ナナとスピードキングとデッドヒート
どうしてこうなった
そう思うことは度々あるが、いつもあまり深く考えたことは無かった。
しかし、今回はちょっと違う…
何故なら今私は、族の総長にさせられそうになっているのだから…
思い返せば一週間前
あの出来事がきっかけだった。
日も落ちてしばらくたち、歩行者もまばらだったので可奈美とは雑談をしながら帰路についていたのだったが…
「いま、ナナって言ったか?」
少々時代錯誤的にも感じるルックスのおそらくはバイクで暴走活動をしているような輩に急に話しかけられて、私もそして一緒に居た可奈美も警戒をする。
「いやな、人違いだったらすまねぇけどよぉ…お前氷室ナナって名前じゃぁねえか?」
「…だったらどうするの?」
と思わず答えてしまったが、こんな奴らに何か因縁付けられるような事したかしら?
…知らず知らずのうちにやってしまった可能性は否定できない。
チンピラはマジマジと顔を見つめながら
「はぁーん?まだガキじゃねぇか?」
「こう見えても成人してるんだけど?」
それを聞いたチンピラも嘘だろ?っていう感じに鼻で笑った。
「まぁ、あんたが何歳だとかは関係ねぇ…うちの総長があんたに用があるって探してたんだよ。一緒に来てもらえるか?」
「拒否権は?」
「断ったら力尽くでも連れてくさ」
そう言うと、近くに居た人影がゆっくりと近づいてくる。
どうやら、知らぬ間に敵のど真ん中に居たらしい。あたりをさっと見渡しても全方位をしっかり囲まれており逃げ場はしっかりと潰されてる。正直一人だったらどんな突破方法でもあるんだが…
「ナナちゃん…」
そう言って不安そうな表情を浮かべて私の腕にしがみつく可奈美の姿を見ると、強行突破はあまり好ましくない。
…それになぜその総長は私の事を知っていたのか気にはなる。
「わかった。それじゃあ案内してもらおうかしら?」
「話が早くて助かるぜ」
そうして私は、大型自動二輪の後方に、可奈美は別のバイクのサイドカーに乗せられてた。
と言うか、可奈美はなぜついて来たのだろうか?
一人で帰ってと言ったのだが、頑なにヤダと言い私もこのチンピラたちも少々困り果てていた。結果しょうがなく連れて行くことにした。
兎に角、そうやってバイクに揺られながらしばらくすると廃工場の駐車場にたどり着く。
「着いたぜ」
促されてバイクを降りるとその正面には無数のバイクが立ち並びそれぞれに人影が見える。
サイドカーを降りた可奈美も私の横に駆けつけたその時、一斉に正面のバイクのライトが点灯する。
急に明るくなったことに目がくらみ思わず腕で顔を覆う。
「よく来たな」
声がする方向を見ても逆光のせいでよく見えない。
シルエットだけで判断したとしてもおそらくはフルフェイスのヘルメットを被っているだろうから顔は判別できない。それがバイクにまたがりおそらく腕を組んでいるのだろう。
「氷室ナナ…いや、あえてNo.7と呼ばせてもらう」
その呼び方に警戒を厳にしてシルエットを睨みつける。
「おぉ、怖い怖い…まぁそう殺気立つな。自己紹介しよう俺はNo.20…は過去の名前だ。今の俺はスピードキング!その速度の地平に名を刻む者だ!!」
こいつは何を言ってるんだ?
