第20話 勢いでデートになっていないだろうか?

エリーゼが最初に選んだ所は服屋。

しかもオサレな所り


「そ、そのこれと・・・これなんだけど

タカノリは、どちらかがいいと思う?」

(まさか、こんな質問されるとは

さすがに思わなかったぜ・・・ある意味で

究極の選択だな!)


エリーゼが、両手を差し出すのを見て

俺はなにを言えば正解か分からずため息。

右にあるのはフリル多めの短いスカート。

左はシンプルながら令嬢が着そうな

長いスカート。


(まさか、好きでもない女の子に

この質問はないだろう。いや、相棒だから

普通なのか?友達がいたことないから

分からないなぁ)

「あ、えーと。そうだな・・・う~ん」


腕を組み見ては悩む。ハッキリ言えば

ジーンズが似合うと思うがそんなことを

言えばわたしはがさつですよーーだあ!

・・・なんて言って激怒するだろうなぁ。

いつまでも悩んでいると、閑古鳥かんこどりが鳴っているなぁと、

どうていいことを考えエリーゼにチラと

向けると、目が合う待っているのだから

当たり前か。頬が少し赤い?

さて、視線を戻しそろそろ選ぼうと

したが、決めれず悩み無駄に時間が流れる。


「・・・そ、そこまで考えるんだ・・・

右顧左眄うこさべんしてくれるんだ・・・・・」

「えっ、うこさべん?なにそれ」

「あっ、えーと・・・右顧左眄は、

右を見ては左を見たりして迷うことよ!」

「へぇー、そうなんだ。訊きたいのだけど

どうして、そんなに焦っているの?」


呟いていたうこさべんを何なのかと訊くと

しどろもどろになったのだ。


「は、はぁ!?そんなことないわよ。

真剣に選んでいるなぁーって感心した

だけよ!」

「・・・・・なんか、ごめん」

「って、どうして謝るのよ!?」


実はそのスカートの事ではなく、何を

応えようかなんて悩んでいると

まさか、真剣に悩んでいると言われ

罪悪感に堪えられなくなったのだ。

もちろんそれを応えず本当に

真剣に選ぶとしよう!


(エリーゼが似合うスカートを・・・

想像して見たらどちらも似合い

個人的に言えば・・・)

「これ・・・かな?」

「えーと、フレアスカートミニ。

理由を訊いても?」

「そ、それは・・・長い格好も多いから

たまには短いのも見たいと思ったのと

とくに白はエリーゼの美しさに

合うと・・・違う!普通に似合うだけだ!」

「うん・・・・・会計に行ってくる!」


呆然と俺に向けるエリーゼの顔には

赤くなっていた。素直な称賛に

恥ずかしかったのだろう。

そして、エリーゼが満面の笑顔で

店を出て数分ぐらい歩きエリーゼが次に

選ぶのはオサレな喫茶店。

取り合えずエリーゼとダージリン?

フルーツのシャルロット?を俺も注文。

談笑していると注文したのをやってくる。


「これが、ダージリン・・・紅茶だ!

これが、シャルロット・・・

なにかのケーキだ!」

「いや、タカノリ。シャルロットは

ともかくダージリンぐらい知りなさいよ!」

「いやいや、普通だと思うのだけど」

「そう。ならこれが初めてになるのねぇ」

「そうだな。正直ケーキの方は

一人前分じゃなくて、もっと

欲しかったけどなぁ」

「・・・あなたねぇ」


テラスの向かいに座るエリーゼは、

俺の言葉に飽きれ紅茶・・・ダージリンを

優雅に飲む。気品があふれる姿勢と雰囲気にその姿は、まるで深窓の令嬢であった。


「・・・・・・」

「・・・・・な、なによ。

まじまじなんか見てきて失礼じゃないの!」

「はっ!?わ、わるい」

「?そう。それとこのシャルロットケーキ

だけどねぇ、女性の帽子を見立てた

形だって知っていたかしら?」

「へぇー、そうなんだ。それじゃあ

さっそく一口・・・っ!?

