#これが読めるか勇者よ -急-
1
「MA-O!O-MA-E-WO-TA-OSU!」
「*の**…*れ***るか、勇者*」
「…?何-DA、それ-HA!」
「え…?**が*****のか?」
「お前-wo-TA-OSU-TAME-に
HITA-SURA-教えRARETA-のはTUNE-に-戦いKATA-のみ!」
「…****待った。聞いて****。
もし***今まで******、受け***?**では**?」
2
「当たり前だ!そんな暇は無かった!
SEKAI-の-KIKI-のために-MINA-HA-は俺に戦い-KATA-を…」
「え、**、嘘**?」
「嘘なものか!」
「**と**けど、**は**…?」
「わからん!」
「お金の***は?」
「?たくさん-HARAEBA-良いんだろう?
AITE-は大喜びだった!SASUGA、勇者様とな!」
「…!?」
3
「皆は困っていると聞いて-ITA-からな。
お金と-YARA-は皆にたくさん払ったぞ!」*
「…**に今の**金は?」
「?荷物に-NARU-と-IKENAI-からとな。
ここまで-NAKAMA-に-NATTE-くれていた-YATURA-に-WATASHITEOITA!
良い-YATURA-だ!」
「嘘*…*か」
「時間稼ぎか?MAOU!TAOSU!」
「…*で**物は…?」
4
(*****************!!)
「あうっ!」
(この************が!!***************!!)
「ひっ!ごめん!なさい!やり!なおす!から!」
(**********は********と、言えと************が!!)
「ごめんな!さい!」
(この***********!たくさん***********というのに!)
「いたい!」
5
(***を、勇者に************!
****たくさん********と*********!!)
「ごめんなさい!ごめん!あっ!なさい!」
(*****!)
「や、やめて、それは…!」
(***は、勇者と*****のに!**********だ!!)
「ごめんさい!やめて!やだ!
おぼえます!おぼえます!それだけは!」
(駄目だ!!)
6
「…いたい…」
[ああ、あれが例の…]
[子供ではないですか。本当に?]
[王も相当、せっつかれておりますからな…]
[しかし、大金払って、あれで本当に勇者になるのか?]
[…まぁ、無理にでもする、そうだ。
そろそろ仕込むらしいぞ?]
[前の勇者はそれで麻痺して、失敗したのでは?]
[今回も…]
7
「だれか…いたい…」
[死にかけではないか…いっそ死ねれば楽だろうな…見ていて気分が悪い]
[そういえば、神造奉仕語しか教えていないのか?]
[まぁ、妥当ですな。今やあれは、底辺の共通語。我等は良く分からん]
[獣の鳴き声の方がまだ可愛い。あれでは、酒を飲んだ後の酷い声だな]
[まったく]
8
「…TA-SU-KE-」
[…今、何か言ったぞ?]
[…誰だ、我等が使う尊民語の言葉を教えたのは?]
[いえ、そのようなことは。
一切の尊民後は教えてはならぬと仰せつかっております]
[怪物のようで、あれでも子供、やはり嫌でも覚えてしまうか…]
[頭に制限施術も考えねば]
[命令以外は理解できぬよう]
9
「いたい…ごめんなさい…TASUKE…」
[貴様!
誰の赦しを得て尊民語を喋っていいと言った!?
黙れ!!]
「ひっ!?」
>おいおい、殺す気か。
やめろ、これ以上支障が出たら俺が首を飛ばされる<
[勇者研究主任、教育を徹底せよと言ったはずだ。
…非常に気分を害する]*
>お言葉ですが…ていうか。
勇者は貴様等の見世物じゃないんでね…<*
10
「…?」
>大金目当てに祖先の秘法も技法も売った。
が、この研究対象は王と俺のモノだ。
これ以上、難癖つけるんなら…てめぇの脳味噌をな。
この、ガスガスと棒で引っ掻き回すぞ!!オラァ!?<*
[ひっ、ひぃ!?なんと卑猥!下賎な!
き、貴様、私に向かって]*
>文句があるなら、お優しい王様にでも言って来いよ。
勇者の完成遅らせたて困るのは…誰だ?あぁン!?<*
11
[お、覚えていろ!
魔王がそいつと相打ちになって、滅んだ暁には!
