第44話四人目の仲間は盗賊

「やぁーー!」


盗賊衣装のオレンジ色の髪が舞つ少女の短剣が黒い体毛のレオーを

刺突する。


「グォォォ!!」


甲高い悲鳴。歯牙にもかけずに突き、抜く。また刺突して5回も繰り返す。


「グゥゥゥ・・・・・」


「やった。ハァ・・・ハァ」


疲労困憊になり膝をつくと同時に

草から身を隠したレオーが飛び出す。虎視眈々と好機を待って。


「ぁ、あぁぁーーー!!」


悲鳴を叫ぶ。臆病ではなくただ魔物と戦うのが初めてだからだ。

黒い獅子は、怯える獲物に慈悲はない。その黒い爪を振り下ろす。


「はあぁぁーー!」


俺は剣で爪を防ぐ。鍔迫り合い。

レオーの腹部に蹴りを入れる。

黒い獣は苦しそうに呻き、飛ぶ。


「今だ!エリーゼ」


「炎の霊よ行け[ファイヤー]!」


エリーゼの初級炎魔法が掌から

炎熱の球が真っ直ぐレオーに命中して爆炎に包まれる。


「オリヴィア!

アマリアに回復を頼む」


「わかりましたわ」


オリヴィアは、元盗賊で自警団に

囚われていたアマリアを治癒魔法をかける。

ようやくファンタジーらしくなったと俺は、感慨深く味わい心が踊る。ところだけどアマリアを

戦わせることに慚愧ざんきの念が苛む。


「アマリア大丈夫だったか?」


橙色のボブヘアー紫紺の瞳の

中学生ぐらいの女の子。

実際は17歳で環境が悪く身長は小さい。


「誰が助けろって言ったんだよ!」


伸ばした手を振り払い、アマリアはなにが不満なのか怒る。


「悪かったよ、勝手にパーティに強制加入させたのは。

そろそろ機嫌を直してくれないか」


「別にそこは驚いてねぇよ。

いや、人間として扱われているのが驚いているけど、そこは感謝する。でも、オレに助けは必要はねぇんだよ」


盗賊であり、貧相街でもあるのか

アマリアは口が悪い。

言葉をよく考えると、相手を貶めて逃げるなど卑劣な言動など見えず。その逆の助けるなぁ!や

危ねえなど俺達に心配をかけている素振りがある。


「そんなわけに行くか!

俺達は仲間でアマリアも例外じゃない。いいか!

アマリアが成長するまでしつこく面倒を見るから覚悟しろよ」


「・・・そんなの、オレに資格なんてあるかよ。

罪人なんだぞ」


涙目で力弱く訴えるような発言。

パーティになって一週間が経ち

大人の盗賊達は自業自得として

憐憫の感情はあっても危険な役目を従事になんとか納得しているけど、この子を見て自警団に手続きをして加入したんだ。


「関係あるかよ!

罪状は盗んだんだろ。

聞いたぞアマリアのこと」


「そうね。噂が絶えなかったわ」


エリーゼも嘆息してから思ったことを言う。


「わたくしも活動には知っていますわ」


神官のオリヴィアはいつもの

大人の笑みを浮かべ言う。


「なら、助ける必要は」


「私服を肥やす貴族の豪邸に盗んでそれを売っては貧相街の

子供や年配の人達に配ったんだろ」


「なっ!?ど、どうしてそんなことを知っているんだよオマエ!」


「罪状を知るのは手続きでだよ。

まったく最初からそれを言わないのがすごいよお前は」


それを言えば俺達が同情や羨望の眼差しを向けられることもあるのに、それをしなかった。


どうして避けるのか問い詰めたいが、それは駄目だ。

まだ拷問道具をつけたままだから。無理に答えるような強制が

働く。人が耐えるギリギリの痛みによって。


「何度も言うよ。俺達は仲間だ!」


「・・・・・そうかよ」


照れてしまったアマリアはそっぽを向き俺が差し出す手をつかむ。

俺は引いてアマリアを立たせる。


「へへ、熱い友情に仲間四人。

俺達の冒険はここからだぜ!」


「な、なんだよ急に!大丈夫なのか?」


剣を太陽に掲げて叫びと、アマリアは引きながらも心配そうにする。


「気にしないで、アマリア。

タカノリはいつもこうなのよ」


エリーゼは、苦笑して呆れた息を漏れてから言う。

アマリアのレベル上げと魔物の戦闘を慣れるまで日が暮れるまで付き合い街に戻る。雀の涙ていどの報酬を手に入れギルド内にある

酒場で祝勝会をする。


「乾杯!いやー、アマリアは

超かわいい」


「はぁ!?な、なんだよ」


俺はブドウジュースをガブガブと

飲み戦闘の疲れを癒やされていく。


「ぷはぁー!だってよ。

髪の色や瞳の色だって異世界ファンタジー美少女だから。

それに、性格まで優しいなんて

オリヴィアに並ぶほど」


「や、やめろぉぉーー!違う」


アマリアは、我慢できずに

叫び睨んでくるが、本気ではないのは知っている。レオーを倒して雑談をしているうちに乱暴な言葉の裏腹に優しさが思いやりが

常にあった。

ここまで俺の事を考えているのかと、つい嬉しくなった。


「へぇー、タカノリはアマリアような女の子が好きなんだ」


「好きと言えば好きだな」


エリーゼは肩を震わせ質問に

俺は答える。嬉しくて肩が震えているようだ。


「す、好きってオマエなぁ」


「もちろん。付き合うのはもう少し待ってほしい。

その忌々しい拷問道具をさっさと外してもらえるように

頑張って行くつもりだ」


「・・・い、いいんだよこれは。それに、オレと付き合っても

つまらないだろ。前科があるし」


「そんなもので、人柄は見えないんだ!俺はアマリアを見て学んだんだ。アマリアは天使で

付き合えたらすごく嬉しいんだ。

アマリアはどうなんだ?」


俺は左に座るアマリアに真っ直ぐと見る。ある意味で、本当の美少女といえるアマリア。

外見も内面も併せ持つ。


「この・・・タカノリのバカぁぁぁ!!!」


返事はアマリアではなくエリーゼの激昂が返ってきた。

杖を頭を叩かれる。


「痛っ!や、やめろ食事中に杖を叩くなよエリーゼ!」


「バカぁ!女たらし。

わたしがいるのに・・・バカぁぁ!!」


「痛えぇぇぇ!!何度も叩くなぁぁ」


それから、エリーゼは機嫌を直らず怒っていた。

なにをしてもないのに怒るなんてなんだよ、まったく。

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