纏わりつく過去、まだ見ぬ未来
過去からの刺客
『なぁ、No.13の件覚えてるか?』
電話越しに聞こえてくるイーサンの声に耳を傾けながら新聞を読んでいたのだが、その話が出た時に私は読むのをやめて電話に集中をする。
「急に何?忘れるわけないじゃない」
『そうだな、その件なんだが…最近になってあの研究プラントをサルベージしてる連中が居ることが分かったんだ』
「サルベージ?あんなところを引き上げようなんて碌な連中じゃないでしょ」
『そうだな…それでその引き上げをやってる連中なんだが、ドイツのとある重工企業と言う事までわかった。それにここからが一番重要な話なんだが、…どうやら海中に沈んでいたNo.13を回収したらしい』
「No.13を?」
それはどう考えてもろくなことにならない…何せ彼はテロリストだ。そんな者を回収する連中もまともな奴らではない
『思うにかつての事件で彼らのバックに居たのはこの企業だと思っているんだが…正確な情報がつかめなくてな』
「心配しないで、それはこっちの伝手で確かめてみるから」
『そうか…必要無いかもしれないが、気をつけろ。あれが再び目の前に出てくるかもしれない。あの不死身の化け物に対する何かしらの手立てが必要になると思う』
「必要な手立て…か」
心当たりは無い事は無いが…
「わかった、情報ありがとう」
『たまには顔を見せに来いよ』
通話を終えると私はスマホを机の上に置き思案する。
No.13が…死んではいないはず…殺す手立てをその時持ち合わせていなかったため海底に沈めて身動きをとれないようにするのが精一杯だった。
どうしたものかと頭を悩ませてると、スマホが鳴った。それを手に取り相手を確認すると、可奈美からだった。
「もしもし、どうしたの?」
『あ、ナナちゃん今ね渋谷に居るんだけどナナちゃんも来れないかなって思って電話したのすみれちゃんとかすみちゃんも一緒に居るよ!』
「ごめん、今は…」
『仕事?』
「いや…」
断る理由は無いが…
「わかった今すぐしたくする」
私はそう言うと、通話を切って洗濯籠からTシャツをジーンズを引っ張りだしてそれに袖を通して部屋の外に出た。
…どうしてこうなるのだろうか?
私は合流するや否やみんなから着せ替え人形のようにされていた。
「ナナちゃんはこっちの方が似合うって」
「えーこちらの方が似合うと思うよー」
「とりあえず今度はこっちを試着してみるでござる」
…なんで私はいつもこんな風にされるのだろうか?これがわからない
「どうして会うたびにこんな事になるのかしら?」
「それは、ナナさんがいっつも同じ服を着てるからでしょ。他の服とか持ってないの?」
「持ってない事は無いが…」
確かに言われてみればどれも似通った物しかない、まぁ私の趣味で選んでるから当然と言えば当然か
「ナナちゃんは可愛い服とかは苦手だもんね」
可奈美はにこやかにそう言うと、その苦手な可愛らしい服を手に取って私に着せようとしてくる。
ため息をこぼしながらその服を受け取ると私は渋々試着するのだった。
結果
色々と服を買うことになったが、果たして着る機会はあるのだろうか?
「どうしてって顔してるね?」
そう言いながら可奈美は顔を覗き込んでくる。
「だってナナちゃん秋冬用の服持ってないでしょ?必要になるって」
確かに私は春も夏もほぼ同じ格好をしていた。
暑ければ脱げばいいだけの話なのだが…冬はそう言うわけには行かない。何か厚着するための物は必要だろう。
だからと言って…
「こんな可愛らしい動きにくそうな服も買う必要はあったの?」
「女の子はおしゃれしてなんぼでしょ!」
かすみは胸をその少々主張の激しい胸(可奈美には負ける)を張って言い放つ。
「すみれもルックスは悪くないんだからちゃんとおしゃれした方がいいよ!」
「わたしゃおしゃれに金を使うくらいならサブカルに注ぎ込むねぇ」
そんな他愛無い会話をしてスクランブル交差点に差し掛かった時だった。
誰かが見てる
それも私を監視してるとかじゃない、明確な敵意…殺意を持ってこちらを見てる。
「どうしたのナナちゃん?」
「三人とも荷物をもってこの場から速やかに立ち去って」
「え?…わ、わかった」
いつもと違う剣幕に困惑する可奈美に背を向けて交差点の人込みを睨みつける。
「こちらを見つけたな…No.7」
人混みをかき分けてゆっくりとその姿が露になる。そして、その姿を見て私は絶句した。
オールバックにした金髪に碧眼の私と同い年程度の白人の少年…
「…No.13?」
かつてその体を見る影もなく変貌させ海底に沈められたその少年…No.13そのものだった。
「そのからだ…どうして?」
そう言うと少年は肩を震わし怒りを隠す素振りも見せずに怒鳴り出す。
「貴様が!その名を口にするなぁ!」
なんだこいつは…一体?