兎に角ふざけた言動だがこいつも被検体か…取り巻きまで従えて…
「ナナちゃん今No.20って言った?」
私の背後に隠れながら可奈美が聞いてくる。
「えぇ、聞き間違いじゃなさそうね」
こうなると無理やりでも可奈美は置いてくるべきだったと後悔する。
しかし、No.20は意外なことを口走る。
「まぁ、実際お前には興味ないんだがな。No.13には恩が無い訳でもない。しかし、殺し合いなんてものは無粋だしな…そこでだ!俺はお前に『勝負』を持ち掛けることにした!」
「『勝負』?」
結局のところ戦う事には違いないのだろうが…
「勝負の内容は…もちろん、レースだ!!」
「レース!?」
意外な内容にビックリする。
「お前には自慢のマシンを用意する期間を与える…そうだな、一週間。一週間後この場所で勝負だ!」
「マシンに制限は?」
「自動二輪ならこの際何でも良い大型でもなんでもな!よし質問は以上だな!全員解散!」
そう言うとその場に居た族の連中はバイクにまたがり蜘蛛の子散らす様にその場から立ち去って行った。
私たち二人を置いて
「…せめて帰りの足は欲しかったわね」
昨日は散々だった、数時間かけて可奈美を送り部屋に帰ってきたらそのままソファーに倒れ込んで眠ってしまった。あのNo.20がどんな考えかは知らないが向こうに付き合ってやる必要なんてあるのか?
……いや、No.15と違って交戦にあまり肯定的じゃないあたりを見ると貴重な情報源になりうる。だったらあいつの勝負に乗って打ち破る必要があるが…
自動二輪どうしたものか…
免許自体は持ってるので購入すれば問題ないのだが、いかんせん金欠の今そうホイホイ買えたりはしない。
こんなんじゃいつまでたっても件の会社を調べられない。イーサンも手が空いたら調べてくれるとは言っていたが、連絡はあれ以来一度も来ていない。
それよりも日本に被検体が集まって来てるような感じがするんだが、やはりNo.13は未だに私を狙っているのだろうか?
わからないことが多すぎる。
そんな風にソファーにもたれ掛かりながら缶コーラを飲んでいたら机の上に放置してあった電話が鳴った。
画面を見ると可奈美からの着信だった。
「もしもし?」
『ナナちゃん!朗報だよ!あんちゃんがバイク譲ってくれるって!』
それが本当なら願ったりかなったりだ。
で、彰の工房に足を運んだのだが…
「こんな古い型で良いなら譲れるが」
そう言ってかぶせてあったシートを退かすと比較的綺麗な車体が姿を現す。
「V-MAXの最終型だ。しばらく乗ってなかったが整備はしっかりしてたから今も性能は落ちてない筈」
試しにまたがってみたら、彰がキーを投げて渡してくれた。
受け取ったキーでエンジンに火を入れると、心地よい振動が体に伝わってくる。
「まぁ、多少手を加えてあるがVブーストもちゃんと機能する。…が、道路交通法はしっかり守ってくれよ」
「配慮はしておく」
彰は少々あきれた表情を浮かべるが気にしない。
「…まぁ良いさ、細かい事はこっちでやっておくぜ」
「助かる」
「しかし、レースだって?なんで急に?」
可奈美はそこまで話したのか…
「こっちにはこっちの事情があるのよ。そっちこそどうしてこのバイクを譲る気になったの?」
「タダじゃないさ、格安で譲る。メンテ費用込みでだ。悪くないだろ?それに、バイクは走る物だろ。それを倉庫に仕舞いっ放しにしておくのも悪い気がしてな…」
「…そう」
細かい調整などする為に私は少しこのバイクを乗り回す事になった。
普段歩いてみて回る街並みとは違う見え方がするもので、とても新鮮に感じる。
しかし、結構古い型と聞いていたがなかなかどうして調子が良い。パワーも良好でレスポンスも悪くない。
最近はバッテリーの高性能化とモーターの高出力化で電気駆動のバイクが主流になりつつありこういった化石燃料に頼るバイクや車はだいぶ数を減らしてきていた。
しかし、相手のバイクの性能がわからない。見た感じ大型自動二輪だったがエンジンの性能とかも不明。アイドリングしていたからおそらくはガソリンエンジンだと思うのだが…
工房に戻り調整を彰に任せた後その足で書店に向かった。
