第4話 超変身!仮面ヴィザードタカノリ

「今日の依頼はこれで

いいじゃないか?」

「なに、なに・・・

大型レオーの討伐ねぇ。

・・・・・これにするの!?」


ルクサント・ルークのギルドに

明朝すぐに

俺とエリーゼは入るとすぐに貼付ちょうふした紙を見てなにを

受けるかを

ちょっとした議論を交じえて俺が指す

内容を言葉にして顔をしかめ、

驚愕した。

本当に言っているのと。


「そう。昨日のレオーは正直、言えば

弱かった。だから次は大型を

倒せる!」


高ぶる闘志に俺はその迸る感情の

ままに言う。

聞いたエリーゼは

信じられないとため息した。


「・・・あのねぇ、どこの誰かさんが

逃げ回って愚痴ったのは誰か考えて

言っているの!

分かるよね逃げのタカノリ?」


呆れ顔で珍しく正論を発言をする。

昨日の黒い獅子のレオーに俺は

追い掛けられ

エリーゼが無双して倒した。

途中から囲まれた

ときもそうだったように。

しかし昨夜にある準備をしたのだ。


「臆病風かエリーゼ?いつもは危険な依頼を持ってくるのに、珍しいなぁ」

「あ、あおってくるわね・・・

でも本当に知っているタカノリ。

蛮行ばんこうは、真の勇気とはいえない・・・つまり今のあなたは、蛮行よ!」


恐らくエリーゼが好きな、お伽噺とぎばなしの一節かなにかだろう。

俺もラノベなどセリフを使うのでよく

分かる・・・恐らく同じじゃないけど近いはず!

安全を考慮すれば断ても

おかしくない。

エリーゼは、危険な依頼を

受けたがるが、無謀ではない。

一撃でやられそうな

大型などと戦う前に

付近の魔物を倒して生息するレベルを

推し測って戦うのだ。こういう計算はできるのに何故か根性論になる。


「それでもやる。

蛮行と言われようとも!」

「珍しくやる気なのは嬉しいけど、

あなたが魔法使いとしての戦闘は、

今日だけだから。次には勇者として

活躍してもらうからねぇ」

「はい、はーい。了解しました」

「・・・・・・ハァー、それじゃあ

わたしが剣で振るってあなたが

後方支援で」

「了解、りょう・・・かい・・・・・

あれ?エリーゼ前に出るのが嫌いなんじゃ」

「嫌いってわけじゃないけど

大型を戦うなら最初から

接近にしないと。

だから、ここまで譲渡するんだから

次は普通に勇者やってもらうから」


我儘を聞いたんだから

普通に戻れと嫌々ながらも

付き合うらしい。

どちらかと言えば

エリーゼが自由を選んでくれる

常識ぐらいは持ってほしいと言いたいものだホントに。

無駄そうだから言わないけど。

しかし、魔法使いで戦える。

だが、今は勇者の鎧を着ている。

俺はしっかりとした考えと

言葉でエリーゼに言うと決めた。


「譲渡って、エリーゼがそれを?

俺の方が譲渡していると気づくべき

だと思いますが」

「うっ、わたしがあなたを・・・タカノリを召喚したんだからお願いを聞いても、いいじゃない!」


何故か、痛い所と突かれたような

応えるエリーゼ。

それから、日が昇ってからしばらく

経ったころ

昨日のレオーが出現した森林の

奥まで進む。

もちろん向かっている最中に

通常サイズのレオーと遭遇し戦闘。

エリーゼが一人で倒し、

いつもこう剣で戦闘してくれたら

非常に助かるのにどうして

そうまで魔法使いにこだわるのやら。

お伽噺を憧れて自分もしてみたいと

言っていたがそれだけ

じゃないと見ている。


(前に訊いたが、その隠している

雰囲気とか言動とか顔も出していな

かった。考えすぎたとして、

どうして、そこまで・・・

俺が魔法使いで、エリーゼが

勇者なら別にいいんじゃないのか?)

「ねぇ、タカノリ・・・

見えてきたわよ」


考えていたら、

エリーゼの背から

上から人差し指を向ける

方角を見れば此方を

睥睨へいげいする黒い獅子を

3倍サイズ大きい魔物。

依頼された大型のレオーだ。

情報内容が少なかったから

どんなサイズかと

考えていたが思ったより大きい。


「んっ?睨んでいることは俺達に獲物として見ているこたとで・・・えぇー!?

いつの間にか気づかれて

いるーー!!」

「うん。だからって叫んでどうするの

タカノリ。それなんていう威嚇いかくなの?叫ぶとどうなるか少しは考えてくれない?」

「えっ?・・・・・・あっ、

他の魔物が

茂みの中から出てきてしまった」


俺の絶叫に釣られて

レオー以外の狼やサルなど出現した。


「あなた、もしかしてわざと

やっていない?

前衛がわたしだからって・・・」

「ご、ごめんなさい。だからそう睨まないでくださいエリーゼさん」


ちょっとした覇気を向けられ手を挙げ

無抵抗を示す。


「もういいわよ・・・ほら戦闘準備。

魔法を見せてくれるのでしょう?」


後ろへ振り返るエリーゼの眼差しは

気の置けない相手へ向けるもの。

言葉の気の置けないは、よく警戒する相手などで使われているが、

正しい日本語で言えば

気を使わないほど信頼のあるのこと。

つまりエリーゼは、

その魔法を見せてよと

言っていること・・・。


「なら、見てもらおうか!