「今度は遅れは取らんぞNo.7!あの時の借りを返してやる」
そう言うと少年は駆け出し私にせまり拳を繰り出してくる。それは難なく躱せた。躱せたのだが。
腹部に鈍い痛みが響く。少年は私に拳が当たらないのはわかりきっていたようだった。だから私が反応できないギリギリのタイミングで蹴りを繰り出していたのだった。
私は蹴り飛ばされ地面を転がりそのまま体制を立て直す。
「ナナちゃん!?」
「こいつ普通じゃない、可奈美離れてて!」
私は大声で可奈美に呼びかける。
そこでようやく周囲の人々にもここで何かが起きてることが伝わったらしく視線が私と少年に集められる。
少年は手を前に出しかかって来いと言わんばかりに指で私を煽ってくる。
…物は試しか
私は懐まで駆け込み拳を繰り出すがそれはすべて空を裂き一発も少年をとらえられない。
何故?
私が攻撃を繰り出すまでまったく動く素振りを見せない。なのに当たる直前に急に動き出し私の拳を躱すのだ。それに筋肉の動きもうまく見て取れない、まるで機械の様にまったく無駄がない。
私は私は一旦距離を開けて様子を見る。
紅とは違うあれは人間離れした反射神経で紙一重でかわしていたのだ、故に筋肉も適度に脱力してはいたが、こいつはそこから違う、まったく力が入ってる様子がない。
そこに拳が来るのがわかりきってるかの如くギリギリまで引き付けてそこで初めて体が動く、その動作に一切の無駄がない。
…間違いない
「どうした?もう終わりか?なら今度はこっちから行くぞ」
少年はそう言うと私の下まで一気に距離を詰める。私はそれに合わせて拳を振るがやはり…少年は大きくかがみ込み今度は私の顎目掛けてアッパー攻撃を繰り出して来た。
それをギリギリで顎をかすめながら躱すがそれがいけなかった。視線はほぼ完全に上を向いてしまい少年の動きが完全には把握できなかった。今度は脇腹に鈍い痛みが響き私は再び地面を転がる。
どうやら私の動きは完全に読まれてるらしい、視線が切れた瞬間に回し蹴りを叩き込まれたようだ。
…しかし、この感じ以前何処かで
「どうしたNo.7?その程度か?」
私は立ち上がり少年を睨みつける。
「その体普通じゃない…でも被検体とも違う」
「…さすがに気づくか、さすがだなNo.7」
そう言いながら少年は自分の体を見回す。
「確かに、この体にはまだ俺自身が慣れてない。だからひょっとするとお前でも勝てるかもしれないぞ?」
「どの口が言うか…」
私は薄々感づいていた。こいつはNo.13じゃない。
「悪いけど、一度勝った相手に負けてあげるほど私は性格悪くないんでね」
「…お前…そうか、ならば今度こそ海上での決着をつけてやる!あの時程容易く勝てると思うなよNo.7!!」
食いついた、思いつきのブラフだったが…これであいつの正体は大体わかった。
かつて私が空母の甲板上でその首を引き千切ってやった相手、No.15だ。
しかしあいつの脳髄は米軍に任せた筈だったが…なぜここに?
