第34話 将棋で戦おうぜ!

それからは、平和だった。

報酬がすくないと分かって漁の仕事を

手伝たり、早朝の剣の鍛練して

夕方には刺激と癒しの

ブドウジュースを飲む一週間。

俺は、師匠に注文した商品を抱えて

泊まる宿の二階にのぼりエリーゼと俺が

使っている部屋へ入る。


「エリーゼ見ろ!」

「あうぅ・・・・・」

「・・・・・ラノベを読んでいる!?」


異世界召喚のときに一緒に持ってきた

ラノベ。物理法則を無視した雑嚢ざつのうにずっと、入れていたが読ませてと

言われ渡したのが夢中になって

読んでいた。

ラノベは、メインヒロインが実の妹で

究極な妹もののラノベを書いた妹が

取材と言ってイチャイチャする。

・・・このラノベを読んで俺は

シスコンに覚醒した。

きっと、シスコンの人からしたら

伝説的なラノベだろう。

刺激が少々に強いシーンもあるため

年頃の女の子には不向きだと思うが

・・・すごい熱心に読んでいた。


「タカノリは、妹が好きなのかな?

そ、そうだとしたら・・・少し

有利かもしれない!

末子の妹の力を遺憾なく発揮して・・・・」


独白するエリーゼは、顔を上げて

俺がいることを気づいた・・・

一人言に妹の力とか訳の分からすぎる。


「・・・いつからいたの!

それと、聞こえてしまった?」


首を縦に振り肯定する。


「・・・そ、それよりも!な、なんなの

この小説は。じ、実の妹に迫られて

自分に抵抗しているけど、明らかに

好きなのが分かるし、妹は成績優秀で

運動神経も抜群な上に

品行方正で料理も出来る完璧で

容姿とか性格までかわいいなんて・・・」


否定から入って、そこから熱烈な感想を

語るエリーゼ。


「そうだな。とくに表紙や挿し絵とか

見ていて癒されるで・・・

と違った。エリーゼ将棋しないか?」

「しょうぎ?なにそれ」


しおりを入れ、本を閉じるエリーゼ。

話を聞く体勢だ。

俺は、エリーゼの座るソファーの向かいに

座りテーブルの上に将棋盤を置く。


「俺がいた祖国の大人気のボードゲーム。

王が詰んだら負けのゲーム・・・

大雑把に説明すれば」

「フーン」


駒箱こまばこを開けて駒を

将棋盤の上へ並べる。


「ちょっとした軍だね。ルールを教えて」

「ああ、ルールは―――」


軍の最前線には、歩が横一列に並べられ

その背後の左右に二つの大駒おおごまと呼ばれるエースがいる。

右には、飛車ひしゃ。左は角。

守護神のように頼れる存在。

飛車は、前後左右に駒が衝突しなければ

どこまでも進む。

角は、衝突する駒がなければ斜めまで

進めることができる。

そして、その一番背後には王の駒。

王の左右から位置で数えると金、銀、

桂馬けいま香車きょうしゃ


「うぅーん。なんとなく理解したけど」

「それは実戦をやりながら、

教えたほうが早く覚えるのでやろうぜぇ。

俺の知る日本で再現できたゲームを」

「そうね。わたしも日本のゲーム

やりたかったし」


エリーゼは、やる気になったことで

俺は自分の駒を減らす。


「ストッーーープ!!なに駒を減らしているのよ!乱心したの?」

「乱心するのはエリーゼだろ・・・

これは、駒落こまおち。ようは

ハンデをして、お互いにいい勝負に

するためなんだよ」

「そうなんだ・・・・・・で王の駒しか

ないけど?」

「駒落ちでは、最大レベルのハンデ・・・

裸玉らぎょくと呼ばれるもの」


王しかいない。俺の陣地とエリーゼの陣地は

大軍のように見える。


「その、王の駒だけど字がなんか違うの

だけど?」

「王とぎょくか、王が上位者が

使用する。玉は下位者が使うのが決まっているんだ。勘違いしないように訂正すれば、

実力か立場か何も考えずに決めたりする。

そして、対局の火蓋を切る言葉は・・・

よろしくお願いします!」


対局の開始になると、使われる言葉と敬意。

エリーゼは、呆気に取られながらも

同じく頭を下げ慌てて言う。


「先手はどうぞ。将棋には先手が

有利になる」

「わたしが、駒の動かし方を少しは

頭に入っているのよ・・・フフ、

覚悟することねぇ!」


数時間が経過する。戦況は俺が有利な

流れになる。

王を前線へエリーゼは歩を前へ出して

攻めようとするが、周りに他の駒がなく

前進したため簡単に敵の駒を奪う。

初心者がよくやりがちな事は、駒の連携を

せずに周りに駒がなく攻める。

それが、崖へ飛び降りるような行為になる。


「ふ、フフフ。ま・・・まだ

負けていない。たかだか銀を失っただけよ」

「それじゃあ、歩を前に進み成って

と金ときんに」

「裏返った!なにその、と金?」

「と金は、金の最強クラスの強さになる。

さて、続きをしよう!」

「雑!ヘルプ、ヘルプゥ!!」


腕を上げ強く反論を表すエリーゼ。

・・・億劫になってきたけど、説明を

しなければ収まらないだろう。

王と金の以外にある駒は敵の陣地に突入

することでる。

成ると、駒は裏返し動きは金と同じになる。

ただし、飛車と角は全一マスに移動になる。

敵の陣地は上から下に数えて3。


「そう。でも、成った駒を奪えば

強くなる。持ち駒になって・・・ねぇ」


エリーゼが言う持ち駒は、敵から奪った

駒は自由に好きな場所へ置ける。

置けばターン終了と縦列に同じ見方の歩を

二つ置けない。もし置いた場合は

反則負けになる。それをエリーゼに

伝えると落ち込んだ。


「あ、あれ?駒が王と銀と金しかない」

「どう覆せないと判断したら、

負けました・・・と宣言すれば敗北になる」

「だ、誰が!そんなことを・・・」

「時間を多く使うよりも敗北宣言したり、

絶対的に・・・イヤ、絶対に敗北を

感じれば・・・・・負けるのだ」

「そ、そんなこと!」


銀を横に動かし、俺が成った駒の大軍に

呑まれ傘下さんかにくだる。

金を突撃敢行するが、雲霞うんか

大軍で犠牲なく金を寝返る。


「も、もう玉しか・・・・・」


玉を前へ遮二無二・・・しかし、

蛮勇ばんゆうとなって進む。

俺は、その無謀な行動をした敵に容赦なく

情けなくトドメをさす。


「その不屈の精神には認めよう。

しかし、これは弱肉強食。

これで・・・終わりだあぁぁぁ!!」


詰みとなる一手により敵の玉は、

どう動いても取られる形になり勝利となる。

エリーゼは、俺の熱くなった中二病がかった

言葉に若干の引いていた。


「わ、わたしの負けなの?」

「ああ。玉がなにをしても取られる状況が

勝利になる。このゲームは、王を討ち取る

のが勝利条件じゃなく、完全に討ち取られる

形を作り、降伏が勝利状況だ!」

「・・・・・負けた。

なるほど、負けたのねぇ。

もう一度!わたしと勝負しよう!」

「くく、いいぜ!」


俺達は夢中になって将棋をさす。

久し振りの将棋にエリーゼと対局が楽しく

気づけば窓越しから陽光が部屋を照らす。

睡眠を取れずに討伐クエストをお互い

苦しい戦いに(かなり眠たく)強いることになったのだ。




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