第5話 予選第15試合ーー前編

 試合開始の合図。東に陣を構えるチームKOURYUUは予想通り南と北を同時に攻める。予想と大きく違ったのは、チームSAIKYOUも西から北と南を攻め始めたことだった。だから当然、北でも南でも三つ巴の遭遇戦が頻発した。太一の指示がフィールド内に響き渡る。


「あゆみ、避けて!」

「アイリスは前に行き過ぎ」

「あおい、しいかをフォローして!」


 開始3分。局地戦はあるものの、こう着状態が続いた。このまま引き分けとなった場合は、チームKOURYUUには決勝進出権がない。だから、多少の無理は承知で、南側のチームを押し込んでいく。それを待っていたのが、たかたんだった。


「こういうとき、中央がガラガラなんだよね!」


 中央の柱の陰で呟くと、太一のいる東に目を向けた。守りは薄く、1人で突破できる可能性もある。だが、たかたんは最短コースを通らず、南側にまわりこんだ。


「決勝で跳ねまわるおっぱいを見るのも、『楽しい』ってね!」


 そしてそのまま、南へ押し寄せるアイリス達の背後を取った。


「もらった! 黄色のぼいんちゃん!」


 たかたんが黄色のぼいんちゃんと呼んだのは、アイリスのことだった。アイリスは黄色を主体とした迷彩服を着ていた。だが、たんたかが黄色と呼んだのはそれが理由ではない。たかたんは試合前のセーフティーゾーンで、アイリスの衣服のボタンが外れて半開きになった胸の奥のブラジャーをしっかりと見ていたのだ。その色が黄色だった。

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