それにそれがわかった所でこいつの能力がわからない。
サイボーグになった所で能力が健在なのかは不明だが、この数回手を合わせた感じだと私の感は能力を使ってると訴えている。
No.15は距離を詰め拳を振るってくる。私は極力隙を作らない様に最小限の動きでその攻撃を捌いて行く。
「どうした?No.7!守ってるだけじゃ勝てないぞ!!」
そう言った瞬間No.15が私の前から消える、うまく死角に回り込んだらしい。ならば…
私は、『瞬間移動』でNo.15の背後に移動する。しかし、No.15はそれにも対応をしてきて瞬間移動先で攻撃が飛んでくる。
そこまでは読んでいた。
私はその攻撃をかわし再び距離をとる。
ここでぼやけていた彼の能力がようやくわかりかけて来た。
「海上の時と言い、今と言い…お前の能力は…」
「そうだ、俺の能力は『未来視』だ。俺の見た未来は必ず現実になる」
『未来視』…正直そこまでつかんではいなかったが、こいつ思った以上におしゃべりだな。
しかし、No.5と同じ『読心術』かと思っていたが、飛び出してきたのはもっととんでもない能力だった。
だが、未来とはどのくらい先までだ?どのタイミングで未来が決定する?
…見極めてやる
私は全力で駆け出し攻撃を繰り出す。
「!?」
No.15の表情が歪む、どうやら未来を見たようだ。ここからは私の攻撃は何処まで見切られてるのか試してやる!
繰り出した拳は空を裂くが間髪入れずに蹴りを叩き込むとNo.15はそれをガード。だが私の攻撃は止まらない。フェイント、さらに『瞬間移動』を織り交ぜ多種多彩にわたる攻め手でNo.15を追い詰めてゆく。どうやらこの『未来視』とやらはそんなに先の未来は見れない様だ。
なら、このまま押し切る!
そう思った時だった。No.15の顔が急ににやけた。
チィッ
思わず舌打ちをする。こいつは何か自分が有利になる未来を見たらしい。それを見た私はいったん距離を開けようとしたときだった。右ひざが大きな音を立てて砕けてしまった。
「何!?」
それが原因で私は大きく体制を崩してしまう。その瞬間をNo.15は見逃さなかった。私の胸目掛けて強烈な掌底の一撃をぶちかましてくれる。
当然体は後方へ吹き飛び地面を滑る。今の一撃で肋骨が数本折れて内臓に突き刺さった様で吐血をしてしまう。
骨折などは勝手に治るが刺さった骨を何とか抜かないとそこはいつまでも治らない。
「ざまぁ無いなNo.7。そんな義足をはいていた自分を呪うんだな」
何とか体を起こしNo.15を睨みつけ口元の血を拭う。
そんな時だった。
人込みをかき分け、警察官が数人乱入してきた。
「君たちそこまでだやめないか!」
ウチ一人は私の下へ来て大丈夫か?と抱き起してくれる。
残りの警察官はNo.15の前へ距離を詰める。
「事情は署で聞くから同行をしてもらうぞ」
「………だから、嫌いなんだ」
「?…今なんて言った?」
「嫌いだと言ったんだ!この国が!この人種が!」
No.15は急に声を荒げる。
「人々は遠巻きで俺たちを見て撮影して、それだけだ!何もしない!この距離で見ていても他人事!危機感の欠如!平和ボケした連中には、今自分がどれだけ危険な目にあってるのか理解してもらおうか!」
そう言い放った時だった何かが急に空中で姿を表し人込みの中に飛び込んで来た。
「…光学迷彩?」
そんなもの実用化されたなんて話は聞いたことがなかったが、現に目の前にそれを利用した機体が現れた。
そしてその姿は、かつてのNo.15そのものだった。
「No.24!ここに居る連中を皆殺しにしろ!」
No.24と呼ばれたそれはその両手に携えられたガトリング砲を回転させ大衆に向けて発砲を始めた。
「No.15!!」
思わず叫び声をあげるとNo.15はこちらを向いてにやける。
「お前はそこで見ていろ!何もできない無力さを噛み締めながらなぁッ!」
こいつッ!
