迷走してしまうヒーラーエクストリム

第37話新しい仲間ウェルカム

日本在住で、今や異世界の住人となった

藤堂高刑とうどうたかのりは、今日ものソロモン72柱を討伐に出撃した。


(異世界では、エリーゼという美少女が

俺をこの世界に召喚した。

救世主として、強い願いにより!

俺は・・・招かれたのだ!!)

「フフ。タカノリは元気ですわね」


隣に同じ歩調で、話し掛けるのは

新しい仲間のオリヴィアさんだ。

容姿は、あどけなさが残る美人か

大人になる寸前の美少女。

艷やかな栗色のロングヘアーと

大きい琥珀こはく色の瞳には、清楚感と美貌の象徴だと思わせる。

ジョブは、神官。俺の顔を見てクスクスと

優しげに、微笑する。


「えっ!?突然どうしたのですか

オリヴィアさん。急に俺の顔を

なんか見て?」

「お気を悪く悪くしなら、

ごめんなさい。顔色が頻繁ひんぱんに変わっているのを見ていましたら、

可愛いと、感じました」

「えっ?そ、それは・・・どうも」


オリヴィアさんは、お姉さんキャラだ。

数分前に仲間として誘い快く二つ返事した

のだ。見た目どおりに優しく、

落ち着いた物腰で頼れる雰囲気を持つ。

その言動にドキドキさせられ今も

美少女ゲーム攻略してきた俺でも。


「わたしを仲間として誘っていたたき

改めて感謝します」

「いえ、こちらこそ唐突な言葉に

二つ返事してありがたく存じます」

「ですけど、わたしは不満ですよ!」

「ふ、不満ですか?・・・・・あっ!

足元、気をつけてくたさい」


何か苛立つような不届きをしたか

考えていると、傾いた道に転倒しそうな

サイズの岩がある。


「お気遣いありがとうタカノリ。

不満の件ですけど、わたしの事を敬語は

やめてください。それと、

わたしにはオリヴィアかお姉さん。

もう仲間なのですから」

「・・・でも、オリヴィアさんは

年上。それに、敬語じゃないですか?」

「わたしは、普段は敬語なので。

・・・もしかして、迷惑ですか?」


心配顔しんぱいがおを向けられ、

距離間を縮めるしかないと決心する。

決心なんて、おおげさだけど、

ぼっちとお姉さんに話をして勇気がいる。


「はい。それじゃあ・・・・・・・・

お、お姉さん」

「なっ!?なんて、甘美かんびな言葉。もう一度いいですか?

できましたら、頬を赤らめて!」

「えっ?・・・お姉さん・・・・・」

「いい響きですわ!」


感激してくれたようだ。

さて、俺が異世界召喚された街が

ルクサント・ルーク。その街から出て

東部にある山岳地帯にいる。

目的は、ブラック・ボア5体の討伐。

獣道を歩くのは、疲れるが新しい仲間が

入ってテンションが上がっている。


「・・・ふーん、年上の女の子にデレデレ

なんかしてバカみたい」

「デレデレなんかしてないぃぃぃ!」


背後を振り返り、反論するが相手は

憎悪の感情で睨んでくる。

きらびやかな金髪のサイドテールと、

それに負けず清らかな碧眼。

雪をあざむく肌をして、

スリムな体型をした美少女。

しかし、言動が難がある・・・超絶に。


「本当に女の子なら、見境ないよね。

いきいきしていて、バカ以外にあるの?」

「ぐっ!こ、今回は食事とかデートとかの誘いじゃなくて加入しただけなんだから、そう怒らなくてもいいだろ!」


今まで後ろに歩いていたエリーゼが

不機嫌限界突破で近づく。


「別に怒っていないわよ!わたしは。

事実を言っているだけなんだから!」

「いえ、事実って分かるわけないだろ!

俺の感情を読めるのかよエリーゼは!」

「読める!」

「断言した!?・・・魔法が中級しか

使えないくせに」

「よし。そう言うなら、勇者のタカノリが得意な剣での勝負しましょう?」


古代魔法遺産で作られた

雑嚢ざつのうから剣を取り出す。

普通の雑嚢と違い、収納スペースが

大幅に向上した。通常では入れない

物や山のような物さえ入れる不思議な

雑嚢なのだ。

そこから、出した剣をゆっくり

抜いていく。


「ストップ!ストップ!!」


俺は、視線はエリーゼに足は後ろへと

退く。いつでも逃げれるように。


「あ、あの。癇癪かんしゃくを起こすところ、悪いのですが・・・

魔法使いが剣をにぎるのは、

危険ですよエリーゼ」


俺の前に立つのは、神官ローブをした

オリヴィアさん・・・もとい、

オリヴィアで、そういうば俺とエリーゼの

ジョブは苦手のジョブ。


(俺が魔法が得意。だけと、エリーゼの

お願いで勇者になった。

エリーゼは、剣を握れば古今無双ここんむそうの実力者だが、

頑なに魔法使いとして貫きたいと

考えているからなぁ)


俺達は、残念ながら

ソロモン72柱の討伐や救世主など

では残念だが、ない。

・・・救世主はエリーゼが

愛してやまない、お伽噺とぎばなしから夢を抱いて

俺が召喚成功されると、懇願。

別に間違っていないか。


「えっ、その大丈夫ですよ!

わたし長く剣を持っていましたので」

「そうなのですか」

「はい!そうなんです」


エリーゼは、困ったように苦笑。

オリヴィアは剣を収めるように微笑。

これ、俺が逃げるパターンはないようだ。

オリヴィア仲間になって良かったぜ。

エリーゼも、前に佇むオリヴィアに

諦観のため息の後に剣を鞘に収める。


「よ、よかったぜ」

「エリーゼ。その気になることが、

あるのですか・・・その指輪は?」


左手薬指のはめた指輪を大事そうに

なでるオリヴィア。

これは、エリーゼの魔法戦略を

増やそうとして

プレゼントしたものだ。

エリーゼは、指輪を見て

頬を緩めながら、頬を赤らめる。


(き、気のせいか視線が強く感じる)

「こ、これは・・・うぅ〜!」

「こ、この反応は夫婦に

だからなのですね・・・」

「「ちがうーーー!!」」


俺とエリーゼのハモるツッコミは、

山にこだまする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る