第29話 漁は大変だと既知で想像の上

「オラ!ボウズ腰を使いやがれ。

網に引っ張るなら、力を入れろ!!」

「き、キツすぎるわあぁぁぁ!!」


帆を張った船上に放った網を広範囲に

囲むように船を動かし作っていく。

そして、それを引っ張るだけなのだが、

重たいでなかなか上手くいかない。

その前に日本では体育の授業を辟易して

廃してくれないかな考えている

普通の高校生なのだ・・・たぶん。


自棄やけに声を上げても駄目よ

タカノリ。無駄に力を使わずに

最低限の力を使うのがコツよ!」


自慢気になって言うエリーゼに

俺はため息をこぼす。


「そう言うけど、エリーゼさんよ。

言うが易しで、そんな理屈で上手く

行けないから!あぁー、疲れる

インドアの俺がどうしてこんなことを

しているんだろうなぁ・・・

美少女に声を掛ける仕事ないかな」


ホストに入れるほど、眉目秀麗びもくしゅうれいはないが培った美少女ゲームの

セリフで恐ろしいぐらいに成功している。

どこかの偉い人が恋愛シュミレーションは

役にたたんと一蹴していたが

異世界は別のようだ。


「・・・・・ふーん。

わたしがいるのに、そんなことを言うんだ

・・・そう。なら、漁網ぎょもう

一人でやってねぇタカノリ君」

「あっ、バカ今そこで外すと・・・

いやああぁぁぁぁぁ!重たいよぉぉぉ!!へ、ヘルプゥゥゥ!誰か救援要請をぉぉ」

「・・・ボウズ。あんなキレイな彼女が

いるのに、何やっているんだよ」


呆れるは、先日に依頼者の片手を

怪我をした漁師さんだ。

あの立派な禿頭とくとうは今や陽光を

反射していない理由は曇りであるから。


「ほら、ボウズの彼女もそう怒らなねぇで

手伝ってくれよ。手伝ってくれる

だけで、助かっているけど報酬が少ないのはなんとかするからよ」

「あっ、いえお気になさらずに。

困っている人を救うのは当然ですよ。

報酬はそのままでけっこうですので」

「・・・恩にきるぜ」

「あの、そろそろ手伝ってくれませんか?

腕が千切れそうで痛いんだけど

エリーゼやあ」


ようやく、救援に応えてくれ漁網は

少しだけ軽くなりなんとか上げれた。

網に暴れ跳ねる魚を見て、ちょっとした

高揚感と達成感を覚える。

ニジマスのような魚やタイのような魚まで

捕まえれた。


「しかし、マグロとか釣れないのかな?

いや、異世界だからいないのか?」

「ボウズが何を言ってやがるのか理解でき

ねぇが、助かったぜ!」

「あ、ああ。どうもいたしまして」


サムズアップされ、俺も親指を立て応える。

そして、依頼者の顔を見てある疑問が

よぎる。異世界にいる者がいないのだ。


「疑問があります傍若のエリーゼ、

魔物とかいないの?海でも出てきても

よさそうなのに?」

「それはねぇ―――」

「なんだ知らねぇのか?海に生息している

魔物は、希少で滅多に出てこないんだよ」


どうやら、海の魔物は遭遇がなかなか

ないようだ。だから、前に漁獲を手伝って

いたらエンカウントしなかったわけか。


「そ、それと加えてどれも危険度が高くて

1頭を討伐するのに4人以上のパーティが

必須で・・・・・えーと、それと・・・」

「お嬢さん彼氏に知識を自慢してのは、

この辺にして、釣れた魚をだなぁ」

「は、はい・・・」


エリーゼは、顔を赤らめながらも

捕れた魚を出たけどクーラーボックスへ

入れていく。本来は大漁に入れるほどでは

ないが、これも古代魔法遺産の

スーパー収納できる技術を発見と開発が

発展した。それが、クーラーボックスの

10倍の大きさでも軽々に入れる

まさしく魔法の道具らしいようだ。


「思ったんだけど、どうして彼氏を否定

しないんだ?」

「えっ!?」

「・・・いや、そんな顔をしなくても。

勘違いされて、嫌じゃないのかエリーゼ」

「・・・・・・」


エリーゼは愕然としたと

思いきや悲しそうに曇っていく。

一瞬とはいえ、驚いた・・・

傷つくような発言はしていないはず。


「・・・よく、分からないけど

彼氏とか気にしているなら―――っ!?

な、なんだ!?」


地面は揺れていく・・・否、立つのは

船の上か。波が荒々しく流れになっていく。

まるで、災いの予兆と呼ぶべきか

不吉を直感的な思考へと進んでいく。


「ま、まさか・・・海の魔物が!?」

「バ、バカな!出てきやがるのか・・・」


一際に荒れる波が・・・水は柱のように

登り、その水しぶきがこちらまで届く。

冷たさよりもそこから現れる

大蛇のように長い体の黒き龍が出現した。


「オオォォォォォォ!!」


俺達に鋭い目を向ける龍タイプの魔物。

もしかしなくても、獲物だと見ているよな

これは・・・甲高い叫びに

戦意喪失していく。戦おうのが無謀なのだ!

逃げるか、諦めるのが賢明な選択で――

エリーゼが、前へ出て杖を構える目に

入り・・・・・戦意喪失は、忘却の霧の

奥へと消えた。


「エリーゼ攻撃を頼む。俺はしばらく

護りに徹する!」


エリーゼは振り返り、頷く。


「ええ、任せて。あんなドラゴンもどきに

負けないんだから!」

「へっ!心強いぜ相棒!」

(しかし、水上戦か・・・接近戦なんか

すれば、水中にドボンと落ちたら

最後だろうなぁ・・・

動きは大幅に制限され、相手は得意の

フィールドで全力を発揮できるだけで

勝算が薄く思えてくるぜ・・・)


恐怖に抗い魔物を戦うことに心中は

警鐘が鳴り響いているが、

やるしかない!

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