貴様を拷問にかけて処刑してやる!金の亡者め!]*
>へ、魔王が出てきても何の対策もとれなかった無能様だ。
無能のあまりトチ狂って、国を滅ぼすお手伝いでもする気で?<*
[き、貴様ァ…ここで即刻首を刎ねてやる!
下等で無礼なる者め!そこに直れ!]*
>へぇ、やってみろよ?<
「あ…■■■■…」
12
>おっと、お前は見なくていい、□□。
汚物が増える所なんて、な…<*
[汚物!?ゆ、遺言はそれか!
ええい、そのまま斬って…]
>アホが。
汝の憎悪は因果巡り汝に…!<*
[高貴なる一撃をくらヘッ…あ、へ?…ヒューーービューーー]
>あーあ、どこ切ってんですか?大失敗ですかー?
俺の首を切るんじゃなかったんですかー?<*
[ひ…ヒュッ、ビュボッ…]
[あわわ…な、何が起きた!?自分の首を…!?
ひ、ひえええ!?誰かー!?誰かっ!!??ひぃぃ!]*
13
>たく…今の俺は貴族様より上だっつーの、特例で。
ま、もう首だけになったら、分かんないでしょーけどぉ?
ザマーミロ、プゲラー♪<*
「■■■■…いたい…たすけて」
>あーぁ、折角、前に縫った傷が開いちまった!
たく、規格外の力をぶちこんだからと言ってもな…。
丈夫なわけではないっつーの!クソどもが!
…ほれ、まずは拭くぞ、顔を上げろ…<*
「う、うん…」
14
>…前みたいに、俺の言葉が理解出来てれば…。
こんな傷、さっさと術で塞がるのによ…。
対呪術対策に言語の理解も薄れちまった。
ますます言葉が限定される…たくッ!<*
「う、ごめん、なさい…」*
>あやまるんじゃねぇよ…。□□、お前は何も悪くない。
俺は悪だからな。魔王と同じような悪だ。
ほれ、消毒するぞ。暴れるなよ?今の俺じゃ…<
15
「いたっ!!??」
>ぐわっ!?<
「…あ、あ、あ…!
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…!」*
>…あたた…。
やっぱ怪物級の筋肉は半端無ぇな…。
防御対策して正解だったぜ…<*
「ごめんなさい!ごめんなさい!
いたいのだけは!ごめんなさい!」
>今のお前を痛めつけても俺が困るだけだ。
絶対に、やんねぇよ…。
これくらいの痛み、どうってことはないぜ?<*
16
「…ごめん…なさい」
>いいから、顔出せ。
…たく、よりによって、大事な顔をやりやがって!
優柔不断なバカ王に文句言ってやる…!
ここは見世物小屋や動物園じゃないってな!<*
「…■■■■…おこってる…?」
>別に。それよりも、注意しろ。
もう俺以外とは尊民語、喋るな。監視も厳しいからな…<*
「うん…」
>よし、いい子だ!素直すぎる!<*
17
「ぅ…えへへ…」
>□□、おめーが魔王をぶちのめせれば…。
ここからおめーを出せるかもしれん。
まぁ、俺もここから早く解放されてぇしな…<*
「うん」
>もう少しだけ…すまねぇが、耐えてくれ。
お前が生き残るには、それしか無いんだ…<
「…泣いてる、の?」
>ッ!ば、ばっか、泣いてねぇよ!へっ!<*
「…だって、顔が、その、痛そう…」*
18
>馬鹿な事を言うな!俺は無敵で大天才の■■■■様だぞ!
泣いたりするものかよ!いいか、兎に角、お前は勇者だ!