全身から怒りがこみあげてくる。
脚が一本折れていても知ったことか!もう一本ある!
砕けた膝で地面を蹴り体を立ち上がらせる。そして、残った足で地面を思いっきり蹴りNo.15に突進を仕掛けるがその間にNo.24が割り込んで来た。
「邪魔だぁッ!」
地面に思いっきり左拳を突き立て体を浮かす。左腕を砕きながらNo.24の頭上を飛び越え残った右拳をNo.15に繰り出すが、背中に鈍い痛みが響き地面に叩きつけられた。
視線を後ろにやるとNo.24の足が私を踏みつけていた。
「…お前不死身らしいが、頭を潰したり切り離したりしても生きてられるのかな?」
そう言いながらNo.15は私の顔を覗き込んでくる。
その時だった。
No.15は急にハッとした表情を浮かべると頭上を見る。
そこには誰かが投げたであろう消火器が宙を舞っておりその瞬間それにクナイが突き刺さり中身が急激に吹き出し、一瞬にして視界を奪う。
その視界不良の中に声が響く
「ナナさんは返していただきます」
その声がする方向にNo.24は踏み出し警戒態勢をとる。
それと同時に私を誰かが担ぎあげる。
「無事か?」
そう言って私を担ぎあげたのは彰だった。
「どうしてここに?」
「可奈美から連絡受けてな、なんかヤバそうだからお前の手足をもって来てって頼まれたんだよ」
煙幕から離れて彰は物陰に駆け込むとそこには可奈美達が居た。
「ナナちゃん!!」
「今手足は変えてやるからな」
それを尻目に私は煙幕の方に視線をやる。そこでは時折火花が散り発砲音も聞こえてくる。どうやら誰かが戦ってるらしいが…思い当たるのは
「あそこに居るのは紅?」
「そうだよ!偶々偶然、近くを通りかかってたからお願いしたの!」
なんだそれ?つまり、私は運がよかったのか?
「良し、交換完了」
彰がそう言うと私はTシャツを脱ぎ深呼吸をした後両腕を思いっきり胸に突き立てた。
「な、なにしてるのナナさん!」
あまりの光景にかすみが悲鳴を上げる。
「折れた肋骨を抜いておかないと傷が治らないのよ」
わたしは折れた肋骨をつかみ引き抜くと大体正しい位置へ戻す。当然それには激痛を伴ったが、今はなりふり構ってられない。紅だっていつまでもつか…
「ナナさんは時に思い切った行動をしますね」
「ん?」
思わず声を掛けられそちらに顔を向けるとそこには紅が立っていた。
「…戦っていたんじゃ?」
「はい、でも決め手に欠けるので文字どおり煙に巻いてきました。彼らは未だにあの煙幕の中に私がいると思ってるみたいです」
どうやらこういう事に関しては頭飛びぬけてるらしい
「ですので逃げるなら今のうちかと…」
「逃げる?冗談じゃない」
私はそう言って立ち上がり両手を握ったり開いたりして駆動を確かめる。
主任が作ってくれたこの手足があれば…
「アイツとはここで決着をつける」
わたしは物陰から飛び出し晴れつつある煙幕に向かって駆け出していく。
「…!?No.24避けろ!!」
No.15の叫びが聞こえるがもう遅い。私は飛び上がり手刀をNo.24の頭蓋目掛けて振り下ろしていた。
振り落とされた手刀は大きな音を立ててNo.24の頭部を粉砕しそのままボディを地面に叩きつけられる。
その残骸を踏みつけ私はNo.15見下ろす。
「No.7…貴様ぁッ!!」
「お前も、これで終わりだよ。No.15」
No.15の顔には焦りの表情が浮かび上がっていた。どうやらこれから自分がどうなるかを見たらしい。
「お前の未来は、お前自身が決定づけたみたいね」
No.15が一歩後退る。それが合図だった。私は瞬間的にNo.15の背後に回り込む。それと同時にそれを予知していたNo.15 の攻撃をかわすと同時にその顔面目掛けて回し蹴りを叩き込むとNo.15は空中で錐揉み回転を始めそれに向けて右の拳を叩き込みNo.15は吹き飛ばされて何度か地面をバウンドした後に体勢を整えようとするが、私はそれに間髪入れず拳を上から叩き込む。
