第13話 竜との邂逅

エリーゼが、激昂して部屋が別々となった。

俺は、何故か気が気でならない思考と心を

どうにかしようと頻繁に通う

魔法具店に入る。


「歓迎しよう心理を追究する者よ・・・

おっと、ブラックファングか」

「・・・師匠。」


悩みをなんとか解決しないか求めた相手は

師匠。無精髭で灰色がかった赤の乱雑な髪をした中年は、不適な笑みで来店を

歓迎してくれる。


「どうした?深淵しんえんの底を

見てきたような顔つきだぞ

ブラックファングよ!」

「・・・その、いつも一緒にいた

相棒が新しい仲間と楽しく話が

気に入らないのか

突然、怒ってしまって・・・

自棄やけになるし、拒むで

どうすればいいのか、分からなくて」


ケンカは、よくしていたが部屋を別々と

言ってきたのは初めてだった。

ここまで、怒った理由や分からなく

師匠を尋ねるため宴の後に

足へ運んだわけだ。


「フム・・・迷える羊ならぬ

迷えるブラックファングよ。

その苦しみを我がなんとかせよと?」

「は、はい!悩みを真剣に応えて

くれそうなのは師匠ぐらいだし」


俺は相談する相手を選ぶのは、

エリーゼと師匠のどちか。


(まぁ、日本の場合は家族だけだったし、

それなりに家族以外に相談できる人が

いたから、それなりに成長している・・・

かな?)


ショーケースにそこにあるのは

魔法の触媒とする宝石類。


「相談のお礼と言うのはおかしいけど、

その触媒の宝石いくつか買います」

「まだ、語る前にか・・・いいだろう。

悪魔で我が管見かんけんで良ければ

なぁ。」


唯一の相談できる師匠は、目を閉じ

ゆっくりと開く。


「客観的に主観的に考えてもその内に眠る

熱い想いを吐露とろするべきだろう

・・・・・さすれば、望外の結果となろう」

「・・・・・望外の結果ですか?」


師匠の抽象的な言葉にどんな意味があるのか

深く知ろうとして思考を巡らす。


(熱い想いを吐露・・・告白かな?

いやいや、恋愛関係じゃないから!

なら、友情か相棒としての信頼とか・・・)

「闇に彷徨うな!

進まないなら考えは捨て時には

蛮勇ばんゆうとなり、動け!

その後から考えろ!」

「――!?」


師匠の珍しく明確なアドバイス。

そして、今の俺が望んでいたものだったかも

しれない。


「師匠・・・ありがとう。

悩んだら無理して勇気を振り絞って動いて

その後を考えることなのですね」

「左様。蛮勇は得られるものも

あるからして」


まさしく金言。次の日よエリーゼにこの

熱い想いをぶつけてやろぜ!と

意気込みましたが―――

次の日、西にある森林地帯で

アーチェリー・モンキーやレオーを

倒しながら依頼の盗賊から形見を取り戻す

ため奥に進んでいる最中に気づく。


(師匠・・・・・いくらあのがさつな

エリーゼに遠慮がない俺でも

想っていることを吐き出すの伝えるのは

難しいです)


先頭へ歩く俺は、勢いで決意してその時に

なってどのタイミングで言えばいいのか

もう少し具体的な助言を求めれば

よかったと後悔が起きて大きなため息。

首だけ後ろへ振り返り、エリーゼは

偉丈夫の騎士ホールドと楽しく

話しをしていた。


(あれから、最低限しか話しないしで

本当にどうして怒っているんだ)

