第4話 覚醒

 予選第8試合。チームKOURYUUは覚醒をみせる。攻めに出たプレイヤーは、高い身体能力を見せつけるようにして、他チームを圧倒。開始3分02秒で3本の敵旗を奪う。擬人化した金魚が持つ身体能力が覚醒したのだ。


「相手に恵まれたとはいえ、フィールドレコードを塗り替えちゃった!」

「なぁーに、案ずるな。記録はまた塗り替えれば良い!」


 チームSAIKYOUのだっさんが、たんたかに応じる。


「たしかに。そうでなきゃ『楽しく』ないですよね」


 予選第10試合は、優勝候補のチームSAIKYOUとチーム卑裏悪が揃ってエントリー。目の離せない1戦となる。が。


「に、2分48秒……。」

「きっちり3本取ったねー!」

「すっ、すごいわ……。」

「ちょっと、何なのよ。強過ぎるわよ」

「あの卑裏悪を、まるで子供扱い……。」

「だから、大会なんて辞めときゃ良かったのに!」

「ま、本領発揮ってヤツでしょ」

「でも、私達だって、絶対に負けられない!」


 観戦していた太一達は、ライバルの強さに怯えた。それでも第11試合を無難に勝利し、予選最終戦の結果次第では決勝進出が見えてきた。だが、最終戦の対戦相手にはチームSAIKYOUがいる。


「ま、新参者の勢いもここまでだな」


 予選第14戦を無難に勝ち上がったチーム卑裏悪のエースが呟く。現段階での実力差を考えれば妥当な意見だった。既に決勝進出を決めているチームSAIKYOUからすれば、目障りなチームKOURYUUを叩き潰すのが優先事項。自陣の順位にはそれほど拘らなくても良いのだ。実力だけでなく、おかれた状況が違い過ぎる。大方の予想では、序盤はチームKOURYUUが攻め、中盤からチームSAIKYOUが圧してくるというものだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る