お、おいしい!!」


フォークが止まらず次から次へと口に

入れていく。甘さが口の中に広がる。

クリームやフルーツとタルト生地の相性が

よく、多幸感になる。パクパク・・・

なにか飲みたくなり紅茶を飲むと

芳醇ほうじゅんな風味だった。


「・・・おいしい」

「ふふ、そう。タカノリとはいつかここで

一緒に食事したいと考えていたんだ」

「そ、そうなのか。俺もこうエリーゼが

目に奪われるような優雅な姿を見れて

よかったよ」

「そ、そう。こ、ここ、光栄ねぇそれは。

他にも葡萄ぶどうのシャルロット

をあるわよ」

「そ、そうなのか!?すみません!

ブドウのシャルロットをお願いします」

「かしこまりました」

「えっ、頼むの。まだ食べきっていないのに注文なんかして・・・」

「そう呆れるなよ。よく言うだろう。

ブドウは、別腹って!」

「デザートはねぇ。普通はねぇ!

ハァー、本当に葡萄となるとたくさん

食べるんだから」


エリーゼは、嘆息する。その後ブドウの

シャルロットをすぐ平らげて

店をあとにした。

次は古本屋に入り早々、エリーゼは

おとぎ話の本をキラキラした目で見ていた。


「・・・本当にこういうおとぎ話が

好きなんだなぁ」

「どうせ、わたしには似合わないとか

言うんでしょう!一応、言うけど

わたしは最近は読んでいないから

これぐらいはいいでしょう」

「?いや、当然だろ。好きな本を読むのに

似合わないとか本当は思っていないから」

「・・・あれ、前は似合わないって?」

「たぶん、売り言葉に買い言葉に

なっていたと思う。その傷ついたんなら

ごめん!なにか、欲しいのあるなら

いくらでも俺が払う」

「い、いいよ。古本屋なんだから

高くないんだから」


いくつかお互い欲しい本を購入し

次は噴水の近くにあるベンチに座り

他愛のない話をした。本当に内容は大したことないのに、それが楽しくて貴重な

話になっていた。

気付けば夕方になり、景色はインスタ映えな

黄昏色へ染める景色。


「・・・もう、夕方か」

「そうだね。・・・ねぇ、どうして

・・・・・・その、わたしが行きたい所に」

「なんだか、俺と居てストレスとか

おとぎ話とかしなくなったから?」

「フフ、どうして疑問符なのよ?」

「・・・何て言うのかこうしていると

落ち着くよ。俺こうして召喚されて

いなかったら、一人だって思っていた。

親は俺以外の弟と妹によく話していて、

友達もいなくて・・・こうして

誰かに気を使わずに意見とか想いとか

ぶつける相手がいるのは嬉しく思う」


日本にいた俺は、常に一人だった。

そのため、 誰かと行ったり帰ったり

するのはなかった。


「・・・タカノリ。

そう思ってくれたら、嬉しい。

わたしが勝手にこの世界に呼んで

故郷とか元の世界に戻りたいじゃないのか

恐かったんだ」

「・・・そうか。戻りたいのは、

少しあるけどエリーゼが隣にいるから

離れたくないと俺の中ではそう

考えているんだ」

「!?そ、それって・・・」


目をつぶれば、この異世界での生活に

常にエリーゼがいた。

ケンカが一番、多かった方が挨拶のように

なっている。

そんな遠慮が本当にいらない相手に俺は

姿勢を正してまっすぐエリーゼに見る。

座ってこうまっすぐ見るのはなかなか

ないかもしれない。


「えっ?・・・そ、そうまっすぐ

見られると恥ずかしいかな・・・」

「エリーゼ・・・これから相棒として

頼むぜぇ!」

「は、はい!喜んで・・・・・え?

相棒?」

「そうだけど?」

「ハァー。・・・・・はいはい、

これからもよろしくねぇ相棒」

「ど、どうしてそんなに投げやり!?」

「この話は終わり。ほら、わたし

美味しい飲食店を知っているから行こう!」

「・・・そうだな」


俺はエリーゼの隣にくだらない話をして

雑踏する通りへ向かって歩くのだった。

異世界召喚されて、迷惑だって思ってたが

今は、隣に笑うこの金髪碧眼に

心から感謝している。






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