第8話 四人パーティ
ルクサント・ルークの正門付近。
朝早く起こされた軽めの朝食後、
俺は強制的に日課とされている
剣の鍛練をエリーゼ相手で始まる。
「ほら、もっと前進して・・・
いや、違うからそれ!」
全力で走り木刀を斜めに降り下ろすが、
エリーゼは、直撃コースギリギリの危うい
最低限の動きで避け、その回避の動きを加えた木刀の先の部分で
「ぐっ、痛い・・・」
「ふわあぁ、そう」
欠伸をするエリーゼは、慣れた動きで
後ろへとジャンプそして前へ走る。
「うわあぁぁぁ!!」
「これが、本当の袈裟斬りだから
しっかり覚えてよ」
神速的な剣さばき。威力と速さに俺は
軽く背後へ飛ばされ落ちて尻餅をつく。
「くっ、こんな神業できるわけが・・・」
「それじゃあ、立ってくれる?まだ、
剣の鍛練は始まったばかりだから」
「・・・あのエリーゼさん。その
俺達、大型の魔物レオーを
倒しましたよね」
「え?・・・ええ。そうね。
それがどうしたのよ?」
俺の問いに訝しむエリーゼ。
街道の邪魔にならないように鍛練していた。
草原の上をあぐらを組んで座る。
日々の鍛練でのエリーゼは、
ローブ姿ではなく、ややオシャレな
青のスポーツウェアを着ている。
俺の気のせいか、半年前よりもオシャレな
衣装を着るようになったとエリーゼは。
(いや、年頃の女の子だからオシャレに
目覚めただけだろう)
それしかない。あの性格で彼氏ができるとは
思えないし・・・ハッ!?もしかして
彼氏がいないから焦っているとか?
「な、なによ。まじまじ見られると
恥ずかしいのだけど?」
「あっ、ああ。ごめん!大型レオーを
倒したわけで
まだ、疲れが取れていないから今日は
これぐらいにして―――」
「それじゃあ、次の攻撃は横一文字斬りで
行くから」
「ちょ、待っ―――ギャアアアアァァ!!」
急いで立ち上がるも、宣言通りに
エリーゼは、横一文字斬り。
受けてしまい後ろへ飛ばされた
俺は衝撃を軽減のために
地面を何度も回る羽目になる。
受け身だけは上達したよ・・・・・・
エリーゼのお陰で(涙)。
「ひ、ひどい・・・
「戦闘中に待ったを通じるとでも?」
「ぐっ・・・そ、そうだけど・・・」
「ねぇ、気になったのだけど
なにか考え事をしていたよね?」
急に俺がオシャレなスポーツウェアをした
エリーゼを見ていたことか?
今は、その厳しい表情から
真摯的な顔つきを向けられ
それとも暗い気持ちも思われて心配など
訊いてきたのだとしたら・・・
懸念をなんとかする義務がある、たぶん。
しかし素直に言えば激昂するから、
ここは消去的に考えて当たらず遠からずに。
「その、青のスポーツウェアだけど
可愛いと見ていただけだよ」
「・・・ふぇ!?」
意外すぎたのか、頬をリンゴのようになり
目を前へ横と動かし
一目で戸惑いと嬉しいさが出ている
反応をする。
その可憐な少女のような
顔になるエリーゼに驚いた。
「エリーゼまさか・・・」
「な、なに?」
なにか期待を膨らませた顔をするエリーゼ。
俺は、この後の言葉に不安で
いっぱいになる。しかし訊かないと。
「ひどく疲れていない?」
「・・・・・はい?」
「その、乙女のよう反応したことに
なんだか怖い!・・・えーとそうじゃなく
いつもは、強引な理論を持って鬼の形相で
剣を振り回す危ない奴なのに!?」
「・・・フーン、へぇー。そう考えて
いたの?今からたくさんの斬撃するから
うまくさばくなり、避けてくれてねぇ」
不適に笑い幽霊。浮遊感やゆらゆらと
感じさせる動かすエリーゼ。
目は笑わっていなく
その瞳の奥には獲物を狩る物の目をする。
「ひっいぃ!?」
「ハアアアァァァー!!」
数分後。朝の鍛練を終えルクサントルークの
正門をくぐるときに門番の人が
俺に
声を掛けてもらった。・・・わーい!
エリーゼにボロボロされるのを
近くで見てくれたからだね(やけくそ)。
お互いの不平不満の
続けながらギルドに向かい歩く。
ギルドに入り新しく貼られた依頼をなにを
選ぶかで争うことになるよなぁ・・・んっ?
