第3話 たかたんはナンパ男⁉︎

 初戦は、守りを重視した戦略をとるが、見せ場なく終了する。5分43秒でチーム卑裏悪が勝利を収めるまでフィールドに生き残ってはいたが、その内容はお粗末だった。試合は終始チーム卑裏悪がコントロールしていて、嬲り殺されたに等しい。ポイントも振るわずマイナス24点で最下位。


「生き残るだけじゃダメってことみたい」

「相手の旗を取るか、ヒットするかで得点を稼がないと、勝てないわ」

「その通りさ、お嬢さん達!」


 あゆみとアイリスがはなしているところに、割って入ってきたのはたかたん。そういう軟派な行動を、あゆみもアイリスも好きではない。太一だったら良いのだが。


「このモニターで、少し試合を見ると良いよ」


 だが、相手は強豪チームのエース。あゆみもアイリスも好きではないが、言われた通りにモニターで観戦した。そこで繰り広げられているのは、サバゲーという名の戦略ゲームだった。誘い込んで回り込んだり、先に敵同士の潰し合いをさせたり、戦略上有効なエリアを抑えたり。あゆみとアイリスは、サバゲーの奥深さを実感した。


「見てるだけでも楽しいでしょう! それがサバゲーさ!」


 たかたんはキザに腕を拡げて言った。まるで、サバゲーの神様気取りだ。


「貴方が、試合を観ているようには思えませんでした」

「えっ?」

「いやらしい目で人の胸ばかり見てらしたわ」


 たかたんは、確かにアイリスの胸を夢中になって見ていた。アイリスの爆乳は滅多にお目にかかれるものではないのだから仕方がない。だが、アイリスも画面に釘付けだったはずで、まさか気付かれているとは思っていなかった。だから、おっぱいを見つめていたのを指摘されたたかたんは、息を飲んだ。


 そのとき、太一が2人を呼ぶ声がした。


「おーい、2人共。作戦会議するよー」

「はぁーい、マスター!」

「今行きまーす!」


 あゆみもアイリスも、目をハートのようにして太一のいる方へと駆け出していった。


「なるほど、マスターか。面白い……。」


 たかたんは、2人の視野の広さに驚いたのと太一への嫉妬を必死に隠して小さく呟いた。

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