とっとと最弱魔王を倒して、自由になるんだ!いいな!<*
「…う、うん…わかった」
>よーし、そうだ。
忘れるなよ、お前には俺がいる。
絶対にな。絶対に…!<
「うん、わかった」
>よし、その調子だ<
19
<その子が勇者か?>
>その声は…王子か。なんだ、まだ仕上がりからは程遠いぞ。
見物ならまた別の機会にしてくれ。
こっちは繊細な作業の連続で大変なんだよ<
<まぁ、そう邪険にしないでくれ。
魔王を倒す勇者に、表敬訪問くらい良いだろ?>
>だったら待遇改善しろや。
どんだけ焦ってんだ、あの御人好し王はよ?<*
20
<前の勇者が魔王討伐に失敗の挙句、使い物にならなくなったからね。
今まで勇者を出せば魔王は討たれる。
その王道を潰され続けるここ数十年。王家への信頼もがた落ちさ>*
>人の良い王には相当堪えるだろうな…<
<僕としては心配なんだよ。
父として人として、王は確かに最高の人だと僕は思っている>
>で?<
21
<ただ王としての器は…正直、酷いものだ。
知識はあっても活かせる知恵が足りない。
選択肢を切り捨てる事にいちいち迷い続ける。
そりゃ、貴族もイラつくだろうし、信頼も低いだろう>*
>自分の親をそこまでボロクソに評価か。
あんた自身はどうなのさ?<
<僕かい?ここ最近の王家のイメージを覆したい>
22
>へぇ、かつての王権全盛のように?
貴族どもにあれこれ干渉されない?<
<どっちもさ。
だからこそ、今回の勇者にはすごく期待しているのさ。
ただ、王子である以上、計画に入り込めないのがね。
バカ貴族どもの玩具にされるのは我慢ならんさ>
>言うねぇ。
気に食わない奴だが、そう言う点は気に入った!<
23
<で、提案だ。待遇改善に繋がるかもしれない…。
と、僕は思っているんだが…>*
>言ってみろよ<
<もう一人の勇者を準備したい>
>…候補はいるんだろうな?<
<まぁね。
ただそこの子のような普通の素体じゃないけどね>
>…もしかして人造生命、とか言わねぇだろうな<
<近いかな。ただ、不足している物が>
24
>不足?<
<その子の…勇者の血を幾許か、譲っていただければ>
>血だけ貰ってこいつは用済み。
…にするんじゃ無いんだろうな?<*
<待遇改善と言っただろう?
血が戻る為の栄養、薬品、必要なら設備も提供しよう>
>へぇ、王子の分際で、血税を個人利用すると?<
<終わり良ければ全て良し。
結果さえ、ね。貴族も民も結果しか覚えないさ>*
25
>…最低でも一日の休みが条件だ。
流石に今日は傷が酷いし、出血も多い。
王子、あんたはその時間をあいつらに提案出来るか?<*
<…約束しよう。
僕とて、王家が沈む様を、自身が沈みながら見たいとは思わない。
能天気なバカにはなりたくない。
古き統一大国の支配者のように。
そう、歴史に名を刻みたいんだよ、僕は…>*
>結局、俗物だな、あんたも…<*
<ははっ、君も、だがね>*
26
「■■■■…?」
>…明日一日、痛い目にはあわない。
ゆっくり出来るぜ。飯も食える。傷も癒せる<
「ほんと?」
>ああ。
だがその後、お前の血を少し、分けてあげなきゃなんねぇ。
痛いかもしれないが…訓練よりはマシ…のはずだ…<*
「…分かった、それは我慢する。
痛いの、耐えるの、得意だから…」
27
>□□…すまねぇな…本当に…<
<話はついたかね?>
>約束は守れよ?<
<ああ、利害は一致している>
>じゃぁさっさと誠意を見せな。
栄養ある飯、薬品、休む為の一式!
さぁ、さっさと耳揃えて貰おうか!<*
<王家の、そして僕自身の為なら。
その程度、なんと良心的…御安い御用だ>*
「…やった…眠れ…ぁ…」
>ああ、ゆっくり休め。お前は生き残るんだ…絶対に<*
「…スー…スー」*
28
(…■■■■…?誰だったっけ…?)*
(…思い出せない…)
(…抜け落ちた…)
(…ぽっかりと…)
(…久々の…食べ物…味が分からなかった…
けど…お腹は膨れた…)*
(…傷も痛みも…和らいだ…)
(…俺…って言ってる…
俺…真似たのかな…?)
(…これは夢…夢か…
やだな…あの時の事か…)
(…痛いのは…本当に嫌だ…)
29
{…?}
(…誰…?)
{…□□…}
(…よく…分からない…
そこだけ…聞こえない…)
{…■■■■…}
(…聞こえない…
なんで…それも…聞きたいのに…)
{…!}
(…何…?)
{…!…!}
(…欲しい…?)
