第12話 暴かれた秘密

 チームSAIKYOUが6名なのに対し、チームKOURYUUは無傷の8名。数的にも個の力量も今やチームKOURYUUの方が上である。それでも戦局が膠着状態になっているのは、チームSAIKYOUの経験値の高さと言わざるを得ない。


「彼女達の秘密が暴ければ、引っ繰り返せるはずなんだが……。」


 たかたんは、ずっとそんなことを考えていた。普通に考えれば、絶望的な状況だが、まだ勝利への執念を捨てていない。


 ーーパンッ!ーー


 乾いた銃声のあと、仲間がヒットと叫ぶ声がした。これで人数は8対5。ジリ貧だ。旗の前に陣取る太一とまりえを除いても6対5。圧倒的に不利となったSAIKYOU。


 そんなとき、たかたんの前に仲間をヒットした弾が転がり込んでくる。


(危ないなぁ。うっかり踏んずけたら敵わない……。)


 そう思って弾をフィールドの外に放り投げた。そのときに、たかたんは不思議な光景を目にする。KOURYUUのプレイヤー達が一斉にフィールドの外に目を向けた。放られた弾は転がっているが音はしない。


(何で分かったんだ?)


 たかたんは考え、1つの仮説を立てた。それは、敵のプレイヤーは耳がすこぶる良いということだ。自分の銃の弾を1発抜いて、今度は反対側に投げてみた。転がる弾。たかたんには聞こえない。だが、今度もまたKOURYUUのプレイヤー達が一斉にそれを目で追い出したのだ。直ぐに安全と気付いて目を向け直すのだが、反応は確かにあった。


(これが、秘密というわけか)


 あまりにも素早い反応と、目視してから撃つまでの俊敏な行動。この2つの現象は、たかたんの立てた仮説で充分に説明できる。残る秘密は、あと1つ。攻勢にありながらの不自然な撤退だけとなった。


(何故、撤退する? どこへ向かっているんだ?)


 たかたんの推理は続く。

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