第16話 仲間としての最後にやれることをする恋をした女の子
「・・・・・・・・・ハァー」
純白のツインテールは、長く
少年の背中を押すために微笑み
仲間を見捨てるように言った。
「これぐらいしか、わたしには
出来なかった。足が震えて、心も壊れそうに怖いから行けなかった。
・・・せめて、タカノリさんをやる気に
させた。これが・・・最後に
パーティとしての手助けだから・・・」
タカノリを鼓舞するため、後悔のないように
言葉で表情で導かせたフェイ。
頬に流れる涙の粒を指先で拭う。
(いままで、ありがとう。
タカノリさん、エリーゼさん、
ホールドさん。きっと3人ならあの
ドラゴンだって倒せるって信じているよ)
両手の指を組み目をゆっくりと閉じ、
祈るフェイ。
(どうか、ご無事でありますように・・・)
フェイは、短い仲間であったが
今までのパーティよりも温かく信頼して
楽しく話せたことに嬉しかった。
しかし、もう終わりなのだと考えると
涙が止まらず嗚咽が止まらなくなる。
そんなときに、誰かが此方に向かって
走ってくる音が聞こえた。
(・・・もしかして、タカノリさん)
「ハァ、ハァ。あれそこにいるのフェイ」
「・・・ホ、ホールドさん!?」
息を激しく求めるように呼吸するは
ホールド。フェイは、ホールドが勇ましく
戦っているのだと、思っていたのだが
走る姿に驚いた。
(あの、表情からして、まるで遠く逃げて
少し安心して、それでも安堵できずにいる
わたしみたい・・・)
ホールドは、頭を掻きながら言う。
「まさか、驚いたよフェイがいるなんて。
ここでなにを?」
「そ、それは・・・」
どう言えばいいか分からなかったフェイ。
ホールドは答えにくい方かなと
爽やかに笑みを浮かべる。
「まさか、タカノリがエリーゼが戦って
いるドラゴンを必死に走ったのは
驚いたよ」
「そうなのですか!」
「ああ。立派だと思うけど二人は
戻ってこないだろうなぁ・・・
フェイ、こんな情けない騎士だが
これからも一緒にパーティを続けないか?」
二人は戻ってこないと言うホールドは
少し辛そうに言う。そしてすぐに
吹っ切れたように誘う。
「いえ、当分は一人で新しい仲間を
探そうと思います」
「・・・そ、そうか。それじゃあ
街に戻るか」
「はい。・・・それとホールドさん?」
フェイは、速くない速度で走り振り返り
ホールドに微笑みながら思ったことを言う。
「ただの勘にすぎませんけどねぇ。
きっと、タカノリさんとエリーゼさんは
無事に戻ってきますよ」
「・・・え、ああ。そうだな・・・」
ホールドの返事は疑問系で
半信半疑であったがフェイは根拠もないのに
二人が笑って楽しそうに凱旋するのが
想像難くなかった。
そのビジョンに少し嫉妬した。
(でも、エリーゼさんのように
わたしはタカノリさんが好きじゃないから
これでいいんだよねぇ)
誰に対して思ったか、そう空へ心中で問う
フェイであった。
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