「あ、あの・・・タカノリさん」


左下へ向けると、神官のフェイが

上目遣いで呼ばれる。


「えーと、なにかなフェイ?」

「あのですねぇ・・・エリーゼさんと

仲直り出来ずにこのまま行くのは

危険じゃないかなって思うのですが?」

「・・・えーと、詳しく?」

「ふ、二人は不満をぶつけて悪そうに

見えるけど信頼していて、

今は・・・なんていうのかよくない気が」


フェイは、最後の言葉にエリーゼへ

一瞥いちべつして俺に言う。

今から盗賊と戦う可能性あるのに

連携が取れるのか訊いているのだろう。

《雑嚢》から、ブドウ味のあめ玉を口へ

入れ、糖分で思考を上げようと嘗める。


「・・・大丈夫なはずだよ。エリーゼは

無茶な事を言うけど、出来ないような

危険なクエストを選ばないように

気を付けているはずだから・・・」

「タカノリさん・・・」

「もし、予想外の事を起きたら俺が

護るから」


いざとなったら魔法使いに装備を一着して

戦えばいいだろう。

そう強者ゆえか楽観視する。


「フフ、信頼・・・しているんですね

エリーゼさんに」

「まぁ、そうだね。・・・でも女の子として好きかと言ったら違うから」

「フフ、そう言うことにしますねぇ。

気になったことあるのですが・・・

タカノリさんって葡萄ぶどう

お好きなのですか?」


フェイが突然、そんな質問をしてきた。

ぶどうが好きかって言ったらその通りで

日本のときでは、好物ではなかった。


「思い出と言うのか・・・エリーゼに

このあめ玉を差し出されてから好物に

なったんだろうなぁ。このブドウ味は」

「それじゃあ、凱旋したら葡萄酒でも――」

「大丈夫。お酒は飲めないから」


異世界の人達は中高生からの年齢でもお酒が飲める。俺は、断るけどブドウ酒と

呼ばれるお酒をいつかは、

飲んでみたいと思っている。


「そうでしたね。ちなみにおいしい

お酒ですよ」

「あ、あはは。そうなんだ・・・」

(近い年齢なのにお酒の話に熱弁していると違和感が半端ないなぁ。

それにしても、フェイが泥酔すると

厄介だからなぁ・・・。それはそうとして

大人になったら

その勧めたブドウ酒を絶対に飲もう!)


好物のお酒とはどんな味か好奇心が

湧いてくる。

俺が大人になってもエリーゼと一緒に

いられるか一瞬だけ考えてしまう。

刹那的に浮かんだのは―――

変わらずにケンカしてそれなのに誰にも

出来ない言葉もいらない緻密な連携だった。


(不思議と悪くないなぁー、なんて思っている俺がいる。たぶん、女の子にそう

恋愛感情がなくって考えれるのは

エリーゼだけだけど)


背後に歩いているエリーゼを振り向くと

目が会いエリーゼは、顔を隠そうとせず

しかめて睨んでくる。


「・・・な、なによ」

「・・・なんでもない」


会話終了。視線を前へと、景色と風を

味わうことに戻す。


「・・・なんだか、上手く行きませんね」


フェイは俺の隣まで早足で近づき

短く拙い会話に不安そうに言う。


「そうだな。上手く行かないし、流れに

何故か俺も流れてしまって

本当にどうしてエリーゼとケンカなんて

しているのだろうか」

「でも、遠慮のいらない会話なのに

とっても仲がいいのは憧れます、わたし!」

(・・・そう目をキラキラされるほど

でもないと思うけどなぁ)


苦笑をしていると、上空がなんの前触れもなく影で覆い隠す。

少し前にある景色は、陽光。先に広がるのは

明るく照らしているのに何故、ここだけ

暗くなったのか疑問を思い上空へと仰ぐと

・・・・・巨大な竜が飛んでいた。


「・・・ド、ドラゴン!?」


影を覆った原因は、あのドラゴンだ。

翼を広げ此方に睥睨していた。

本物を見れたことに感動と恐怖の両方が

溢れる俺はそう呟く。


「ど、どうしてこんな所に

ドラゴンが・・・」


隣に立つフェイは驚愕し恐怖する。


「・・・運が悪いわねぇ。まさか

少ない確率で邂逅かいこうするなんてねぇ」

「はい。まさか竜が現れるとは・・・」


エリーゼは、運が悪いと緊張と恐怖を

混ざった声音で、

ホールドも似た声音で返事をする。


「睨まれている、右に移動!」

「っ―――!」


エリーゼの最低限で短い指示を叫ぶ。

迅速に行動せねばならない状況の時こそ短い

指示する。そうせねば、攻撃や敵に時間を

与えることになるし、

混乱して動けなくなる。


そして、今は状況の整理できずに

動けなくなったところを指示が飛び

意識が戻ったような感覚になる。そして

叫んだ内容の右にある木々がかなり

生えている場所へと走る。


「ハァ・・・ハァ・・・まさか

ドラゴン会えるなんて嬉しいのと半分と

恐いが3割で残り2割はスゴいで驚いた!

エリーゼこのまま身を隠して立ち去るまで

ことで?」


咄嗟に身をかがめて木々をたくみに利用して

視界から映らないように気を付けている。

俺の隣にある木の下にかがむエリーゼへ

向けて言う。


「そうね。・・・あの竜とは戦闘は避けたいし。したくないわね正直」

「戦うにはキツいですからね」


エリーゼとホールドは戦闘を避けるのを

戦闘したくないようだ。


「あれ?フェイは・・・」

「キヤャャャーーー!?」

(この声は・・・フェイ!?)

「まさか・・・・・」

「ちょっ、ちょっとタカノリ!!」


エリーゼの制止を聞かず俺は、逃げてきた

場所へ見ようと立ち上がる。

すると、両手を杖を掴み今でもドラゴンを

仰いでたフェイの姿が見えた。

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