第2章〜獣使いは嘘に塗れる〜

プロローグ 獣と少女




 そこは獣の森。有象無象が跋扈し、生き物が生き物を食らう食物連鎖の檻。弱者は食われ強者が蹂躙する強者の為の世界。


 しかもそこにいる生物はただの勝者敗者ではない。生まれながらにして異能を持ち、異能で異能を喰らい続けた強者が存在する異形の空間。火を吐き水を凍らせ、風を支配する異能の強者は、それまでにあったはずの弱肉強食の理をぶち壊す。生きるべきが死に死ぬべきが生きる。弱肉強食にして弱者が強者を食らう混沌の空間。


 そんな殺し合いの世界に、彼女は生まれた。少女は強固な牙も逞しい巨躯も持たない、知恵の獣。そんな彼女が生き残るには、獣を統べる力を学ぶしかなかった。


 彼女は獣達の屍の上で、獣達を仲間にするすべを培って来た。その力は後に、獣達全ての力をその身に纏うすべへと昇華された。


 彼女、サラ=ハルクサトリは獣達の王国で魔王となった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る