{!…!}
(…何が…欲しい…の…?)
{…!…!…}
(…え…)
{!!…!!}
(…やだ…やめて)
30
{!!… O M A E N O
C H I T O N I K U
Z E N B U Y O K O S E …!!}
(や、ヤダ!!!イヤ!!!
だれか!!!助けて!!!助けてっ!!!!)*
{!!… O M A E H A
N I S E M O N O …!!}
(痛い!痛い!やだ!
持っていかないで!俺の中を!)*
{!!… W A T A S H I G A
Y U S Y A …!!}
(嫌だ!)*
{!!…MORAU…!!}*
(あ…あぁ…血が…お腹が…)*
31
《ぎゃぅっ!!??》
「あ、ああああ…やだ…!
やだよ…やめて…お願い」*
【どうしたの!?】
「…あ…あ…か、かあさん…!
俺…お腹…あるよね!?
血もあるよね!?ねぇ!?」*
【あるわ!どうしたの!?
落ち着きなさい!】
「あぁぁぁー!死んじゃう!
助けて!俺が死んじゃう!俺、死ぬ…!!」
32
《ぎゃ、ぎゃおお…!?》
「死んじゃう…。
俺…死んじゃう…助けて…」*
【おちつきなさい…
大丈夫、私はここにいます…私に抱きつきなさい。
力の限り!】*
「あああああぁぁ!!」
【ぐっ…!ここれは…!
異常なほどの力…これが勇者の力…!?】*
[な、何事じゃ!?]
【ぅぐっ…何かうなされて、突然…!】*
33
「やだっ!!いやだっ!!!」
「我、びっくりして起きたぞ!?
どうした!?って、勇者、一体どうした!?
あと潰されそうな拠点さんは大丈夫か!?」*
【私はいざとなれば流体になれば大丈夫です…!
うぅ!?が、何です、この異常な力…!】*
「ああ、血が、血が…死んじゃう…!」
【聞きなさい!大丈夫!
血は出ていない!生きてるわ!】
34
「ひっ…やだ…流れて…く…」
【…善い子。
あなたは、善い子…大丈夫…私がいるから…。
さぁ…大きく…ゆっくり…息を吸って…。
善い子、善い子よ、大丈夫。
怖いものからは、私が守るから…】
「ひっく…ひっ…ふ…」
【-お月様がいるわ-
-お星様もいるわ-
-大丈夫、夜は暗くない-
-私が傍にいるわ…-♪】*
35
「拠点さ…」
【大丈夫です】
「分かった」
《ぎゃぉ…》
【-こわいものなんて-
-私がふっと消してあげる-
-大丈夫、みんながいるわ-
-可愛い、善い子、私の子-♪】*
「…あ」
【-だから、ぎゅっとしなさい-
-ぜんぶぜんぶ、私が包んであげるから-♪】
「あ…ぁ…かあ…さん?」
【-ええ、そうよ-
-私がいるじゃない-♪】*
36
「かぁさ…ん…」
【-大丈夫、私がいるわ-
-善い子よ、善い子よ-
-善い夢を-♪】*
「…スー…スー…」
「…寝た?」
《ぎゃぅ?》
[寝おった…な。
子守唄…かなり古い時代の…私が幼き頃。
そう、古い歌を好んでいた…。
長寿であった祖母様が、歌っていたそれと同じ…]*
【…ええ、あなたからすれば古い時代なのでしょう】
37
[やはり…そなた…いや、あなたさまは…]
【いいえ。今の私は魔王様や勇者様のお世話人。
それ以上でもそれ以下でも御座いませんわ。
拠点統率サーバントで御座います】
「…勇者の体に異変は?」
【異常なほど無理な力を出して…。
数箇所に軽微のヒビ骨折、小さな筋肉繊維の損傷…。
ですが、すぐに治療可能です】*
38
《ぎゃおー?》
【大丈夫。もう寝てますわ、精霊獣。
先程は痛かったでしょう?】
《ぎゃ、ぎゃ、ぎゃお》
【あなたも優しいですわね。
ほんと、その優しさは勇者と双子のよう】*
《ぎゃぉん♪》
「うん…とりあえず、朝まで寝かせてやろう。
ではお守り、拠点さん、よろ!」
【ええ、承りましたわ】
39
<僕の愛しき姫よ…我が勇者よ…目覚めるのだ…>
{??}
<やっと起きたか。全く、まさか寝ていたか?>
{!!}
<まぁ、その寝顔を見れたのは幸運だったかもしれない。
とても良い夢でも見たのかね?>
{…!…■!}
40
<とても御機嫌のようだね…。
僕もその夢を見てみたいね…。
素晴らしいものだっただろうに>
{…■!■…}
<そろそろ一度、駄目になった勇者と。
そしてキミが、どちらが華麗に舞えるか、見てみたくなって来たよ。
貴族のお付の兵士、騎士では…うん雑魚過ぎた。
折角のお披露目なのに、キミの強さが圧倒的。
イマイチ分からなかったからね>*
{?…■…?}
<…舞踏会。ガラスの靴を用意しよう、キミの為に>*
41
{!!…!!}
<綺麗に着飾って、招待状を送ろう。
きっと来てくれるよ…>
{!■!■!!}
<合えるのが楽しみなのかい?
