第45話ヒールよりも物理が得意
アマリアのレベリングとなる早朝。街を出て西に行きいつものようにレオーを倒していくはずだった。予想外はいつも突然と起きる。
「わあぁーーー!!
ドラゴンだ!?く、喰われちまう!」
悲鳴と腰を抜かし、戦意喪失となるのはアマリア。
天空の支配者と呼ばれる
ホウオウドラゴンが滞空して
遥か下にいる俺達を睥睨する。
「それにしても、ホウオウドラゴンってネーミングセンスが疑うぜ」
例のごとくエリーゼの魔物の解説に鳳凰なのかドラゴンなのか判断しにくい名前。その架空の生き物が体現した姿をしていた。
つまり、ドラゴンの姿。して
鳳凰のような豪華絢爛な翼と顔にはクチバシがあり、無理して一つの生物となったような異形の存在。
「へっ、だけど異世界らしくなったじゃねぇか。
本音を言えば中級者あたりのエリアで出てくる魔物じゃねえって
ツッコミたいがなぁ!」
「ええ、そうね。だから
全力でやりましょう。
今日だけは魔法使いじゃなく
剣士として戦うわ」
「そんじゃあ、俺は魔法使いだな。オリヴィアとアマリアは
後方でサポート。絶対に攻撃されないように気をつけてくれ」
「了解ですわ」
「だ、大丈夫なのかよ。
あの、ホウオウドラゴンだぞ!」
足を産まれたての子鹿のように震えながら立ち上がったアマリアは
俺とエリーゼを身を心配してくれる。別に
エリーゼが、いれば誰だって戦えるって根拠もない自信があるのだ。
「大丈夫だ。
俺とエリーゼに任せろ。
それに、やっと魔法を堂々と使えるんだ。エリーゼの野郎に見つからないように郊外を出て出てくる魔物をひたすら魔法を放つ
だけだったから」
「へぇー、そんなことしていたんだ」
エリーゼは嘆息してジト目を向く。つい、心の本音が・・・・・
「お、俺は何も悪くない。
ただ、慈善活動をしてだな――」
「別に批判していないわよ。
でも、わたしに一言を言ってほしいのよ!」
「はい!怒っていまーす。
怒ってる人は自分から怒っていない言うんだよ」
「怒ってる、怒ってるって
うるさいわよ!」
あー、もう。イライラしてきた。
思春期したら、ずっと女の子と
いるとやりにくいことだってあるんだ。ナンパとかナンパとかナンパ・・・・・あれ?ナンパしかしていない。
「ふ、二人とも前!前を見ろよ!!」
「ググッオォォォ!!」
ホウオウドラゴンが、クチバシを開き立派な牙が生えていた。
すごいアンバランス。
天空の狩人は隙だらけな滑稽な存在を喰らおうと襲う。
「くっ!」
エリーゼは不思議カバンから二刀を取り出し、クロスにして受け止める。
「深淵を目視できない愚かな
存在よ。灰となるがいい」
中二病のセリフで魔法イメージ。
魔力はイメージ、魔法はその魔力というイメージを現実と具現化する世界の理。
よって、詠唱はあくまでイメージを増加させるための自分に対して向けた言葉。
てのひらを向け上級魔法の炎龍が
鳳凰のドラゴン頭を呑み込む。
「オオォォォンン!!」
苦痛に叫び異形の存在。
羽をはばたかせ雲まで避難する。
まったく、これでダメか。
「平気かエリーゼ!」
「これぐらいで心配されるほど
やわじゃないわ」
「さすが、素手でレオーを倒した筋肉女だけはあるセリフだ」
「誰が筋肉よ!素手で倒すなんて冒険者ならよくあるでしょう
・・・・・・・・・・たぶん」
最後のセリフは、よく聞こえなかったがどうせ俺の悪口だろう。
ホウオウドラゴンは空高くいる。
これでは、剣は届かず最上級魔法でも行使しないと届かないだろう。使っても威力は距離で落ちていき命中させるのも容易ではない。当たるまで時間がかかるからだ、疾風迅雷の速度を誇る龍には
長距離魔法など、回避は容易いだろう。先みたいに近距離なら。
万事休すと諦め別の方法を考えるだろう。しかし―――
「我は異世界に招かれた日本人!かつもくせよ。勇姿の炎を。
数々の流星が落ちていくのを。
それは魔法の隕石。
最強を超える新魔法[メテオ]!」
大空に両手を向ける。
大いなる空はから炎を纏った岩石が次々と落ちていく。
空からて展開した魔法に爆炎が
幾度と起きる。
「天空の覇者を撃破!」
落ちていくホウオウドラゴン。
異世界チート魔法使いが勝利。
なのだが・・・・・
「しまったぁぁぁ!こっちまで
メテオが落ちてくる。
神よ!俺よ!エリーゼよ!
