第7話 二人のそれぞれ憩い場所

大型魔物レオーを討伐を終えて

簡単な依頼を夜のとばりが降りる

まで続けた。一度、よく宿泊する所で

荷物を置き俺とエリーゼは別行動する。

ちなみにエリーゼいわく、

貴重な物は手元から離さないことと

再三再四さいさんさいしの言葉の数々に

煩わしくなり生返事をすると、

エリーゼは激怒した。あなたのために言っているのに、なにその態度はぁぁーーー!!

・・・っと、なんとか一応だけどなだめること成功し夜の景色となった町を一人で歩く。


(エリーゼの言うことは分かる。

大事な物を部屋に置いて出ていくとしたら

大したものじゃない置くべきで

貴重品は常日頃に持ち歩け・・・

一回ぐらい言ったら十分なのに、

あんな何度も・・・・・)


今日はエリーゼの許可で堂々と魔法使い

として魔法を放ってた清々しい気分だって

いうのに、どうしてこうもケンカするのか。

しかし、その怒りも気持ちのいい夜風と

町の景観に心は癒されていく。

そして、歩を進むのは年季を感じさせる

魔法具店。そう魔法の触媒アイテムや本など

取り扱う店。人気のない場所に少し進めば

すぐに着いた!

本来の魔法具店は大通りなどにあるのだが、

ここの店主がその常識を破りこんな

場所に建てたのだ。

俺はよくここに来ているのだ。


「よく、来た導かれし者よ」


渋くカッコいい言葉を言ったのは店主。

赤い髪はくすんでいて、ボサボサ。

鋭い眼光と無精髭をした中年の男性。

魔法ローブの色も斬新で、

上が紫色で下が黒色で裾の部分が赤色。

一言で言えば怪しく、危険を感じさせる

第一印象。しかし、その容姿だからこそ

あの魔法ローブが輝く。そんな

カッコいい人に俺は返事する。


「師匠、聞いてください!

我は・・・世界に蔓延はびこる魔物をこの未知な力を宿る石で殲滅することが

できたのです!それと、漆黒のローブと

杖を貰ったお陰で、魔物を終焉へと

かえらせました」

「そうか・・・よく使命を果たした

ブラックファングよ。してなにようか?」


ブラックファングは、俺の二つ名。

師匠から賜った栄誉の名である。

なんだか、ここにくると封印していた

感情とか思いが爆発して熱くなる。

いーやー、この話できるのは師匠ぐらい

だから楽しいすこぶるに!


「師匠、今日は挨拶を赴いただけです。

・・・とうぶん、ここには、これないので」

「・・・何!それは、お前を混沌とさせる

なにかなのか?」

「否、実は・・・眷属けんぞく

魔法使いとして今日までとげん

ありまして・・・」


ちなみに眷属はエリーゼのことで、

俺はパーティを眷属と呼んでいる。

師匠は、顔はしかめ内に

残念そうにしていてる表情。


「己の道は己でつかむもの・・・

眷属に合わせる必要があるのか

ブラックファングよ!」

「・・・一応、その、あの眷属は孤独。

俺が――もとい、我がいないと

悲しそうな顔をするであるから」


エリーゼは、ぼっちで誰も頼らないような

変にこだわる所がある。

だから、離れたら心配でパーティを脱退

するわけにはいかない。


「くく、そうであるかブラックファング」

「だから、このローブと杖を師匠に

返そうと思いまして」

「不要、それをブラックファングに

あげたのだ。それはお前が持って」


腕を組みカッコよくポーズをとる師匠。

俺は、エリーゼと別行動するときは、

いつもここに入っている。

そんな師匠が経営する

お店の名はカオス・サバイブ。

「あ、ありがとう師匠。助かります!

お店のアイテム買います!」

「くっくく、歓迎しよう」



〈その頃のエリーゼは―――〉

わたしは、タカノリと別行動

することになるのだが・・・・・


「なにをすればいいんだろう?」


いつものギルドで、わたしは

オレンジジュースを飲み・・・時々、

呟いている。つい強気でタカノリに

言ってしまった反面、今さら一緒に

物見遊山なんて言えない。


(ジュース飲み終えたら、依頼のチェックや剣の素振りでもしようかな?)


