしてライト文芸部は部員5人で一丸となった。
「ワッハッハー!」
部長たちはゴロゴロ転がりながら漫画を読んでいる。
「麗先輩は何を読んでいるの?」
「BLよ。」
「ボーイズラブですか。」
「違うわよ。坊さんラブよ!」
「え?」
「最近、男前のお坊さんが多いのよ。服を脱いだら尼だったとか、盛り上がる展開よね。」
普通の人間は、ライト文芸部にはいないことが、改めて判明した。
「しまった!? 私としたことが!?」
「どうしたんですか? 部長。」
「お金持ちキャラを部員に入れないと、楽しいティータイムが過ごせない!?」
部員構成に問題が発生したかに見えた。
「部長、困った時は、このカロヤカにお任せください。」
「どうするの?」
「まず、ハガキとペンを用意します。次に懸賞の応募しているものを探し欲しいものを探します。」
「あ! 私、これが欲しい、ニコッ。」
「ガストンのドリンクバーセット?」
「でもこれ、1名様限定よ。当たらないって、キャッハッハ!」
「分かった! そのためのカロヤカさんね。」
「その通りです。」
カロヤカさんは、ドリンクバーセットに申し込む。
「パンパン。」
ハガキをポストに入れる。
「郵便です。」
2、3週間後。郵便配達の人がハガキを届けてくる。
「あ、当たってる!?」
カロヤカさんの出したハガキで、ドリンクバーセットをゲットした。
「さすが! カロヤカさんだ!」
これが正しいカロヤカさんの使い方である。
「カロヤカさん! アニメの映画の試写会のチケットに応募してくれ!」
「私も! 今度は、お姫様ベットが欲しいな! ニコッ。」
「まあまあ、ロイヤルミルクティーでも飲んで落ち着きましょうね。」
「宇賀神先輩は、何か欲しいものはないんですか?」
「私はBL体験ツアーラブホテル2泊3日の旅でいいわよ。」
「マジか!?」
部員たちは、次から次へとカロヤカさんに懸賞に応募させた。
「いたたたたっ、手が!?」
おかげでカロヤカさんの手は腱鞘炎になったのであった。
「カロヤカにお任せあれ。」
道を歩けば100臆を拾う強運の女、カロヤカさん。懸賞ハガキを出せば、ドリンクバーセットでも何でも当てるのであった。
「完全に4コマ小説になってきたな。」
「深く考えずに行きましょう。」
これなら、まだ実写ドラマ化できる学園モノだろう。
つづく。
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