助けてください」
金髪碧眼の前に指を組み祈る。
困ったことが、あればエリーゼ事務所にと俺の中になっている。
「どうして、わたしなのよ。
あぁー、もう!いいわよ。
分かったわよ。すべて粉砕するわよ。ええぇーい!」
跳躍して、落下していく隕石を
二刀で破壊しようとする。
「彼の者に力を絶大な万力を
与え給え」
俺はあらゆるステータスを引き上げる強化魔法をと唱える。
エリーゼの身体に7色のレインボーを纏う。それは救世主の輝き。
「ブレイドエクスカノン」
二刀の刺突。普通なら乱暴で流麗さなどかけらも無い。されど勇ましい技にエリーゼが舞う黄金の髪が精練された剣技となる。
光の奔流が剣からあふれた。
後ろの隕石が次々と粉砕。消滅していく。それでも破壊を免れた小石ほどが落ちてくる。
「致命傷じゃないはずだけど
当たると痛いから気をつけろ」
「さすがに手数が足りないわ。
防ぐしかないわね」
「それなら、わたくしの出番ですね」
オリヴィアが前へ出る。
拳を顔の前に構え、そして消えた。えっ!消えた!?
驟雨となって落ちていく小石が
別方向へ飛んでいく。
そして、オリヴィアが姿が見えるようになってすべての小石は
空には無くなった。
メテオの被害は俺達には無かったが他に落ちた森は悲惨なことになっていた。
「ありがとうオリヴィア・・・でいいのかな?これ全部」
「みてわかんねぇか?
それしかねぇだろ」
オリヴィアは、高ぶる戦意を向けて答える。あれ?口調なんか
違うような。
「あ、あのオリヴィアさんですよね?」
次に問うのはエリーゼ。
困惑し過ぎてさん付けしていた。
オリヴィアは、舌打ち。
「チッ、まだ戦意が収まらね。おい!二人がかりで来いよ」
「「えぇぇぇーーー!!」」
まさか、女神のような笑みを浮かべるオリヴィアは破壊神となって
俺達に勝負を挑んだ。
ギルドに戻りホウオウドラゴンを
討伐報告して、場が大騒ぎ。
「まさか、あのホウオウドラゴンを倒したのですか!?」
受付の人は、驚愕した。
「・・・・・ああ、倒したよ」
俺は力なく頷き肯定。
すると、背後から喝采が。
「おいおい、聞いたかよ。
あのホウオウドラゴンを倒しただしいぞ」
「にしても、なんでこんな辺境な所に来たんだ?あのドラゴン」
「いいじゃないの。そんなことは。ほら、あんたたちおめでとう」
様々な賛美してくれる喝采の渦。
しかし、素直に喜ぼうにも体力が残っていない。それはエリーゼも
同じで…否、もっと疲れの色が濃い。それは、格闘家だったオリヴィアが嬉々な笑みを浮かべ
戦ったから。とくにエリーゼは
前衛職なので過酷な戦いだった。
「フフ、皆様ありがとうですわ」
オリヴィアは、疲れなど無い。
前よりも肌がつやつやだ。
「えへへ、そう褒めるなよ」
アマリアも称賛の声があった。
「盗人と思って警戒したが、
やっぱし義賊なんだなぁ。
強いし優しいなぁ」
「あぁ、タカノリの野郎。
かわいい女の子をはべりやがって。せめて、アマリアだけ
ほしかったぜ」
「まったくだ。ちくしょうめ!」
ようやく周りの熱が収まったと思った矢先にあの、元仲間で神官の
酒豪の美少女が言う。
「今日は宴だよねぇ。タカノリやエリーゼ達もきっと望んでいる」
っと、完全にタダ飲みが目的だよね。
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