第30話 水上での戦い

エリーゼのジョブは魔法使いでありながら

最強の剣の使い手。しかし今回は水上で

そのため近づくのは困難だからこそ

遠く攻撃する詠唱を開始する。


「聖なる矢よ【ライト・アロー】」

(ライト・アロー・・・光魔法中級。

エリーゼの放つ魔法はわるくないけど、

魔力が足りない)


手を前へ向け複数の光の矢を放つ。

一つ、一つの威力がないが速度と避ける

には、範囲外じゃなければ

とっても回避できない。

黒き龍の体に命中していくが無反応だ。


「ドラゴンって基本的に防御が

高いよなぁ・・・エリーゼ次の魔法は

フレイム・ブレスかストーン・ソードだ!」

「わ、分かったわ!

炎の砲撃・・・【フレイム・ブレス】」


右のてのひらを広け敵に照準を向け

中級炎魔法を放つ。

炎の奔流が黒き龍の顔を全体に呑み込む。

その間に俺は船にある救出用のロープを

手にして、船の船首に巻き付け

ロープの先に大きい魔石をきつく締める。

それを海に落とす。


「ボ、ボウズ・・・なにしているんだ?

まさか、それで釣ろうとかしないよな」

「まさか。これは守りのために

そして攻撃に使うんだよ」


依頼者の怪訝そうにするのも致し方ない。

黒きドラゴンの咆哮に

尻餅をつき恐慌の寸前だ。もしかしたら

動けるなら手を貸してもらおう。


「動けるなら、お願いします!

先みたいに巻き付けて左右と後ろを

海へ投げてくれませんか!」

「・・・話が見えないが、あの魔物を

倒せるんだな?」


これが、倒せるわけではないが

最終的にはあの黒き龍を倒すのに必須なのは

間違いない布石だ。

俺はそう考えに辿たどり根拠も

ないのに勝利に疑い無い気持ちになる。


「ああ!あの黒い龍を狩るのに

必要なんだ。出来ないでしょうか?」


片手を包帯を巻いている人に頼むのは

間違っている・・・時間を経てそんな

当たり前の事を考えれるようになった。


「いいぜ、任せろボウズ!」

「・・・え?その腕は大丈夫なんですか?」

「ハッ、なに言ってやがる。

沈没する危険があるんだぜ―――

うおぉぉぉぉ!!?」


船が激しく揺れる。尻尾などで船の下から

攻撃をしたのだろう。

俺と漁師さんはバランスを崩れ方膝を

床につく。


「キャァーー!!」


エリーゼは、後ろから倒れ仰向けになる。

ハデに倒れたが大丈夫だろう。


「ブオォォォォォーー」

「と、飛んだ・・・」


黒き龍は飛び――違う!これは、

ジャンプしたのだ。尻尾が上へ何処までも

続く。想像していたよりも尻尾か体が

長く海の上へ上がっていく。

そして、黒き龍はエリーゼに向かい

巨大な牙を向ける。


「あ・・・ああぁ」

「ブオォ」


高い位置から船に倒れる相棒へと一着線に

落ちて向かっていく。

俺は、がむしゃらに立ち上がり走る。


「我がてのひらに絶大な守りを持って

あらゆる災厄を防ぎ奇跡を起こしたまえ!」


強くイメージをする。あらゆる攻撃を

防ぐのは盾ではなく障壁ではなく

この手と心だ!必要なのは絶対な想像で

揺るぎないもの。

出来ない、妄想だと思えば失敗する。

全力で妄想をするんだ。

俺は、封印した中二病を解放した―――

俺は魔法しか出来ない、そして

最強だとチートで主人公のように最後は

絶対な勝利を飾るのだ。


「イヤアアアァァァァァァァ!」

(間に合え、間に合えぇぇぇ!!)

「バースト」

「ゴッ、オオォォ!」


間に合った。

黒き龍はあぎとを開き

エリーゼを庇う俺ごと飲み込もうとする。

右腕を後ろへ、放つ構えをする。


「ハンドォォォォ」

「タカノリ逃げてえぇぇぇ!!」

(エリーゼそれだけは、出来ないんだ。

2度とあんなのは、味わいたくない!

絶対に逃げないと決めたんだ俺は)


背後へ安心させる笑みを浮かべたり

言葉を掛けたいが

今は出来ない。全身件をあの攻撃に

集中しなければならないのだ。

龍の開いた禍々しい牙が触れる寸前。

俺は右腕を前へ叩きつける。


「エクテンション!!」


右腕には視覚的に変化はない。

拳を黒き龍の牙へ叩きつけ触れる距離に

拳の前から強い光が現れた。


「ォォォォ!?」

「驚いているようだなぁ黒き龍よ!

これは、上級防御魔法の中でも最も

難しく失敗しやすい魔法なんだ!」


巨体のドラゴンは、上から落ちて向かう

落下エネルギーでその破壊力の

鋭い牙で喰らおうとする。

俺は右の拳で上の牙にまっすぐ打つ。

放った拳と黒き龍の牙が触れる寸前の

わずかな距離で止まる。

お互いの攻撃を防ぐのは、ただの景色の

一部でつまり何もないのだ。

しかし、確実にそこにある。

そこにあると、判断できるのは

そこにある防ぐその回りから視認できる

閃光が拡散していく。


「これは、俺の拳が当たる

ギリギリで発動するんだ。

デメリットが多いけど、防御は最強だ。

そして・・・これだけじゃ、ないんだぜ!」

「ルドオォォォォォ!!」


停滞ていたいしていた攻撃を

動きがあったのはドラゴン。

龍は数十メートルに吹き飛ばされ海に

放物線を描くように落ちていく。


「これが・・・最強防御魔法の

バースト・ハンド・エクテンションだ!」

「・・・なにが起こったの」

「視覚情報は、無形でなにもなく、

過度な不可視ふかしの噴出で、

それより大丈夫かエリーゼ」


はぶいて簡潔に説明をしようと

したが、どうしても長くなりそう

なので断念し、手を差し伸ばす。


「う、うん・・・平気よ。

その、ありがとう」


掴むと引いて相棒は立ち上がる。

それにしても、伸ばす必要あったかな俺?