いいや、言わなくても分かるよ。
僕にはキミの事は何でも分かるからね。
愛しき僕の姫、僕だけの勇者…>
{♪}
<やはりキミには声を与えるべきだったかな?
失敗だったな、これは…>
42
{~♪~}
<…ふふふ、本当にキミは無邪気で、純心だ…。
無垢なる勇者、まさに我が王家に相応しい!
ああ、これで僕は歴史に名を残す、偉大なる王になれるのだ!
この乱世を真に導くのは、勇者でも魔王でも無い…この僕だ!>*
{!■!!■!}
<ああ、早く黒いだけの仮面の中を早く見たいよ。
きっと、きっと>
{?}*
43
<きっとその仮面は花嫁のヴェールなんだろうな…。
ああ、僕を焦らすなんて…最高の姫、麗しき勇者…。
早く本当の顔を僕に見せておくれ。
そして熱い口付けを交わそう…!>*
{…?…}
<残った貴族達を徹底的に忠誠を誓わせよう。
今までの王家はもう無い事を知らしめよう。
恐れるのは魔王でなく、この僕だと>
44
{…}
<おっと、ごめんごめん。
僕ばかり話しちゃってごめんよ。
さぁ、僕がエスコートしよう、着いてきてくれ…>
{■}
<照れているのかな?
ああ本当に戦闘能力からは想像出来ないギャップ…。
非常にタマラナイ…!
僕を、こんなに魅了するなんて…キミは最高だよ!>*
{…■}
<僕は幸せだナぁ…>*
45
「おはよー…」
「おぅ、おは…って寝癖すごっ!?流石に我、びっくり!」
【あら、おはよう。
顔を洗って、髪を整えましょうね。
さ、こっちよ】
「ふぁーぃ…」
《ぎゃーお》
「あ、精霊獣も…
おはょ…ぐにゅー」*
《ぎゃお、ぎゃーぉ!?》
【こらこら、枕じゃないんですから。
ほら、顔を拭いて】
46
[おはようじゃ]
「あ、おうさ…じゃなくて…。
せんせい、おはよう…むにゃ」*
《ぎゃっお!?》
「勇者、それは窓だ、先生はこっちだ。
それは精霊獣で朝ごはんじゃない。
我、そこまで勇者が朝に弱いと思わなかったぞ
弱点なの?」*
「なんでか、俺、すごく、つかれてる…」*
【…色々とあったものね。
さぁ、朝ごはんですよ、席に座ってね】*
47
「…あー…」
[これ、勇者。食べる前には、まず感謝の祈りじゃ。
ほれ、魔王もちゃんとやっておるぞ?]
