ショートショート ナナと狩猟免許
「これで良し」
新しく届いた施錠可能なロッカーに猟銃を格納し、鍵をかける。
実は、狩猟免許を取得したのだ。
狩猟免許は獲得までなかなか大変だったが、暗記など勉強は得意なので差ほど苦ではなかったのだが、講習を受けなければならないというのは少々退屈だった。
いや、とても大切な講習ではあるのだが、既に実戦で様々な銃火器を使用経験があり基礎訓練も幼少期に散々叩き込まれたので銃器を安全に扱うという事に関しては誰にも負けない自信はある。
とにかく、銃の使い方罠の仕掛け方などなど様々な勉強をこなし苦労の結果この狩猟免許を手に入れたのだ。
…まぁ、先ほどのロッカーには猟銃の他に自動小銃もあるのだが…
この国では、自動小銃は所持免許すら存在しない。まぁ、当然の事だが…
猟銃も装弾数に制限があり散弾を使うもの等は3発までしか装填できないように改造する必要がある。
そもそも、イノシシやシカにそんなに沢山の弾丸を乱射する必要などないのだが…
そして、数日後
私は早速猟銃を取り出し、ダリルと共にレンタルした車を走らせ山の方へ向かう。
そして今日一日お世話になる地元の猟友会にあいさつをして狩猟の準備をする。
狩猟の際は、蛍光色を含む目立つチョッキを身に纏う必要がある。これは、山の中で誤射を防ぐ目的があるため絶対に必要なのである。
しかし、私以外は見事に老人ばかりだ。相当珍しいのか結構質問攻めにされてしまった。
ここ最近は猟友会も高齢化が目立ち、若者の狩猟免許を持つものは少なく問題になっているらしい。実際問題害獣対策の問題が出て来てるらしい。
畑を荒らすイノシシやシカなどが出ても対策をできずにいたりするらしい。
とにかく、今日はシカ狩りに出ることになった。
と言うか、私はそれが目的だったのだ。
山に入るとバラバラに分かれて標的を探す。私は最初と言うこともあって一人の老人について行くことになった。
ちなみにダリルは麓でお留守番をしている。
しばらく歩くと目の前を歩いていた老人が足を止め銃を構える。
その視線の先には目的のシカがいた。
老人が発砲をするとシカは走りだし逃げ出す。どうやら外したらしい、と言うより結構な距離があるため当てるのはかなり難しいだろう。その発砲音を皮切りにあちこちから発砲音が鳴り響きシカを追い詰めてゆく。
私も銃を構えて狙いをつける。
…まぁ、当然と言えば当然なんだが…
風向き、距離、目標の移動速度、それら様々な条件を織り込み偏差射撃を行うと見事にシカの眉間に弾丸が命中した。
近くに居た老人から歓声が上がり、すごいすごいと褒めてくれた。
そのあとは、仕留めたシカを麓まで運びそれを捌いてシカ鍋にする。一部シカ肉は生のままダリルに分けてあげるとダリルは嬉しそうにそれに噛り付いた。
畑を荒らすシカは害獣だが、必要以上に狩るのはご法度で節度を持って対処をしなければならない。何事もやりすぎは自然環境を破壊しかねないからである。それに仕留めたシカは余すところなくおいしくいただく。
命に感謝も忘れない。
私はシカ肉を頬張りながら命に感謝をすることにした。
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