第43話新たなる仲間
「エリーゼ、俺は新しい仲間がほしい!」
例のごとく、魔物を討伐任務を終えた俺達はギルトの酒場で食事していた。もちろん酒ではなくブドウジュースだ。
「ふーん、それで次はどんな女の子を選ぶわけ?」
「えっ?な、何を言っているんだよ。お、女の子だって誰が言ったんだよ!!」
はっきり言おう。図星でした。
いや、だってよ・・・思春期だし
異世界で召喚されたら美男美女が多い。さて、パーティに入れるなら美少女に選択するのが常識だ。
想像したまえ、イケメンが加入すれば神官がメロメロになる。
それだけは回避せねば。
サムズアップが似合う筋肉隆々ならともかく、イケメンはダメ絶対。
「ほぉー、それじゃあ隣の女の子はどちらさんでしょうかタカノリくん?」
「仲間になってくれるかわいい女の子だけど?」
「フフ、まぁまぁエリーゼも
そう熱くならずに」
オリヴィアさんのミステリーな部分はあるけど、人柄は良い。
それに、過去を詮索するのも大変に失礼な行為だ。
ともかく、今は・・・・・。
「や、やっぱりエリーゼさんはタカノリさんの・・・」
清楚な美少女ジョブは魔法使いを
是が非でも仲間にしないと。
「た、頼む!
これも打倒、魔王を倒すためなんだ。俺が容姿だけで選んでいるって思っているのか」
「そんなに言うなら・・・
えーと、あなたのジョブは?」
「ま、魔法使いです」
エリーゼの野郎は、値踏みするような目になり質問を問い掛ける。
「ふーん、レベルは?」
「その・・・駆け出しでして」
「レベルを訊いているのよ。わたしは!質問以外の返事は求めていないわよ!」
「ひっ!?」
ドン!と急に立ち上がったと思いきや机を叩き圧力を掛けていく。
し、真剣な表情だ。今になって実は美少女だから選びましたなんて正直に答えれば剣術修行という
拷問を受けることになる。
「レ、レベルは関係ないだろ!
お前はそんなつまらない理由で仲間とか選ぶのかよ!」
「ぐっ!・・・も、
なんなの屈辱は」
や、やばい。理性で保っている
エリーゼを見ていると、いつその
忍耐が爆発するか分からないぞ。
「よ、よし。エリーゼも認めたことだし。もう仲間だ。
面接試験なんて俺達には無い!
うん、仲間が増えれば」
「ハァー・・・勝手にやって。
でも、いいわ。これからよろしくね新人さん」
「は、はい!よろしくお願いします!」
握手を交わし、無事に仲間へとなった。無事というのも変だけど。俺の心境ではそうなのだ。
しかし、数週間後。
「も、もうヤダです。やめさせてください!!」
新人の美少女が涙ぐんで、そう言ったのだ。酒場でブドウジュースを吹き出しそうになるが、なんとか吹き出すことなく溜飲した。
最高の味を台無しにするところだったぜ。
「ど、どうしたんだい。一体全体?」
俺は、笑顔を作って質問。
「き、聞いていませんでした。
簡単なクエストをこなすだけ
だって聞いたのに・・・・・大型モンスターやハンターキラー盗賊を
倒すなんて、命がいくらあっても足りませんよ!!」
「「「あぁー!」」」
俺とエリーゼの野郎と魅惑のオリヴィアが納得の声を上げ、ハモる。
「大型モンスターは、そんなに
強くなかったと思うけど?」
エリーゼは、首を傾き明るい笑みでそう言う。
金髪碧眼のスーパー美少女(本性と黙っていればだが)のスマイルに口を噤む新人さん。
「ほ、ほら。きみの魔法の支援で助かっ――――ているよ」
「な、なんですか!今の間は!?どうせ、わたしなんか要らないんですよぉぉぉーーーーー!!」
フォローのつもりで俺は言った言葉に新人美少女さんは泣いて
ギルドを出ていった。
「・・・まぁ、仕方ありませんね」
オリヴィアさんはフォローした。
新人美少女が逃げるのは、なんとなく分かる。何故か、大型の獅子を倒そうとしたら、群れに遭遇したり次はお使いクエストのはずが
依頼主がハンターを罠に誘うためだったりなど、様々なトラブルが
あった。
咄嗟に俺が編み出した新しい魔法の連射で撃退して、エリーゼの
二刀流の超乱舞で死屍累々の山を築いたり(人ではなく魔物)など。
「あぁーー!?
どうすればいいんだ!
どうして、一難去ってまた一難が発生するんだよ!」
「「・・・・・」」
「とうとう、二人が何も言わなくなったぁぁぁぁ!!」
絶叫する俺に諦念の二人に突っ込むけど、苦笑して返される。
もはや、呪いか!呪いに掛かっているのかよ、このパーティは!!
「ヒクッ、へへ。どうやら
また仲間が脱退したようですね」
酒瓶を大事に握って声を掛けるは、前にパーティとして行動していた神官。顔を赤くなり、今日も昼間から痛飲している。
「あ、ああ。そうだけど・・・・・
そんなに飲んでいいの?」
「なぁーにをひっているのですあ!飲まねぇーとやっぁてられるかぁっーーでぃすよ」
駄目だ。呂律が回っていない!
「一応、誘うけど戻るつもりは無いかな?」
「ぅぅれしぃ誘いですけとぅ、
ヤダー!」
翻訳すると、嬉しいですけど、ヤダー!ことだろうか。
まぁ、そう返事されるのが分かっていたから構わないけど。
せめて、あと一人ぐらいはほしい。大抵、パーティは4人って相場が決まっているのだ。
「んっ、あれはなんだ?」
ギルドの入口から、職員・・・・・ではなく自警団達が縄を握り、その縛られた人達(盗賊で見たことある柄の悪そうな人)を連れて中に続々と入ってくる。
「正直、答えたくないけど
罰として危険なクエストや情報収集として従事させられるのよ」
エリーゼが眉を潜めて疑問を答える。珍しく嫌な本当に顔を示すのは珍しい。少し間があって呼吸して話は続く。
「それで、ハンターの負担やギルドの情報を確認しているわけ。
合理的で当然の制度だって思えけど好きじゃない。こういうのは」
エリーゼが、そんな顔をするなんて・・・。それじゃあ、捕らえた人達はそんなことを使うとは。
現代日本では考えられない。
「あれ?でも、逃げたり抵抗したらそれまでじゃあ」
少し生々しいリアルの一端を見て
憐憫になるが、否定ができないのも俺もエリーゼはどこか仕方ないと納得している。
それは、ともかく逃走など
可能性が絶対的に起きる。
「ありませんわね。
物々しい首輪や腕輪を付けられていまして悪事をすれば起動するのですわ」
答えたのはオリヴィアさん。
「そう。圧迫を高める拷問道具の一つ。呪文を唱えて起動条件を
唱えるだけの簡素で恐ろしいもの。起動すれば、圧迫骨折して
・・・・・まぁ、最後は毒などで身体中を回って腐敗させるのよ」
こ、怖えぇぇ!
そんなところ見たくない。
「んっ?」
縄に連行させる列に俺より2つ下の女の子がいた。盗賊が身に着けるようなボロマントをしている。
「歩け!」
「ぐっ!」
乱暴に縄を引っ張り少女はその勢いで転倒。顔から倒れて。
「なぁ、エリーゼ。その罪人って危険な任務を強制動労させられるわけだけど、パーティに入るのって可能かな」
「手続きはいるけど、可能よ。
なにをするつもりなの」
「新しい仲間を見つけたんだよ。4人目をなぁ!」
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