「やらないと、拠点さんがね…。
我、怖い思い出…」
【-あらゆる命は次の命の糧となり-
-またその次の命の礎-
-それは己も含めて、断つこと出来ぬ連鎖-
-数えきれぬ命の記憶、忘れませぬよう-】*
48
「…勇者、確認しておきたい」
「むぐ、ごっくん…何?」
「本当に…最初からお前は文字が読めない。
一切、習っていないんだな?」*
「うん。簡単な言葉なら…えっと」
「神造語か?」
[…古き時代、神々が力無き者…。
つまり我々の祖先達に、与えし幾つかの言葉…]*
「へぇ、知らなかった。そんな話」
49
[神造りし偉大なる言葉。
それを力無き祖先たちは意志を伝え合いこれで団結をし。
祖先達を襲う力ある脅威を、言葉を巧みに用いた。
言葉から知恵をつけ知識を武器とした。
そしてついに見事その脅威を追い払った…という]*
「我が知るその末尾は…
-しかし今や神造語と言う奴は殆どいない-…か?」*
[然り]
「え、どうして?」
[それはだな]
50
【世界創世の神々、連なる神秘への敬意の薄れ…。
世に生きる命達と神話との別れ、団結から諍い、争い。
やがてそれぞれの独自に言語を造り出した。
世界はひとつの塊から多種多様へと変貌した…】*
[まさにその通り。
流石は私より永く生きている御方じゃな]
「?…なんかよくわかんない…?」
「だろーな…」
51
[つまるところ、神様の下で仲良く生きておったのだ。
だが、自分達が強くなり他に怖い奴等がいなくなった途端。
今度は誰が一番か、偉いのか、大喧嘩をしてしまったのだ]*
「仲良くしていればいいのに…」
「偉大なる神様から離れ…。
自分達の足で歩き生きていく以上、避けられないものなのさ。
我欲に目覚めた、命の宿命ってやつか」*
52
「なんでさ」
「じゃぁ王様ってのが何故いると思う?」
[そうじゃな]
「…えらい、から?」
「その偉い奴じゃなきゃ、国は纏まらない。
実際には役に立たないだろうが、裏で支配されていようが。
どんな形であれ、顔になる奴がいなきゃ…。
集まりはすぐに崩壊する、あっさりとな」*
「そんなものなの?」
[大体はの]
53
「ふーん…で、魔王、何で俺に文字の事を?」
「お前に殺されそうになった時に言っただろ?
これが読めるか、勇者よ!って」
「…そもそも、その言葉の意味が良く分からなくて」
「あー…二重にアウトじゃん!
我、負け確定してたじゃん!
読めても意味さえ理解できてなきゃ!
意味無いじゃん!怖っ!」*
54
「あ、そだ、ねぇ教えてよ!
いい加減気になってる!
ねー、あの文字の意味!」
「言ったろ。
自分で字を学んで意味を知り、自分で読め。
答え合わせはその時にしてやるよ」*
[…ほっほっほ。
そろそろ温かいごはんが冷めてしまうぞ。
食事に戻ろうかの]
【ええ。
温かいうちに美味しく食べなさいな、お二人?】
55
「ちぇー。頑張って読んでやるもん!
俺だって頑張って学ぶんだ!」
「おーおー、その意気その意気。
しかし何年かかるだろうかなぁ~?」
「そんなにかからないよ!ひどいな!」
「へへー、学友の心配しただけなんですけどー」
「せんせい、がくゆうがいじめてきます!」
[ふむ、宿題は倍にしよう]
「 」*
56
「…魔王?」*
「ナ」*
「な?」*
「ナンデ!?ヒエエエエ!?
シュクダイバイ!?ナンデ!!??」
「あ、魔王が怯えてる」
【ええ、過去に私が色々と…。
その、教えた時に色々と御座いまして…】*
[ほっほっ、冗談じゃて。
さて、身なりをしっかり整えて、授業に備えなさい。
私は授業の準備してくるわい]*
「俺も髪の毛直さなきゃ」
「ナンデナンデ」
57
[…時に、魔王]
「…先生シュクダイバイコワイ」
[宿題は倍にせんから落ち着け]
「…何だ?」
[私に今の内に押しえておいてくれぬか?
勇者に何を読ませようとしたのか?]
「…あいつには絶対に言うなよ?
あんたには、何の意味も成さない呪い、だ」
[して、その中身は?]
「…いいか、絶対に教えるなよ」*
58
「どう、精霊獣?
俺のこの服!学生の服っていうんだぜ?」
《ぎゃう?》
「あ、おかーさん、俺の、どう?」
【んー、私のセンスは最高…アフン!
