第8話 妨害された人権相談会

第8話 

   妨害された人権相談会    乙音おとねメイ


 7月28日の人権相談は、離島開発総合セン○ーという無人の建物を見ただけでスゴスゴと帰ってきた。でも、次回11月にも行われると役場窓口で知り、ホッとした。


 誰かに相談するときに、この植物の楽園で、こんなにも酷いことをする人がいることを、どう話せば理解してもらえるのかと考えあぐねてしまう。

 先日、家族が見ていたニコニコ動画を思い出す。見渡す限りどこまでもひまわ畑が広がるその美しく陽気な花咲く野原で、アニメ遊戯王の登場人物たちが入れ代わり立ち代わり、ただただ、

「ギャー!」

と叫んでいる。それを思い浮かべてしまった。その動画は、背景とのアンバランスさが多くのファンに支持されていた。今頃はミリオン超えの視聴回数になっているかもしれない。


 うちの犯罪暴力被害の現状を考えてみると、その動画と同じような感じがする。何か真実味にかけるような気持ちが自分自ら、生じて来そうになる。

 建物内は、様々な犯罪行為の連発でも、窓から見える景色は、惜しげもなく降り注ぐ太陽の光、青い空に白い雲、黒潮のブルーと赤潮のグレーの日替わりの色を見せる大海原。


 ベランダでは、ヤンバルクイナがチャコールグレーのボディにオレンジ色の足と嘴のアーティスト然とした佇まいで、それはそれは美しい歌声の吟遊詩人ぶりを発揮している。その詩の朗読は、私をも詩人にする。雀たちは、朝夕柵の上に整列し、日の出と日の入りの数分間の柔らかい太陽の光を、松果体に送り届けている。私のマスターのひとりだ。


 そして秋にはフクロウ、冬には、

「ケーン!ケーン!」

と叫ぶ雉、生涯を連れ添うと言われるタンチョウ鶴のカップルも窓から見える小学校の休日の校庭に羽休めに来る。


 春には鶯、ホトトギス、夏には透きとおった声のカッコウ、それに、7年目に地上に出てきたことを祝賀するように、

「ウシャシャシャシャ!」

と、7日間笑うクマゼミ、バンビもおサルもいる自然豊かな南の島なのだ。


 そのような訳で、ステキな鳥たちと共に暮らす屋久島の自然の中にあって、楽しかったり、嬉しかったり、怖かったり、気落ちしたりで忙しくて、何がどうして知らない上階のMという人、またはいなくなった夫との離婚で、姓が変わっているならNという人から虐待犯罪行為を被らなければならないのか?

 

 まず、冷静に考えよう。たった今、生きるという単純なことを妨害されて、落ち着いて生活する、生きて活動するという簡単なことも困難に感じられるようにされていたのだった。こうした卑劣な犯行を行う者たちがいることを、公に内外に伝えて訴える。それはこの惑星地球に暮らしている大勢の人間への貢献になる。


 そうだ、犯人グループをその道のプロに捜査していただき、厳重な処罰と、我が家以外にもいる案○の団地群にいる10世帯の家族(卑劣にも老齢夫婦と母子家庭ばかりを狙う)その被害者たちの解放! そして、あどけない笑顔の時もある第4世代、その次の世代に繫げようとあほらしいことを親が教え込んでいる(暴力を奨励する)連鎖、その芽を摘み取ってもらおう! 

  

 私は光り輝く「今」のために、地球、日本、その屋久島に来たのだろうと思う。5年前に私が創作したおとぎ話『山の便り』のせいもあるかもしれない。現実化の一端を感じる。私は、屋久島の山々と縄文杉に呼ばれた。

「メアリーよ、助けておくれ。山肌の麓に暮らす子供たちを」

と。




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