エリーゼは手出しをしなくても一人で殲滅せんめつさせる」

「わたしはなにもしなくても

いいの?」

「ああ、まずはこの触媒となる石を

使って魔方陣を作る」


俺は例の不思議アイテム古代魔法遺産の一つの

異空間収納シリーズの雑嚢から

魔法ローブを鎧の上から身につけ

触媒となる鮮やかな緑色をした石を

握る。これは、古代遺産じゃなく

ただの安物。


「まずは、これで障壁に特化した

魔方陣を展開する」


緑色の石が燦然さんぜんと輝き

俺とエリーゼを包むように

足下から魔方陣を作り出し展開。

緑色に輝く魔方陣の端から

光の壁が炎のように揺らめく。

猿の魔物がペンのような形にした枝を

投げ攻撃。しかし魔方陣の光により

妨げられ弾かれる。


「へぇー、まさか障壁の

魔方陣が使える

ようになったんだ」

「くく、そう今の我ならこんな

芸当など造作もないことよ。

出来て当然であろう」

「ねぇ、その人が変わったような

口調はなんとかならない?

まだ、わたし慣れないのだけどそれ」

「フッ、諦めよ娘。封印されし力を

身に纏い前世の記憶を戻ったのだ。

それは、貴様がよく知る男に言え」


封印されし力は、俺的には

カッコいいと思う。

まことに愉快なものよ。


「支離滅裂になるよねタカノリ。

けっこう勢いで言っているとわたしが

恥ずかしいのですけど」


・・・よ、よし我が威風を示せば大人しくなるだろう。古代魔法遺産の

雑嚢から

同じ緑色の魔石を取り出し

それを触媒にし前へ向け詠唱。


「起こせ風の刃

【エアー・ブレイド】」


魔方陣の中にいれば、

内側も攻撃が妨げられる。

しかし外側から起こした

風の刃なら攻撃可能。

内外を塞ぐ魔方陣の光を

越えるにはそもそも

影響受けない場所で

攻撃すればいい。

複数の透明の風できた刃、

かまいたちが

魔物を斬っていく。


「あ、相変わらず

タカノリは魔法だけは

ずば抜けているよね。ほんとーに

それだけはずば抜けている・・・

それだけで」


複雑そうにするエリーゼ。

魔法が俺の卓越していて、ご立腹だ。


「そ、そう追い込むなよ!

アイデンティティが

崩壊しそうな顔をしても

剣があるじゃないかエリーゼは!」


鉄壁の守りの魔方陣の中で外側の敵を

広範囲で高威力の

基本中級魔法の風属性で

圧倒していた。

異世界で魔法が日常茶飯事で

慣れているエリーゼよりも

魔法を取得して

組み合わせをしている。

それに、魔力も絶大敵に高い。


「いやーだよ!わたしは・・・魔法使いで勇者と伝説になるのが夢で・・・うぅ~」

「起こせ風の刃【エアー・ブレイド】

・・・ああー!もう分かったよ。

この日だけの限定だから、

俺は魔法使いなのは!

だから、泣かないで元気を

出してくれ、エリーゼ」


日本在住の時は、美少女の涙目を見て

至高で最高だと

アニメやゲームなどで強く

思っていたのだけど、エリーゼが

そんな表情すると・・・なんだか

見たくないと思えてくる。

いつもバカみたいに

唯我独尊で天真爛漫がエリーゼには

ちょうどいいのだから。


(その前に、エリーゼは内面は

美少女じゃなかった!)

「な、泣いていない!!・・・ただ

目にごみが入っただけなの!

ほら、もう少しで殲滅せんめつできるわよ!」

「分かっている・・・

スゥー、ハァー。

見える・・・見えるぞ!

貴様らの動きが。未来がなぁ。魔導まどうを極める

我に恐怖し、おののくがいい!」

「ねぇ、その仰々ぎょうぎょうしい

言葉なんだか聞いているわたしが

恥ずかしくなるんだけど

これってもしかして、わたしに嫌がらせとか?そうだったら変に悪質だよ!」


後ろ姿で三角座りを始めるエリーゼ。

もう片付けるの待機しているようだ。

信頼しているのか、他力本願・・・

なのか、これは?

少し違うなぁ、うん。

それとカッコいい

セリフの数々に目を

輝かせてもいいのになぁー。

このセリフは、中二病を患ったときに

考えた魔術のひとつ。

それを黒歴史と一般人は呼ぶ。

魔法や魔術の設定集を作ってた妄想が

今や魔力となる。

異世界は魔力は才能はいらない。

魔力を作り出すのは

妄想力だ。

妄想が具体的で鮮明なほど

増加する。

そして消費し放ってるのだ。


「金髪の女よ。これで目の前の敵は殲滅した。さあ、

ネクストステージにいくぞ!」


魔法陣を解き俺は掛ける。


「ああ、待って~!もうどうして

タカノリ魔法使いだと、こうも

感情がおかしくなるの?」


一度封印した中二病が

復活したと応えてもいいけど、

言っても通じないから

聞かなかったことにしようと。

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