「どうしたの?未来視もその程度?」
膝をつくNo.15を見下ろしながら言い放つ。
「馬鹿な…俺が負ける?二度も?No.13以外に二度も?」
No.15はフラフラと立ち上がり私に向き直る。
「ま、負ける訳には…負ける訳にはいかないんだぁッ!」
そう叫び向かってくるNo.15の顔面に左拳を突き立てる。
「…お前の負けだよ」
ガコンッと左腕に内臓された《バスターバンカー》が起動し凄まじい衝撃波と共にNo.15の首から上を粉々に粉砕して行く。
その衝撃で頭を失ったNo.15の体は後方へ吹き飛ばされ倒れる。
左腕を収め、No.15の体を見下ろす。
「この結果は、…私が招いたんだ。あの時No.15の頭を完全に破壊して置いたらこんな事には…」
「ナナちゃん…?」
その声に私は振り向く。そこには心配そうにして立っている可奈美がいた。
「可奈美…」
そう発するや否や可奈美は私に強くしがみついて来た。
「…可奈美苦しい、離れて」
「……嫌」
「なんで?」
「…だって、あの時と一緒だもん」
「あの時?」
「ナナちゃんあの時とおんなじ顔してるもん!離したらまたどこかに行っちゃう…!だから今度は絶対に離さない!」
可奈美はそう言うとより一層力を込めて私にしがみつく。
私はふぅとため息をついて、努めて優しい声で可奈美をなだめる様に
「大丈夫、私は何処にも行かないよ…」
「…ホント?」
「もちろん…」
そこまで言うと可奈美はようやく離してくれた。
「…で、どういうことなの?」
私は電話の向こうの相手に極めて深刻な内容と言わんばかりに圧を放つ。
実際これはとても深刻な内容だ。アメリカ軍に引き渡したNo.15が新しい体を得て私の前に立ちはだかったのだから。
『それは、こちらも詳しい経緯を調査中です。ただ、持ち出した者が居るという所まではつかんではいるのですが…なんとも』
「歯切れが悪いわね」
『その人物の証言がどうも的を得なくて、まるで妄想と現実が入り混じっているような状態でして…ともかく、こちらも何かつかみましたらちゃんと連絡をしますのでそれまでお待ちください』
そう言って通話は一方的に切られてしまった。
電話を投げ出しソファにもたれ掛かる。
これはNo.13がサルベージされた事と何か関係があるんだろうか?
だとしても一体誰がこんな事を…
テレビをつけると一昨日の交差点の事件について連日報道が続いている。一体だれが撮ったのか、私もバッチリ姿が映っていたし、その後の警察からの事情聴取もなかなか大変だった。しかし、それも突然打ち切られて私は自由の身となったのだが…
そんな時投げ出した電話がけたたましく鳴り響きため息をこぼしながらそれを拾い電話に出ると
『よぉ、大変そうだなナナ』
と、気楽なイーサンの声が響き渡る。
「…何よ一体?」
『あれ世界規模のニュースになってるぜ。お前すっかり有名人だな』
「切るよ」
『まぁ、待て色々調べていてわかった事があって報告がある』
電話を持ち直し聞く体制を整える。
『かつて俺たちと交戦したNo.14及び15、そして今回渋谷に現れたあのサイボーグ体は例のドイツの重工企業の製品だと言う事がわかった』
「…それで」
『前々からお前が言っていたNo.13のバックについていたのはほぼ間違いなくその企業だって事だ。今回の一件も少なからず絡んでるに違いない』
確かに、それがNo.13が先頭に立って行ってる事かどうかはわからないが…
『それと、この渋谷の事件がきっかけで最近なりを潜めてた反サイボーグ団体の動きが再び活発になってきた。中には過激な連中もいるらしいからお前も気をつけろよ』
「わかった」
そう言って通話を切ると再び電話を放り投げる。
まったく
これからまた忙しくなりそうだ…
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