わざわざ、しなくてもエリーゼは

立ってるのにだ。

そんな、空気だとしか推測しかできない。


「ブルウゥゥゥゥゥ!!」


怒気を含む叫びを天に向けて上げる

黒き龍。あくまで吹き飛ばすだけで、攻撃を

与えるような魔法ではないため

ダメージはない。


「さて、ほとんど最初に戻ったような

ものだけど、やれるかエリーゼ」

「もちろんよ。言われなくてもね!」

「フッ、それは・・・頼もしいぜぇ!」


俺は、懐から魔石を3つを

エリーゼの足下に別々に投げる。

石は、輝き線を作っていき魔方陣を完成。


「紫色の陣・・・・・これなら!

炎の砲撃【フレイム・ブレス】」


右手を構え詠唱するのは効かなかった

炎の中級魔法、しかし魔方陣が放つ

紫の光の効力により魔法は強化する。

範囲と威力を増した

灼熱の奔流が再び敵を襲う。


「オオォォォォォォ!!」

「き、効いた・・・の?」

「ああ。こんな風に

魔石を巧みに使えれば戦況がかなり

有利になるんだ。例えば魔方陣を使うのは

こんなばかりじゃないんだ」


俺は、ズボンのポケットから四つの魔石を

投げて時間差で魔方陣を起動させる。

四角形のクリスタル型の魔方陣は

本来は護りに使い捨てのはずだが・・・

黒き龍の頭に攻撃に使う。


「ォォォーー」

「魔方陣を投擲とうてきにした!?」

「説明文、教科書ならではの発想力は

限界を越えれない。

こんな風に一見にして変人のような

考えも必要なんだ」

「はい。・・・勉強になりました」


エリーゼが、素直に返事が返ってきて

魔法では俺の方が教える立場になっていた。


「はぁ、はぁ・・・終わったぜボウズ」

「ありがとう。次にこれを・・・」


設置を完了したと腰を低くして近づき

報告をする筋肉隆々の依頼者。

俺は柱に上に帆を狙い魔石を投げると、

上から水滴が落ちる。徐々に増えていき

雨が降ったのだと気づく。


雨天うてんだと、あの黒き龍が

強化しないと期待してと、規模がそこそこ

魔方陣の発動と説明が優先だな)

「たとえば、中級レベル風の無詠唱で魔法を

使い高く飛ばせ、そこから時間差の

魔方陣を起動する。

そして、起きるのは・・・・・」

「えっ、船が美しい障壁に包んでいく!?」

「な、なんだよ、これは!」


エリーゼは、目を見開き展開をしていく

魔方陣を見上げる。

漁師さんの人は、四方からの障壁に驚く。

ロープに巻いた魔石を海中に落とした4つと

先、投げた魔石による力で組み上げるは

ピラミッド型の魔方陣。


「ォォォォ!!」

「ベストタイミングでやってきた・・・

エアー・ブレイドで仕留めるぞ!」

「は、はい!」


黒き龍が船に体当たりに猛進するが

障壁に顔から衝突する。

エリーゼと俺は偶々たまたまだろうが

異口同音に詠唱を開始する。


「「起こせ風の刃【エアーブレイド】」」


白く輝くピラミッド型の魔方陣は

種類は魔方陣、見た目は障壁に

幾何学模様にしか見えない。

魔方陣の外側から

無数の風の刃が黒き龍を襲い身体に

鮮血が飛び出しそして、

海の中へと消えていく。


「・・・あのバケモノは海中に消えたが

ったか!」

「それ、やっていないフラグだから!」

「もう!どうしたのよタカノリ。

カッコいい思ったのに・・・」

「ッオオオォォォォ!!」


フラグにより復活したとは考えにくいが

深手を負っている。

漁師さんはなにを思ったのか

ズボンの内ポケットから写真を取り出す。


「俺は絶対に帰るんだ・・・

もう一度、妻と子供を見るためになぁ!」


決意を宿る漁師さんの姿を見て俺は――


「ああぁぁー、だからフラグはやめろ!」

「グゥロオオォォォォォ!!」


パキ。と不吉な音が聞こえ振り返ると

魔方陣からの障壁にヒビが入る。

雨はどんどん激しくなっていく・・・

まるで、絶対絶命な状況になっていると。


「俺は生きて変えるんだ!

妻にもう一度だけ告白するためになぁ!!」

「もう、好きにフラグを作ってくれ。

エリーゼ!解除するから、剣で奴を

仕留めてくれ」

「ハァー、わかったわ!」


エリーゼは勢いよく魔法ローブを脱ぎ

鎧甲冑の、姿になる。

雑嚢ざつのうを探し始める。

剣を取り出して抜刀する。


「道が俺を作る!はぁー!」

「わあぁーー!?け、剣から燃え

続けている」


無詠唱で炎の中級魔方を剣が燃え始める。

これを頭に斬撃など、躊躇いはない!


「解除・・・次に魔方陣を空に作るから

それを足場にして倒してくれ」


俺は両手から魔石を必要ものだけ

選びそれ以外は船上に落とす。

投げた魔石は小型の魔方陣の上へジャンプ。


「どこにわたしが決める!!」


魔方陣を即座に発動して足場にして

黒き龍の顔を炎の剣で倒すのだった。

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