バイク関係の雑誌や、バイクレースでの立ち回りを記した書籍に目を通しておくためだ。
性能差がある場合やはりテクニックで補う必要がある。一週間しかなく付け焼刃だろうが何もしないよりかはましだ。
一通り立ち読みをし、その後はカフェで実際のレースの動画を携帯端末で見る。予備知識がある方が動画からの経験吸収率は高くなる。
それからは、調整と実際に走らせてみて感覚をつかみ、また調整を繰り返していたらあっという間にその約束の時間になった。
「…で、なんで可奈美まで来たの?」
「それは乗りかかった船だよ!ちゃんと見届けないと!」
日が傾いた頃に約束の場所に到着すると、そこには先週見た顔ぶれがそろっていた。
「ちゃんと来たなナナ。約束を守るやつは嫌いじゃないぜ」
「それならあなたも約束は守るタイプなのかしら?」
「あぁ、約束は守る。今回は負けた方が勝った方の言う事を何でも聞くそれに異論はないな?」
「もちろん」
「俺が勝ったら死んでもらうぞ?」
「死ねるならね。私が勝ったら色々と質問に答えてもらうわよ」
そう言って互いの合意が取れたとこで私はフルフェイスのヘルメットをかぶりバイクをスタート地点へと移動させる。
スタート地点につくと野次が一層と大きくなる。
『さぁ、全員お待ちかねの時間だ!』
スピーカーから大音量の声が響く。
『挑戦者氷室ナナに相対するのは我らがスピードキング!コースは事前に説明した通りココを出発した後曲がりくねった峠道を向け再開発区を通りこの廃工場区画に戻ってくる!それだけのコースだ!もちろん中継はハイスピードドローンによるリアルタイム中継だ!まだ賭けも実施中だ!どちらが勝つか賭けて一攫千金も夢じゃない!こちらはレース開始時が締め切りだ!まだの奴らは急げ!』
一週間って時間はこういう事の為の準備期間でもあったのか…完全に興行と化している。
『さぁて、いよいよスタートの時間だ全員シグナルに注目だ!』
そう言われて眼前のシグナルを注視する。
『今シグナルが赤から青に…』
アクセルグリップを握り直す。
『変わった!』
信号が青になった瞬間バイクは驚異的な加速を始める。
どうやらスタートは横一線だったらしい。だが…
『ファーストコーナを制したのはスピードキングだ!』
インコース側に居たNo.20に先を越されてしまい私は後ろに着く事になった。
このまま、しばらくは後ろに居ても良いが…
速度は変わらずに後ろにぴったりとついているが、抜く素振りを見せたならすかさずブロックされる。こいつは、私を抜かせるつもりは無いらしい。
第二コーナーは様子見で第三コーナーで仕掛けようとしてみたが、見事に邪魔をされた。
峠での残りコーナーは二つ…直線で抜く手段は乏しい。こちらはアクセルに少し余裕を残しているがそれでも向こうのポテンシャルがわからない。
そうこう考えてるうちに次のコーナーが迫ってきた。
インコースをつく…
一度外側にフェイントをかけてインコースにねじ込むが…
インに入った瞬間No.20は車間を詰めて来た。私は、接触ギリギリの所で速度を落とし再び後方につく。
…さてどうしたものか、ここで残りコーナーは一つ。こうなったら次はアウト側から攻めるしかない。インコースと違ってカーブの入りは大きく膨らむが出るときにコースの内側を取れやすくなる。理屈はそうだが…
同じように一度フェイントをかけ抜こうとする。今度は道幅が広くとれ為幅寄せはされなかったが、相手のコース取りは私のインコース入りを邪魔するものだった。しかし、越せなかったものの横並びになることはできた。
次にはいる再開発区は直線の多い個所となる。
私はアクセルをできる限り開き加速して行くが、No.20もそれに呼応するように加速をする。
ココでの最大のポイントは二連続で左右と来る直角カーブ。そこを如何に減速せず曲がるかに勝負がかかってる。
私は恐れずに加速する。それに対抗してかNo.20も加速を続ける。もはやチキンレースのような状態のになりつつあるその状況。ぐんぐんと迫りつつある直角カーブに、No.20はギリギリのタイミングで減速を掛けた。しかし、私は減速をせずそのままの速度で進みNo.20を追い越しコーナーに侵入する。そしてコーナーに差し掛かった時、コーナー内側にある傾いた電柱に左手を伸ばす。それを掴んで遠心力でカーブを曲がろうという魂胆だ。当然そんな事したら腕が引き千切れたりするだろう。普通なら。