いつもの事にわたしは、なにをやっているの

だろうと自問自答するでしょう。

・・・あれ、タカノリは遊んで

わたしは明日の準備と剣の鍛練と自問自答の時間か。剣を振るうのは好きだけど

タカノリと剣の鍛練の方が楽しく

なんて言えばいいのだろう、この胸に

モヤモヤするものは?一人の剣の鍛練は

好きだけど別の意味もあるようで・・・


「いたいた。エリー元気?」

「えっ、この声は・・・・・・

ジネブラさん!?」


短く整った艶やかな銀髪。

瞳は大きくだいだい色をした

わたしよりも年は上の女の子・・・

ジネブラ・アウディトーレ。

ジネブラさんは伯爵家の長女で、

幼い頃に少し話をしていた。

わたしが、ある理由で家を出て一人で生きると決意し真っ先にどこか遠い場所へ行き

ギルドに依頼をこなそうとしますが

うまくいかず途方に暮れていたら

ジネブラさんに会ったのです。

わたしやジネブラは、お互い驚きました。

わたしは、末っ子なので扱いが良くなかったから家出しましたが、ジネブラさんは

長女なのに貴族として高い地位の

爵位しゃくいの伯爵を継げる可能性もあるのに捨てて冒険者となった。


「なーに、考えていたのかなエリー?」

「そ、その・・・昔の事です。

今のジネブラさん16才になって

鳥籠から出たみたいに生き生きしていて

素敵だなって思っていました」

「あはは、素直な称賛どうも。

わたしが16ってことはエリーは

14才ねぇ、もう成人に

なって一年か・・・」


ジネブラさんは、わたしの隣に座り

感慨深そうにしていた。13才で成人に

なってみれば思ったより大人になったと

実感しなかったけど、ジネブラさんは

わたしのお姉さんみたいに今も

親しく話してくれることに嬉しい。

あれ?たしかタカノリに13才で成人と

言ったときにひどく驚いていたなぁー・・・

いやいや、どうしてタカノリのことを

考えるのよ!


「エリー今の人と一緒に居て楽しい?」

「ブゥー!・・・ゴホ、ゴホ」


飲んでいたジュースを口から出ました。

考えの外にしようとしていた最中に

ジネブラさんがまっすぐな問いに

ひどく戸惑うのを晒してしまった・・・

うぅ~、できたら優雅に

振る舞いたかったのに。


「だ、大丈夫エリー?」

「は、はい。大丈夫ですジネブラさん。

し、質問ですけど・・・その

わたしが召喚した人は・・・・・まぁ、

楽しいです、はい」

「んっ?エリーらしくない言動を

思ったのは気のせいかな?」

(ジネブラさんが首を傾げるのも納得

だと思います。わたしだって

タカノリのためにやっているのに

あおって、ご苦労の一言で

片付ける。それに、他の女の子を

楽しく話して食事するのを目撃すると

わたしもよく理解していないけど

強い憤りを覚える)

「エ、エリー・・・どーしたの?

顔が怒っていて、なんだか怖いよー」

「えっ?あっ、すいませんジネブラさん

その色々と思い出しまして」


本当にタカノリは最初の頃に見れば

紳士的で珍しい色の黒の髪と瞳をしている

のに・・・いえ、おそらくモテると

しているから、色んな女の子を

ナンパをするのでしょう。


「う~ん、とりあえずエリーが楽しいなら

いいか。わたし心配になって来てみたけど

元気な姿を見れてよかったよ」

「ジネブラさん・・・・・」


明るく微笑むジネブラさん。優しくって

お姉さんにタカノリのことを相談する

べきだろうか・・・よし!


「ジネブラさん。その聞いて欲しいことが」


わたしはタカノリを召喚したことや

自由で迷惑なことも事細かく伝えました。


「あ、あはは・・・なるほどね。

怖い顔はそのタカノリの女の子を声を掛けることだったのか」

「うっ、そ、そうですが・・・

他の女の子がタカノリに迷惑を考えたら

それは、怒りますよ。ええ!」

「うーん、エリーが討伐依頼デート・・・

かなり無理があるね。とりあえず普通に

デートどう?」

「いえ、そんな仲ではないので!」

「即答!?」


笑顔を絶やしていないお姉さんの

ジネブラさんは、驚愕の表情をする。

あれ?もしかしてわたし変なことを

言っているのかな?最近、タカノリと話していないからそうかもしれない。


「それじゃあ。ナンパする、そのタカノリは女の子と話すときにどんな反応をするの?」


わたしとタカノリが依頼を終えて

たまたま女の子がタカノリを声を掛けられると戸惑いますが、何を思ったのか

タカノリは熱烈なアプローチをしたのです。

その女の子は、頬を赤らめ満更でも

ない様子。そして、時々タカノリが

視線を向けるのは・・・胸。

お姉さんのに伝えると―――


「アッハハハ、まさか大きな胸の女性に

弱いとはねぇ!」

「はい。わたしは、胸が小さい・・・

それが理由なのかわたしの扱いは

雑だし最初の頃みたいに熱烈なアプローチ

なし。・・・ジネブラお姉さん!」


わたしは勢いあまり席を立つとイスが

コロンと倒れる。今はそんなの

どうでもいい。


「な、なにかな?エリー・・・」

「わたしに・・・バストアップの秘訣を

伝授ぜひ教えください!!」


頭を下げ懇願しますが、慌て困惑する

ジネブラさんは、頭を上げてくださいと

何度も言われ、上げると

気づいたら大きくなっていたと返事・・・

これが、格差なのだろうか。

それから、お互いの近況などで

話の花を咲かせていると、不意に

ジネブラさんは言います。


「その・・・エリーは後悔していない?

五等爵の一番の公爵の娘という

肩書きを捨てて」

「なに、言っているのですか

ジネブラさん。逆に伯爵の地位どころか

継ぐこともあったのに捨てて?」

「・・・そうね。愚問だったわ。」


それから語り、これをタカノリと素直に

できればなぁと思いながら

お代わりの注文したオレンジジュースを

飲みながら、不思議とそう想うのだった。

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