第14話 青葉区

 青葉区と名付けられた自陣拠点に戻ったアイリス達を太一とまりえが出迎える。


「みんな、お疲れ様!」

「しいかちゃん達の識別信号が消えたわ……。」

「タイミングずれの和平交渉が仇となったのだ……。」


 どこかの兄妹との違いは、争うことなくしっかり状況を5人で共有したこと。打開策を練る。が、その前に本当はやっておきたいことがある。


「どうしよう。肩が凝り凝り……。」

「試合が終わるまでは、休ませられないかもしれませんね……。」


 あゆみと優姫が不安そうに言った。2人共戦力値が半減している。


「どうしたんだい? 2人とも!」

「あ、いや。何でもないわ」

「すみません。試合中に私語をしてしまって」


 太一があゆみと優姫に話しかけると、2人は顔を見合わせた。乳休めのことは恥ずかしくって太一には言えないのだ。そこへちょうどまりえが太一に話しかけてきた。


「マスター、疲れたー!」

「じゃあ、休みなよ」

「うん!」


 そのあと、太一は体育座りして、頭の上に下敷大の板を乗せた。まりえは、その背後に膝立ちして近付き、乗っけた。おっぱいを。太一の頭の上の板の上に。そして、数十秒間じっとしていた。


「な、何をなさってるんですか……。」

「え? 乳休めだよー! 気持ち良いよー!」


 その行為は、あまりにも自然で、エロくない。暫く考えたあと、優姫は笑い出した。


「うっふふふ。マスター、私もお願いしてよろしいですか」

「あぁ。交代で使って」


 こうして、優姫は数分振りに乳休めの場所を得た。


「あゆみは、どうする?」

「じゃ、じゃあ。お願い、します」


 あゆみは恥ずかしがっていたが、今日のアイリスならやるだろうと思ったから、躊躇いながらも応じた。


「アイリスは?」

「私は、今は遠慮させていただきます!」

「えっ、アイリス、休めないの」


 顔を真っ赤にしたのはあゆみだった。アイリスが裏切ったわけではないが、どこかスカされた気分だった。太一と10年以上一緒に暮らしているまりえと優姫は兎に角、ただの幼馴染の分際で、太一の頭の上に気軽におっぱいを乗せてしまった自分が恥ずかしいのだ。アイリスは真顔で、その分の活躍を約束すると言った。


「何だぁー。遠慮なんかいらないのに」


 疲れを癒して元気になった3人と、死に物狂いのアイリス。死角は全くなかった。そのあとは連携も冴え渡り、立て続けに5人を殲滅した。SAIKYOUのプレイヤーが舌を巻くほどだった。


「こ、KOURYUUのプレイヤーは、化け物か……。」


 こうして、チームKOURYUUは、初出場で初優勝を果たした。

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