だから私はアレを付けて来たのだ主任の義手を…グローブとライダージャケットの下にあるそれを信じて私は左手の指を電柱に突き刺す。その瞬間グンッと肩から持っていかれるような強い衝撃を受けるが千切れはせず電柱の表面を削り取りながら無事コーナーを曲がりきる。続けてくる右の直角カーブは車体を倒しつつ今度は右足を勢いよくアスファルトに突き立てそれを軸に強引に曲がる。曲がりきると車体を戻し再び加速をかけて再開発区を抜けた。
後は、緩やかなカーブと最後の直線が待つばかり…
だが、簡単には勝たせてくれないらしい
後方からNo.20が猛進してくる。最後の直線に差し掛かるころに既に真後ろに位置していた。
『最後の直線!これがラストスパートだぁッ!』
ゴール地点会場のアナウンスが聞こえる距離にまで近づくとNo.20は私を抜きの掛かっていた。当然ブロックを掛けたが見事にかわされてしまった。ゴールはすぐそこ。ここまで来たらやることは一つただ加速に集中する。ゆっくりと横に並びつつあるNo.20を視線の端にとらえつつ正面を見据える。
あと少し、もう一歩…!
そしてゴールラインを超えた。
『ゴォォォォォォォルッ!しかし、これは同着か!?勝負は画像判定になった!』
バイクを減速させ停止させると可奈美が駆け寄ってきた。
「大丈夫?無茶するから冷や冷やしたよぉ」
「あれくらい無茶のうちに入らないわよ」
『結果が出たぞ!メインスクリーンに注目だ!』
そこに映し出された映像に全員の視線が集まる。
ゴール直前からの映像のコマ送り、ゴールラインを超えた瞬間で止まり画像がアップにされてゆく。
結果は…ほんの僅かだった。たった1cm程の差…
『チャレンジャーナナの勝利だ!』
その瞬間に会場は沸き立つ。
『何という大番狂わせ!誰もがスピードキングが勝つと思っていた!しかし、結果は違ったぁッ!ここに新たなキングが誕生した!その名は氷室ナナッ!!』
「ニューリーダーの誕生だぁッ!」
は?
野次の中にそんな言葉が聞こえて来て思わず変な声が出た。
「俺たちのリーダーは常に一番速いものなんだ!つまり、あんたが今日から俺たちのリーダーだ!」
思わぬ状況にあきれるが、どうしてこうなった。
しかし、最後の追い上げ方を見るにマシンスペックは確実にNo.20の方が上だった。本当にギリギリの勝負になってしまった。
そんな事を思っていたらNo.20がバイクに乗ったまま私に近づいて来た。
「俺の負けだ。まさかあんな乱暴な曲がり方をするとは思っても居なかった。あそこが勝敗の分け目だったな」
「そんな事はどうでも良い。約束は守ってもらうわよ」
「せっかちだな…で、聞きたい事って言うのは……聞くまでもないか、俺たち被検体の事だろ?それなら…」
その時だった。No.20の胸を突き破り一本の槍が飛び出して来たのは。
「なッ!」
その光景に思わず絶句する。その槍の出所はNo.20の影の中だったからだ。
「No.20お前のおしゃべりな所は感心せんな」
影の中から声が響く。
「可奈美隠れてて!」
可奈美に避難を促すと同時に右腕に内蔵された一発限りの50口径を影の中に向ける
「貴様もそう慌てるな。今の俺に貴様を殺す手段がない。だからここで事を構えるつもりは無い」
「お前は誰だ?」
「俺か?…そうだな、『ファントム』とでも名乗っておこうか」
「ファントム…?」
「そうだ、『ファントム』は影…いつでも貴様の傍に居るぞ」
そう言って槍は引き抜かれ影に飲み込まれると、支えを失ったNo.20の体が地面へ落下する。
しばらく沈黙が続いた。先ほどまで妙な気配があった影も今は何の気配も感じない。しかし、槍が出てくるまでまったく気配を感じなかった為、油断はできない。慎重に横たわるNo.20の体に近づく。
No.15とNo.24はサイボーグだった。ならNo.20だってサイボーグの筈だ。今となっては仕方がないこれを調べて少しでも情報を得なければ…
?