いや勇者が最高すぎるのだわ…アフン!】*
「またとけてるー」
【サイキドウ…ふふ、やはり侮れないわね。
善き善き尊い尊い…服の一部になりたい…。
あぁ、既に服は私の一部でした…クヤシイ】*
59
「学ぶために服もかえる必要があるんだね。
俺、こういうの好きかも」*
【衣服を目的に合わせて取り替えるのも大事な事。
気持ちの切り替えだったり、自分が何をしたいのか。
皆にどう見られたいか…色々と理由はあるものなの】*
「そっか。
おかーさんがごはん作るときとか、洗濯物のときとか。
そのたびに色々とかわるよね。どれも俺、好きだなー」*
60
【本来の私には必要無いのですけどね。
一度服装と言うものを知ってしまって…。
ついつい研究してしまうのです。
気付いたら私の中にいろんな服のデザインが…】*
「へー。服ってそんなにあるんだね。
あ、でも確かに、おうさまとか、すごい服着てたよ。
今はせんせいで、格好もおじいちゃん、だけど」
61
【たしかに、すっかり、普通のご老人ですわね…。
ふふ、勇者、ちょっといらっしゃい】*
「何?」
【髪をもう少し手直しさせて。
最初の授業ですもの、きっちりしとかなきゃね】
「えへへ、くすぐったい。
でも、俺、こういうの好きだ。嬉しい。えっと…」
【気持ちがよい、というのですよ、そういう時は】
62
「気持ちがよい、か。
俺、かーさんにこうやってもらうの、気持ちいいな」*
【アフン…レジスト…セーフ…。
そう言われると嬉しいわね、私も】
「?一瞬とけてたけど大丈夫?」
【大丈夫よ、ええ、大丈夫、はい】
「…髪を綺麗にしてもらうと、俺さ。
こう、なんか世界が広く見える…明るく見える」*
63
【それは良かった。
その明るくなって見える世界を…。
よく見て大事な思い出にしてね】*
「おも…おもいで?」
【心から大事にしたいと思ったこと。
あなたが忘れたくないこと。
心から嬉しい、楽しい、良かった…。
そのようなもの】*
「じゃぁ、今がまさにそれ、思い出にする!
俺とかーさんの思い出に!」
64
「内容は…************…だ」
[…ふむ。
その呪い、実際にかかったとして…。
効果は…ゾッとするの。勇者限定であるが]*
「ふ、元は勇者を送り出した王であろうアンタなら…。
分かるな?我的に御理解が早くて助かるよ」*
[…だが、あまりにも限定的だの。
万が一、勇者以外の者が来ていたらどうする所だった?]
65
「最弱とはいえ、我は魔王ぞ?
対魔王殺し持たぬ、有象無象では我を滅ぼす事は叶わぬさ」
[…そしてお主は勇者殺しを持っておると]
「その通り…だが、あいつの寿命はあんまり長くは無い」
[…そうであったか…]
「短期間で、何十年分の成長をぶち込むんだ。
その強制的な成長に体がついていける訳が無い」*
66
[そうで…あるな…]
「だから寿命を代償に…。
本来ならあの年齢で背負えるわけが無い力…。
凄まじい力を無理矢理に背負わせている…。
だから我が考えるに、あと2回か3回くらい戦えば…。
それで肉体が自身の力で崩壊する。
我が…魔王としての勇者殺しで、手を下すまでも無く」*
[…もっと早く過ちに向き合うべきであった]
67
「ま、過ぎた事を反省はしても…。
起きた事をギャーギャー騒ぐのはみっともない。
あんたにゃ、死ぬまでにアイツに勉強を仕込んでもらう。
我にはあいつに関する事をみっちり聞かせてもらう。
いいな、元王」*
[…あいわかった。命尽きる時まで]
「先程のあいつに読ませようとした呪い…。
それが完全になる為にもな」*
68
<…本日の政務はこれにて終わりだ。
忠誠厚き者共諸君、御苦労であった。下がれ>*
[ハッ!]
<ふむ。
皆、ようやく誰が王で誰が国を動かすか、分かってきたな…。
王権完全復活にはまだ遠いが、この一歩は大きい>*
{~♪~}
<退屈させてすまないね、姫。
舞踏会の練習もさせてあげたい所だが、まだ不安がある>
69
{?}
<キミの一日の行動時間上限、まだ半日が良い所だ。
それ以上の稼動は肉体崩壊の可能性もある…。
やはり、あれの血肉がないと不安定か。
あんな混ざり物で、不衛生極まりない、あんな低俗勇者のな!