エリーゼは、発注した依頼の紙をじっくり
観察する。
「うん。わたし達に相応しい仕事ねぇ」
「えーと、何々・・・西の森林地帯に
盗賊の被害を受けました。
お金以外にも大事な相棒の形見を奪われてしまいました。形見はルビーの指輪との事、
報酬は、600ルビーか・・・」
エリーゼが少し食い付きになった内容を
隣まで歩き見てみれば、奪われた物を
取り返す物のようだ。やっぱり異世界と
言うべきかな、盗賊が跋扈をしてそれを
なんとかする。わるくないけど
報酬が多いとはいえないし、俺達がいつも
こなしている方がもっと手に入れる。
なのに・・・・・
何故エリーゼは食いついたのか?
「エリーゼ、その盗賊だけど簡単に
倒せたり経験値が増えたりするのか?」
「全然。報酬に似合わない強敵もいる
可能性があるし、経験値は、まったく
ないわよ」
「それじゃあ、何のメリットが?」
発注されている依頼は山ほどある。
その中で、これを選んだ理由を訊いてみたら
エリーゼの目に闘志を燃える!
・・・すごく不安になってきた。
「わたし達は後に平和にするのよ!
なのに、形見を奪われていて泣いている
人がいる・・・その苦しみを
なんとかするのが、勇者のあなたと
魔法使いのわたしわけよ!」
で、出たー!
好きなエリーゼらしい理由だった。
その被害の人は泣いているか分からないけど
奪われたのは形見で、別に人命に関わる
ようなことじゃないのが、俺の理屈。
論破しようと一瞬だけ考えたが
本当に困っている可能性もなくはないか。
なによりエリーゼがまっすぐで義憤を燃やす
姿に否定したくなかった。
「ハァー、分かったけど・・・俺達二人
だけで乗り込むにしても危険だから
そろそろ新しい仲間を募らない?」
二人だと、危うい事になると思い当然の提案つもりだったけど、エリーゼは
ビクンと肩を揺らす反応。
「・・・別にいなくてもいいんじゃない。
万が一に危険になってもわたしが
剣を持って戦えばいいでしょう?」
あのエリーゼが、自ら剣で戦うだと!?
あんなに強く否定していたのに・・・。
「何度目になるか分からないけど
どうして剣で戦わうことをあれだけ
拒むのは、どうしてなんだ」
「それこそ、何度目に応えれば納得するかって思うのだけど・・・わたしが目指しているのは魔法使いであって、騎士とか勇者に
なりたくないの!」
半眼で少々の怒りをぶつけてくるのは
慣れているとして、訊きたいのは
そうじゃなくその成り立ちとか・・・
上手く相手に伝えれずまどろこしい。
この話しをしたら、きりがないので
話しを戻そう。
「
なるべくリスクを減らしたいのは当然で
そのためにも追加を!」
「・・・タカノリどうせ、女の子を
声を掛けるのでしょう」
ギクッ!た、確かにそろそろ俺の
メインヒロインがいるはずだと下心もあるから否定できない。だけど、それ以上に想うのは、最初の仲間エリーゼのために・・・
そう想っている自分がいるのだ。
一人なら、ここまで考えていなかった
だろうけど、このままだと二人だけで
盗賊の撃退に赴くことになる。
もはや決定事項となっているから
せめて強敵相手でも対応
できるようにしたい。
「違う・・・とは言えない。情けながら、
それなら一時的なパーティことにしない?
それなら、エリーゼも知らない人に
気配りするのは今日限定って事で」
それに、エリーゼは俺と同じレベルのぼっち
・・・たぶん。きっと、知らない人が
いるのが気がおけないのだろうから
今日限定と配慮した。
「うぅ~、そうね。危険はなるべく
減らすべきよね。ごめん少し食い付きに熱く
なっていた・・・」
(エリーゼ本当にどうしたんだ?
今日は少し素直だ。成長したとかかな?)
「だけど条件を言うわ。一人のみ」
「・・・一人のみってなに?」
「わたしとタカノリが声を掛ける人数。
どうせ、複数の女の子を声を掛けて
増えたら堪らないから」
「そ、そうですか・・・って!
それだと俺がとんでもない女の子に
だらしない人に聞こえるのだけど!?」
いくらなんでも、そう思われたら
夢はないし普通に好きな人は一人だけだって
決めているのだ。・・・しかし、モテられて
嬉しくないこともないけど。
しかし可愛かったら、すぐナンパするような
言い方にイラッとした。
「はいはい、分かったから。それじゃあ
お互い一人のみ声を掛けることで
よろしくねぇ」
俺の抗議に軽くあしらいギルドの冒険者に
声を掛けようと動き出すエリーゼ。
絶対に俺のメインヒロインを見つけて
エリーゼに自慢してやると決意を改める。
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