No.20の体を調べると違和感しかない。何と言うか、サイボーグと言うには作りが貧相で…
思い切って上着を脱がし穿たれた穴をこじ開けて中身を確認する。
なんじゃこりゃ!?
思わず声に出そうになった。それもその筈。それはサイボーグと言うよりカカシに近かった。外部から信号を受信して簡単な動きしか出来ないようなしくみになっていたのだ。
今思えばこいつがバイクから降りたところは見たことないし、ポーズも腕を組んでるかバイクのハンドル握ってるか…そのどちらかしか見たことがなかった。
つまり、これはNo.20ではない。ただの人形だ!
ならば一体No.20本人は何処に?そもそも、私が戦った相手は本当にNo.20だったのか?
そんな風に混乱している時だった。
「…奴は去ったようだな」
No.20の声がした。慌ててあたりを見渡すが、何処にも姿は見当たらなかった。
「何をキョロキョロしてる。氷室ナナ」
困惑していると、隠れていたところから出て来た可奈美が目に入り指をさしながら、
「…バイクが喋ってる」
そう言われて私は視線を先ほどまでNo.20の人形が乗っていたバイクに向ける。
「厄介な奴が来たもんだ…」
「…なるほど、はじめっからお前はここに居なかったわけだ。バイクも遠隔操縦?今どこに居るの?」
そう、そう言う事だったのだ。はじめからNo.20はこの場所に居なかった。おそらくは何処か安全なところからこの人形を介してこちらの様子を窺っていたのだろう。まったく抜け目のない…
「何言ってるんだ?俺ならここにいるじゃないか」
「それこそ何言ってるのよ?ふざけてないで居場所を教えなさい。勝者特権よ」
「だからココに居ると言ってる。このバイクの姿こそが俺の真の姿だ」
「……は?」
バイクの姿が真の姿?
…そのバイクをよく調べてみると、わかったことは…
まず、こいつはバッテリー駆動である事。アイドリングやエンジン音が聞こえていたのはそう言う音が鳴る仕組みが搭載されていた。
さらに問題なのが余ったスペースの方だった。
「嘘でしょ…」
その光景に思わずそんな言葉が零れた。そこにあったのは脳殻だった。これは人の脳をサイボーグと直結させるために脳自体を覆う殻だ。流石にここでこれ以上開く気にはならない。可奈美も居るし…
「信じてもらえたかな?」
「……わかったわ、信じる」
「それじゃあ、場所を変えようまた邪魔が入っても面白くない」
そう言って私たちは場所を変える事にした。
「私免許持ってないよ?」
「大丈夫、ただ俺に跨ってハンドル握ってるだけで良いから。安全運転するから」
「街中行くんだから危険運転とか絶対にやめてよね」
「でも、これって無免許にならないのかな?」
「大丈夫大丈夫、運転してるのは俺だから。サイドカーに乗ってるのとおんなじだって」
「違うと思う」
「それにねバレなきゃ犯罪じゃないんだよ」
「可奈美。来た時みたいに私の後ろに乗りなさい」
「待て待て、乗りてなしで走ったら不自然だろうが!可奈美ちゃんお願いこっちに乗って!」
しばらくそう言ったやり取りが続いた。
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