…だが薬と思えば、まぁ、おぞましいものもあるからな。
ふむ、いた仕方あるまい。キミの為だからな>*
{!…?}
70
<薬は苦い、不味いもの。
しかしそれでキミが今よりも完全になる為なら…。
私は多少の苦労など気にはしない。
早いところ、今の魔王を滅ぼし、世界の祝福をこの国に齎さねば。
私こそが偉大なる王として!死後も永遠に称えられ!
やがて神と同等に祀られるために!>*
{~w~}
<ああ、勿論キミもその隣に語られる>
71
{…x…}
<とはいえ…目的の魔王と勇者…。
父上の誘拐を境に完全に反応を消すとは困ったものだ。
世界から預かった大事な天秤の役目から消えるとは…。
やはり最弱、欠陥では重荷となったか。情けないものだ>*
{…z…}
<所詮は呪い特化型の最弱魔王。
キミは奴に対し完全に無敵だ。
あの空飛ぶ怪物もキミの足元に及ばない。
何にせよ、力押しで完勝完封出来るだろう>*
{_…_}
72
<僅かな希望にかけて、運や偶然に頼った攻略?
そんなもの、ゴメンなのだよ。
神のサイコロに振り回されるなど!
そんな運命の奴隷に成り下がるつもりは無い!
相手が1であろうとも99で挑む!
最高の装備、最高の条件!
それこそが力ある正義なのだ…!>*
{zzz}
<大丈夫だ。
国の全てを使ってでも、確実に成功する。絶対にな>
73
{z…z}
<そう、たとえ、どんな手段を使ってもな。
僕は父上や歴代の無能な王どもとは違う。
祖先が、神からもらった神造語の力で…。
強大な国を創りあげた、統一された世界を!
再び現代に蘇らせ、全てを握る…!
世界の天秤を手にし、勇者や魔王の力を使ってでも>*
{_…_}
<そう、僕の全てはキミに捧げよう!姫!>*
74
{!x?}
<はは、驚くことは無い。
愛しの我が姫、何よりも高潔で最強の勇者。
僕の願いを叶えてくれる、神よりも尊き存在…!
それがキミだ>*
{■?■}*
<しかし、キミを完全にする為の計画…。
やはり欠陥勇者に施術した勇者研究の主任…。
手足を落としても、命だけは助けるべきだったな。
珍しく僕が気に入った奴であり…事故死は痛かった>*
75
{!…■…■…■…■}
<王の剣よ、我が手に…>
{!…!}
<王家に伝わるこの王の剣…。
いかなる場所にあっても、王の手元に真っ直ぐ戻ってくる。
古き時代の統一大国の時代…。
支配者が神から賜ったモノとされている。
本当は王冠、王杖もあったのだが、今あるのはニセモノ。
残念ながら、その行方は今や不明だ>*
{?…?}
76
<本物を再び王家へ取り戻し。
かつての古き統一大国の支配者の血統は未だ絶えておらず。
再び世界は一つにまとめあげられる…神造時代の再来。
取り戻すためには、憂い無く安心して世界を巡れるよう。
周囲全ての敵となる脅威は排除せねばならん!>*
{!!…}
<故に、魔王を滅ぼし…。
キミという完全なる勇者で支配しなければ>*
77
{♪~}
<姫?ど、どこに行った!?
ああ、何を追いかけているんだ!?
だ、駄目だ、虫なんて追いかけてはいけない!
下等生物に関わってはいけないよ!!
というか、こっちに虫を…ひっ、蜂!?
やめてくれ!蜂蜜は好きだが蜂は苦手!!
というかマオウバチじゃないか!!
そいつに刺されたら顔が膨れる!!>
78
{~~♪}
<あー!!勇者様!!困ります!!
あーっ!!蜂は困ります!!
あー!!姫、困ります!!
あー!!ヤメテー!?ハチコワイーーー!!
あっ>
{_!x!}
<刺されたァァァァァァ!!!!???
い、痛いッ!ひ、顔が焼ける!?
助けてッ!?アイエエッ!!??
ナンデ、ナンデ!?誰かー!?>
{_w…}*
#これが読めるか勇者よ -急- 終了
次回、-起-(予定)
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