第2話
暫く歩いていると、遠くに女性の人影を見つけた。
「何か聞けるかもしれない!」
そう思ったアリスは、女性のもとへ駆け出そうとした。だが、
─なに、あれ
緑色のゴツゴツした肌を持った怪物が現れ、人影に襲い掛かる。当然人影は逃げるが、捕まるのは時間の問題だろう。
─助けなきゃ
アリスは戦い方を知らぬ子供だ。しかも、戦いというものを知らないから相手の強さも知らない。無知とは、時に勇気にも似た愚考を引き起こす。今のアリスはまさにそれで、無謀にも怪物に向かって駆け出した。それに気付いた怪物は、アリスに襲いかかろうとする─
しかし、木から飛び降りた少年らしき小柄な影が、それをさせなかった。
少年は、軽やかなステップで大柄な怪物の攻撃を躱し、確実に攻撃を当てていく。まるでダンスを踊っているかのような動きにアリスは見蕩れていた。アリスが我に返ったときには、怪物は地に伏していた。
女性は腰を抜かしていたらしく、それに気付いた少年は女性に手を貸そうとした。が、その手は何故か払われた。女性はなんとか自力で立ち上がると少年に向かって怒鳴り、向こうへ駆けていった。
残された少年の顔は、酷く寂しげであった。
月下獣の箱庭 癒月叶伽 @yuzuki-yuzyuz819
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