第2話 転校生
俺の名前は相良悠どこにでもいる高校2年生だ、何で急にこんな事言うかだって?それは昨日の夢が未だに信じられなくて改めて自分の事を再確認していたからだ。
「…っはぁはぁ夢?だよなぁ、なんだったんだあれ」
夢から覚めた今もそれが夢の中の話だという自信が無かった。全力で走った時の胸が苦しくなる感じ、手を伸ばしても届かない焦り、それに、あの時聞いた声が今でも鮮明に耳に残っている、そして彼女との約束も…そこまで考えた辺りでふと気づいた
「あれ、なんで俺泣いてるんだ?」
俺は、自分が泣いているのに今更になって気づいた、彼女の声が頭の中で響いて。
「次に会うことが出来たらその時は……本当の私を見つけてね?」
そこで俺は改めて自分が行わなければならないことを認識した。
「そうだ、俺は彼女を探さないと…」
そう思い立っておれはふとある事に気づいた、
「あれ?今何時?」
そう思い時計を見た…8時5分
「……やばい!このままじゃ遅刻するぅぅぅ!」
そう気づいたときには体が勝手に動いていた、それはもう早着替えの如く着替えて学校まで全力疾走した。そして---
「到着!」
なんとか間に合った、これはマジで焦ったさすがに遅刻するかと思ったねこれは、そう思いながら教室ドアを開いて中に入った。
「おっ、悠じゃん今日は珍しく遅刻ギリギリだったな〜」
そう言いながら声をかけてきたのは中学からの友達の立花瞬だった
「おっす瞬、今日は久しぶりに寝坊してな」
「へ〜悠が寝坊とはまた珍しい」
「俺だって人なんだから寝坊の一つや二つはするぞ」
「そりゃそうだな」ワッハッハと笑いながら瞬は続けた
「そういえば今日転校生が来るらしいぞ、それもめっちゃ可愛い子らしい」
なるほどだからこんなに男子がソワソワしてるのか、それに引き換え女子は殺伐としている、少し怖い
「へ〜それはまた珍しいな、こんな時期に転校なんて」
「それな〜でもそんなことはいい!可愛ければいい!いや〜早く拝みてーな」
そんな他愛ない事を話していると着席の合図のチャイムが鳴りそれに合わせたように先生が入ってきた
「えー、みんなも知っていると思うが今日はみんなに嬉しいお知らせがある」
待ってました!どんな子だろう?などなど様々な声が上がる。
先生が「はい、静かにしろー」と言ったが声が収まる気配は無く逆に盛り上がっていくように感じた。先生は諦めたのか「はぁ」とため息をついた、しかし、そこで切り替えたのか又は諦めたのか分からないが言葉を続けた。
「みんなも知っていると思うが今日は転校生が来ている、さあ入って」
そう言って先生が転校生を教室に招き入れる。そうして入ってきたのは……クラスの全員が息を飲んだ。
「「て、天使だぁぁぁぁ!!」」
それはまさしく天使の様な少女だった、白い髪は肩より少し上で切られており身長は少し小さい位で緊張しているのか頬は少し紅くなっていた。そうして彼女は自己紹介を始めた。
「えっと…その、春風鈴音と…申します、よ、よろしくお願いしましゅ」
最後に盛大に噛みながらも勢いよく体を前に倒し礼をした、みんなは可愛さの余り誰も口を開くことが出来なかったのだと思う。
しかし…
俺は別の意味で口を開くことが出来なかった、その訳は
「嘘だろ、まさか昨日の夢に出た子にそっくりな子だって?」
そう彼女は昨日夢で追いかけ続けて遂には届かなかった彼女そのものだったのだから。
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